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この章を書き始めたとき準備を始めたシュミレーションがようやくひとつの形になりました。
陸屋根のような空に向かって広がる平面に日射を受けるものとして外断熱工法(断熱暑さ5、10、15cm)と内断熱工法の屋根面とコンクリート中央の温度がどのように変化するかを確認するためのシュミレーションです。内断熱工法はEPS30mmで検討しましたがウレタン25mmに近い数値が出ているものと思います。
条件としては気温が最も高くなる7月中旬の日射量を使いました。
日射エネルギーがすべて屋根の表面で熱に変わり、屋根表面温度にしたがって放射熱を天空に発散するという前提です。
気温はその時期の時間ごとの平均気温を繰り返し、外気温度に下がった屋根面からは熱放射が起きない(外気温度以下に放射冷却されることはない)という前提でシュミレーションしています。
先ず、初期温度24℃の屋根を一日日射に晒した場合のそれぞれの温度変化を確認しましょう。 |

昼間以外の温度は気温を示す桃色の線とかさなって表示されていません。
外断熱工法の屋根表面温度は日射を受けるとすぐに上昇をはじめ約80℃まで一気に上昇します。断熱材が厚いほど温度上昇が大きいのは躯体側に熱が逃げにくいためでしょう。
一方、内断熱工法では日射を受けても温度上昇が始まるまでに暫く時間が掛かります。早朝の弱い日射には熱容量の大きい躯体を暖める充分なエネルギーがないこと、太陽のエネルギーよりも物体が放射するエネルギーが大きいことがその理由だと思います。
内断熱工法の屋根の表面温度上昇は緩やかで45℃程度までしか上昇しませんが、外断熱工法では80℃近くまで上昇します。
このグラフを見て、「内断熱工法もなかなかいいんじゃないか?」と思われた方もいらっしゃるでしょう。
次に、躯体の内部の温度がどのように変化するかをお目に掛けましょう。コンクリートの厚さのほぼ中央部分の温度をグラフにしました。 |

内断熱工法の屋根面は午後二時ごろに最高の温度になりますが、コンクリート内部の温度は3時間ほど遅れて夕方五時前後に最高を記録しその後徐々に下がりますが夜の0時になっても30℃以上を保っています。
表面温度が80℃にもなる外断熱工法の躯体温度は3時から4時に掛けて最高を記録しますが、一番高くなっった時でも25℃前後とまだ冷房を必要とする温度には達しません。
このグラフを見れば、先ほど「内断熱工法もなかなかいいんじゃないか?」と思った方ももう少し比較を続けたいと思ったと思います。
もうひとつ気になることは内断熱工法の躯体温度が一日で9℃近くも上がっていることです。暑い日が何日も続くとき建物の温度はどのように変化するのでしょうか?
日差しの強い日が1週間続いたとしてその後の温度変化を調べてみました。
先ず、壁の表面温度を見てみましょう。 |

壁の表面温度は周期的変化を繰り返します。初日から7日目まで大きな違いは見られません。
次にコンクリート躯体の中央部分の温度です。 |
内断熱工法の屋根スラブ温度は2日目以降ほぼ同様な変化を繰り返します。30℃を切るのは日の出前後の1〜2時間だけでほぼ一日中冷房を切れない状態が続くことがこのグラフからも確かめられます。
外断熱工法では断熱厚さが薄いほど躯体温度の上昇幅が大きくなる傾向が見えます。断熱厚さが薄いほど躯体内ブ温度の上昇が早く、50mmの外断熱では2日目から、100mmの外断熱では4日目から150mmの外断熱では6日目から冷房が必要な温度になっています。この温度は屋根だけを考慮したもので、熱が外壁などに分散されれば冷房が必要な時期はもっと遅くなります。
※ 当初ここに掲載したグラフは夜間換気により室温を低下させたものでした。現在掲載しているグラフは換気の影響を除いたものに変更しています。(05/11/15)
内断熱工法のスラブの温度は30〜40℃の間で変動しています。このグラフを見て、「内断熱工法では躯体と室内の間に断熱材があるので室内表面温度はもっと低くなる筈だ。」とお考えの方がいらっしゃるかもしれません。
断熱材は熱エネルギーを伝えにくい性質を持っていますが、温度伝達を防ぐ性質はありません。室内で冷房を使わない場合躯体温度と室温には大きな差が生じることはなく、ほぼこれと等しい室温になります。
次の図は7日目の内断熱工法の躯体の室内側温度と断熱材の表面温度、および外断熱工法の躯体の室内側表面温度の変化の様子を示したものです。
内断熱工法の躯体温度と断熱材表面温度は僅かなタイムラグをもってほぼ一致しています。

断熱材の厚さが不充分な外断熱工法では躯体温度が上昇して、冷房なしには暮らせない状態になっています。

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日射は冷房負荷を増やしますが、暖房負荷を減らすものと考えられています。
「輻射熱を遮ることは冷房負荷を減らす一方、暖房負荷を増やすことになるので通年で考えるとメリットを打ち消す。」という説もあると聞いたことがあります。
外断熱の断熱材温度と内断熱の躯体温度を外気温度に等しい5.2℃として1月第3週の気温と日射状況に置いたとき、どのような温度変化を示すかを夏の事例にならって調べてみました。
先ず、屋根の表面温度です。夏の日射は外断熱の建物の屋根面温度を80℃に、内断熱工法の屋根面温度を45℃に上昇させましたが、冬の日射は外断熱工法の屋根面温度を約15度に上昇させる程度のエネルギーしか持っていません。熱容量の大きい内断熱工法の屋根面温度はまったく上昇しないという計算結果になりました。
外断熱工法の壁表面温度は日中のごく短時間外気温度よりも6〜7℃高い状態になりますが、熱容量の大きい内断熱工法の躯体表面温度は輻射熱を受けても外気温度以上に上がることはありません。このシュミレーションでは躯体温度は放射冷却によって気温以下に冷やされないといy前提で行っていますが、放射冷却でより低い温度になることも考えられます。
次に屋根の躯体中心部の温度を示します。いずれのケースでも屋根で受ける輻射熱の影響は目に見えるような変化にはなっていません。
初期値の違いは設定の差によるものですが、内断熱工法の躯体温度は外気温度の振幅をやや小さくした状態で規則的な変動をします。外断熱工法では暖房を切った状態で断熱厚さが小さいほど躯体温度の低下が急速に進みます。
冷房期間と同様に7日目の内断熱工法の躯体の室内側温度と断熱材の表面温度、および外断熱工法の躯体の室内側表面温度の変化の様子を示しました。
内断熱工法の躯体温度と断熱材表面温度は僅かなタイムラグをもってほぼ一致しています。
断熱材の厚さが不充分な外断熱工法では躯体温度の低下が早く、早い時期に暖房が必要になります。
低温になる時期に屋根表面で輻射熱を受けやすくしたほうがメリットになる兆候はいずれの例でも認められません。
ここまでに示したシュミレーションは屋根スラブに受ける日射だけを取り上げたものです。
建物には方位によって異なる日射を受ける壁や日射を受けないスラブなどがあります。実際の建物の室内温度はこれらのスラブ・壁や基礎が熱を伝え合うのでここに示したシュミレーションの結果と必ずしも同じ変化をするとは限りません。
最も典型的に輻射熱を受ける屋根で温度変化を解析したものとお考えください。
※ まだ終りではありません。さらに、日射がどの程度の空調負荷に転化するのかを定量的に示したいと思っています。 |
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