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RC建築物の断熱工法に外断熱工法と内断熱工法があるように、木造建築物の
断熱工法にも充填断熱工法と外張断熱工法があります。
木造建築物の外張断熱工法は建物の熱容量がRC外断熱工法に比べて小さいた
め、室内温度の安定性が異なります。
木造の充填断熱工法で施工された建築物と比較して多少の違いはありますが、
使用する断熱材の種類や厚さを比較しなければ外張か充填かの違いだけて「どち
らが優れている」と結論づけられるものではありません。
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木造外張断熱工法を採用する業者の作った「木造充填断熱工法」と「木造外張断熱工法」の違い
を説明する文書のなかにしばしば「木造充填断熱工法」を「木造内断熱工法」、「木造外張断熱工
法」を「木造外断熱工法」と表記している例を見かけます。
さらにRC造建物の「内断熱工法」と「外断熱工法」の違い、つまり熱容量の取り込みによる室
温の安定化が木造の『内断熱工法』と『外断熱工法』にも共通して存在するかのような誤った記述
もしばしば見受けられます。
木造建築物の断熱工法で「木造充填断熱工法」と「木造外張断熱工法」のどちらが優れていると
言い切れるほどの差は存在しません。「木造充填断熱工法」と「木造外張断熱工法」を併用する断
熱工法も存在するので、個別の仕様を比較しその断熱性能や特性を評価しなければ誤解に基づく判
断や観念的な判断をすることになりかねません。
最初に使われだした木造建築物の断熱工法は充填断熱工法です。
欧米では室内側に気密・防湿シートを張った枠組壁工法の枠組内部にマット状のグラスウールや
ロックウールを隙間が出来ないように充填しますが、軸組内に筋交や胴縁があり、断熱材を完全充
填しにくい日本の在来工法の木造建築物では壁の厚さの約半分にしかならない50〜60mm厚さの断熱
材が使われることになりました。
グラスウールやロックウールは裸にしたものを使わなければならないのですが、裸のグラスウー
ルを使う場合は充分な防護措置をしないと皮膚障害を起こすため「袋入り断熱材」と呼ばれる摩訶
不思議な商品が販売されるようになったことも正しい充填断熱が行われない原因になりました。
15cmから30cmと充分な重ねを取らなければならない気密・防湿シートに代えて袋入り断熱材の耳
を間柱上で釘止めする施工方法も充填断熱工法の性能が不充分なものになった原因です。
壁の厚さの半分しか断熱材を入れない、断熱材をビニールの袋に入れる、不完全な防湿シートを
使う、さらに在来工法の木造建築物では床下から小屋裏までが壁の空洞を通じて繋がる「断熱・気
密・防湿」の原理にかなわない充填断熱が行なわれるようになり、使用する断熱材の厚さに見合う
性能を発揮しにくいものになりました。
誤解しないで頂きたいのですが「充填断熱工法自体が駄目な工法」なのではなく、「正しい充填
断熱工法が広まらなかった」のです。
断熱材の室内側に気密防湿層を施工し、軸組内部に断熱材を完全充填し、断熱材の外側で水蒸気
が結露しない措置をすれば繊維系断熱材の充填断熱工法は有効にその役目を果たします。
一般に普及している鉱物繊維を使う充填断熱工法のほか、セルロースファイバーを充填した断熱
工法があります。セルロースファイバーは吸放湿能力を持つ木材繊維(古紙バルプ)で気密・防湿
層や防風・透湿層に代えて適度な透湿性能を持つシートを使うことで吸放湿により結露を防ぐこと
が出来ます。
残念なことに充填断熱工法に関して種類の違う断熱材業界の間で足の引っ張り合いと見られかね
ない見苦しいキャンペーンがあります。
セルロースファイバーに対して「埃っぽい家が出来る」「健康に有害なホウ酸を混入している」
「木材繊維は火事になると勢い良く燃える」・・・。
眼病で目を洗うときに「有害な薬剤」の水溶液で目を洗っても健康被害を体験しなかった方々も
多いと思いますし、火災にあったセルロースファイバー充填の建物で表面がガラス化したセルロー
スファイバーの内部がまったく燃えていないケースなどを見た方もいらっしゃるでしょう。
施工が難しく、断熱不足や結露問題を抱えた充填断熱工法の問題を解決するひとつの方法として
考えられたのが外張断熱工法です。
外張断熱工法にはじめに使われた断熱材は発泡樹脂系断熱材です。発泡樹脂系断熱材は繊維系断
熱材に比べて大きな透湿抵抗値を持ち、ポリエチレンシートのような気密防湿シートを必要としま
せん。断熱材の価格はやや割高ですが、断熱の工程が気密・防湿工程を兼ねるうえ施工方法が単純
です。
外張り断熱工法で、50mmほどの断熱材を使った充填断熱工法以上の断熱性能を持たせることはそ
れほど難しいことではありません。
多くの外張断熱工法が30mm未満の厚さしか持たない発泡樹脂系断熱材を使っています。この厚さ
は外装材を釘で軸組みに止め付けることができる最大の断熱材厚さと考えられています。
したがって、正しく完全充填された充填断熱工法と30mmの断熱材を使った外張断熱工法を比べる
と充填断熱工法のほうが高い断熱性能を持つことが多くなります。
T地域で「次世代省エネ基準」を満たす外張断熱工法の規格住宅が現われていないことも外張断
熱工法の断熱性能を示唆しています。
外張り断熱工法でもうひとつ評価すべき点は熱容量と調湿能力です。
木材のすべてが断熱材の内側に入るので大きくはないものの木材の熱容量が室温の安定に役立ち
ます。外壁周りの木材と室内空気の間に防湿層がないために木材が室内湿度を調整する能力を生か
すことが出来ますし、家に木の香りがします。
ビニールシートを張ってこれらの性質を殺さないで欲しいと思う外張り断熱の長所です。
従来、木造住宅の軸組は「仕口」と呼ばれる木組みの技術で組立てられてきました。木造住宅の
耐震化のために金物を使った組立て方法が求められるようになり、工場でのプレカットが普及した
ことも重なって、軸組み内外を熱伝導率の大きいボルトなどの金物が貫通して熱橋となることも多
くなっています。
充填断熱工法と外張断熱工法の違いは木部が熱橋になるかならないかの違いだという考え方もあ
ります。コンクリートと断熱材には40倍程度の熱伝導率の差があるのに比べて、木材と断熱材の熱
伝導率の差は3倍ほどしかありません。コンクリートの熱橋と木材の熱橋ではその意味がまったく
違うと考えても問題はありません。
断熱材を使う場所が充填断熱と外張断熱では違っていますが、RC造ののように大きな熱容量と
防湿性を持つ個体の壁の内側・外側のどちらに断熱するかという根本的な考え方の差を持つことは
はありません。
今後の木造建築物の断熱方法は「充填断熱がいいか、外張り断熱がいいか?」ということではな
く、両断熱工法の長所を組み合わせ、より良い複合断熱を目指すべき時期が来ているようです。
「木造外断熱」をRC外断熱と同じように考えられているとしたら、大きな誤解があります。
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