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「シュミレーション」では日射を受けた屋根面がどのような温度変化を示すかを考察してきました。
日射の影響を定量的に把握するには日射を考慮した熱負荷計算と日射を考慮しない熱負荷計算を比較してその差が日射による熱負荷だと考えればよいだろうという前提で以下の解説を進めます。
先ずシュミレーションで行った温度変化と日射を考慮しない場合の温度変化を見比べてください。
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輻射熱を受ける場合
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輻射熱を受けない場合
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輻射熱の影響を考慮しない場合、外壁表面温度はどのような断熱工法を採用しても外気の平均温度と同じ30.6℃になります。
輻射熱を考慮した場合の屋根表面温度は断熱仕様によって異なり次の表に示すような平均温度となり、一日あたりの熱負荷は表の右側に示すような値になります。
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断熱厚さ
(mm) |
K値
(W・uK) |
外壁表面平均温度(℃) |
一日あたり
熱負荷(WH/u日)
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輻射あり |
輻射なし |
気温 |
気温+輻射 |
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内断熱工法 |
25
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1.24
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33.3
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30.6
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77.3
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135.9
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外断熱工法 |
50
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0.67
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40.3
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30.6
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41.6
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214.9
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100
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0.35
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40.8
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30.6
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21.6
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110.9
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150
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0.23
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40.9
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30.6
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14.6
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71.2
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ここで、躯体温度の変化をもう一度比較して見ましょう。
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輻射熱を受ける場合
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輻射熱を受けない場合
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夏の厚さのピークは3週間から1ヶ月ほど続きます。梅雨明け前に躯体温度が24℃だったとすると、内断熱工法の屋根は強い日射を受け始めた半日後に定常状態に達します。外断熱工法の建物では 50mm
断熱では一日約 2℃、 100mm断熱で一日約 1℃、150mm断熱で一日約 0.7℃ずつ躯体温度が上昇するので、冷房設定温度を28℃とすれば、それぞれ三日目、五日目、七日目まで冷房を必要としません。
冷房開始までのタイムラグを考慮すると夏の最盛期の熱負荷は次のように修正することが出来ます。
最盛期を28日間とした熱負荷の修正表
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断熱厚さ
(mm) |
K値
(W・uK) |
外壁表面平均温度(℃) |
一日あたり修正
熱負荷(WH/u日)
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輻射あり |
輻射なし |
気温+輻射 |
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内断熱工法 |
25
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1.24
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33.3
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30.6
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135.9→135.9
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外断熱工法 |
50
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0.67
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40.2
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30.6
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214.9→200.5
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100
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0.35
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40.5
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30.6
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110.9→ 96.1
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150
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0.23
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40.5
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30.6
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71.2→ 60.0
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内断熱工法の建築物でも屋根の断熱だけは外断熱工法(断熱防水)を採用しているものがあります。 一般にこのような断熱でも断熱厚さ30mm前後しかありません。上の表からも判ると思いますが、その熱負荷は内断熱よりも大きな値を示すことがあります。
外断熱工法で断熱する場合、ここでも100mmが快適さの分岐点になります。
上の表で熱負荷を算出した方法を説明しておきましょう。
室内温度を一定に保ち温度変化が安定したときの、外断熱工法・内断熱工法の躯体内部の温度分布は次の図のようになります。外壁表面近くほど温度の最高値が平均値から大きく乖離しているのはこの熱の多くが放射冷却によって屋外側に放出され屋内に伝わっていないことを示しています。
コンクリート内部の平均温度勾配とコンクリートの熱貫流率から熱負荷量を求めたものが上の表の熱負荷です。
内断熱工法の場合

外断熱工法の場合

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通気層
通気層のように外装材の裏側に空気の入れ替わる通気層を持つ屋根や壁は、外装材の持つ熱を室内側に伝えにくく熱負荷を軽減する効果があるものと考えられます。
通気層は空気で満たされていて暖められた空気は比重差で建物外に放出され、代わりに外気が取り入れられます。
通気層のある建物でも外装材と断熱材の表面に温度差がある場合、通気層(空気層)内部で輻射による熱移動が起こります。
高温になる外装材の通気層に面する面に放射率の低いアルミ箔でラミネートした建材を使うと熱せられた外装材からの赤外線量を減らす効果があります。
外装材と断熱材の温度差が大きい夏には遮熱による効果がありますが、冬、建物から屋外への輻射熱を減らす効果はまったくありません。

外装材の熱容量
外装材は熱容量の大きいものを使うほうが温度上昇が少なく熱負荷を減らします。
熱容量の小さい外装材は輻射熱を受けると早く温度を上昇させ、日射が止まると温度は速やかに下がります。
熱容量の小さい外装材は早く表面温度が上昇することで熱負荷を増加させますが、高温になるほど輻射熱の追加的蓄積は少なくなり、建物に蓄積される熱エネルギーは大きくありません。
RC内断熱工法では熱容量の大きい躯体を外装材と一体にしていますが、夏の盛りに躯体温度は連日45℃を超え、夜になっても30℃を下回ることはほとんどありません。
充分な断熱
断熱材の屋外側表面温度が高くなるところほど充分な断熱材を使用します。
しっかり断熱するほど室内側へ移動する熱の総量を減らし、室内側の熱容量を有効に働かせます。
内断熱工法並に薄い断熱材を使った外断熱工法で、夏の大きな輻射熱を受けると内断熱工法よりも大きな熱負荷を受けることになりますから、充分な断熱厚さを確保する必要があります。
断熱材内側の熱容量
同じ熱負荷があっても断熱材の内側の熱容量が大きいほど温度の変化が緩やかに進みます。
内断熱工法で内断熱材の内側にはプラスターボ−ドと内装仕上材しかありませんから薄い断熱材を通して貫流した熱がすぐに室内温度を変化させますが、外断熱工法では厚い断熱材をん貫流した熱がコンクリート壁や床のコンクリート壁の温度を僅かに変化させるだけです。
冷房シーズンに入る前室内側の気温は23℃前後ですが、外気温度が上昇した後熱容量の小さい木造やRC内断熱工法の建物の室内温度は1〜2日目に冷房基準温度を超えますが、熱容量の大きい外断熱工法の建物の室内温度は2週間程度遅れて冷房基準温度を超えます。 |
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木造建築物の輻射熱を受ける屋根などの表面温度は外装材の熱容量が大きいほど輻射熱を受けて高温になります。日本の建築物の伝統的な屋根は屋根瓦の下に葺き土を使って熱容量を大きくしたものでした。同じように土壁も大きな熱容量で温度上昇を防ぐ効果を持っていました。
重い屋根は地震の危険を増すため軽い屋根が好まれる傾向があります。
カラースレートなど熱容量の小さい屋根材が多く使われるようになり、屋根の表面温度は80℃近くまで上昇するようになっています。
次の図は屋根材の厚さをそれぞれ20、30、50、150mmとしたときの輻射熱を受ける水平面の一日の温度変化を示しています。

内断熱工法のコンクリート建築物を想定した150mmの外装材の表面温度がせいぜい50℃までしか上昇しないのに対して一般の屋根材の表面温度は70℃から80℃に達することがこの図からも読み取ることができます。
断熱材内側の熱容量が大きい外断熱工法の鉄筋コンクリート建築物に比べて、断熱材内側の熱容量の小さい木造建築物では外装材表面の温度変化がすぐに室内環境に影響します。断熱が不充分だと瞬間的に大きくなる熱負荷に対応した大きな冷房装置を必要とします。
高温になる屋根材からの熱伝導を防ぐには充分な断熱材を使うだけでなく、屋根材の裏側に屋根材よりも温度の低い外気を循環させ、断熱材表面の温度が上昇しないよう工夫することも有効な対策になります。
通気する場合屋根材の室内側にアルミ箔系の遮熱シートを貼り高温になった屋根からの輻射熱を遮ることも快適な住まいを作る有効な手段です。
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※ |
上の図で屋根材の厚さが大きくなるほど表面温度が下がる傾向が見られますが、だからと言って厚く重い屋根材を推奨する訳ではありません。
輻射熱を受ける面の表面温度に見合った適切な断熱をすることで経済的で快適な住まいを作ることができます。 |
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断熱材の厚さを100mmとしたとき、外装材の厚さを変えて壁内部の温度分布がどのようになるか
を示してみましょう。使ったデータはうえの図と同じもので、外装材の厚さごとに夏の最高温度
と最低温度を示しています。
コンクリートと同じ比熱と熱伝導率の薄い外装材を使うときは、外装材の厚さを1cm増すご
とに外装材の温度が約3℃下がることが判ります。
断熱材中の温度勾配が大きいほど熱負荷が大きくなります。
熱負荷を減らすには外装材を厚くするよりも断熱材を厚くする。外装材と断熱材の間で遮熱方
法を検討するほうが良いでしょう。

この項を書き始めたころにある質問を戴きました。
要約すると「『熱の伝達の75%以上は輻射熱で行われているのに、日本の建築では断熱ばかりが強調され遮熱に有効な建材がほとんど使われていない』と謳っている建材がある。本当に遮熱材を使ったほうがいいのか?」とアルミ箔を使った遮熱材についての質問でした。
同じものかどうかは確認していませんが、私も展示会で同様な遮熱材を見たことがあります。
「遮熱シート」をご存知ない方のために簡単に説明すると気泡を持った梱包用ビニールシートにアルミ箔をラミネートしたものと考えて戴けばいいでしょう。
熱貫流率など断熱性能の表示を見たことはありませんので、どれだけの断熱性能を持つかわかりませんが、展示ブースで赤外線ランプの輻射熱を受ける場合50mmのグラスウールに比べて裏側の温度を低くする効果があることは確認できました。
しかしこの展示では外装材が貼られていませんでした。太陽からの輻射熱を遮熱材が直接受ける場合と、輻射熱を受けた外装材に遮熱材が暖められる場合とでは熱伝達の仕組みに違いがありますが、それが熱の伝わり方にどのような差をもたらすのか?はっきりしないところがあります。
もっと大きな問題は内外温度差が逆転する冬にあります。室内側が暖かく屋外側が冷たくなった場合、遮熱シートと室内側の壁下地の間の空気に対流が起きて遮熱シートは室温に近い温度に暖められます。遮熱シートと外装材の間に空気層がない場合にはここに熱伝導による熱移動が起こります。
つまり遮熱シートは本来持つK値以上の働きをしないことになります。
遮熱シートの厚さは5mm程度ですから、密閉された空気が繊維系断熱材と同程度の断熱性を持つとしても熱伝導を抑える効果はほとんどないと考えられます。
「冬に備えて遮熱シートと断熱材充填を併用したらいいのではないか」と思われた方もいらっしゃるかもしれませんが、断熱材と遮熱シートの間に空気層がなければ輻射熱を減らしても熱伝導を生じますから、本来の遮熱性能が発揮できなくなると考えられます。 |
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