3-9-2/11空調設備>空調設備の種類(2)
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空調設備の種類(2)
放熱方法による分類
 空調設備は放熱の形式によっても分類することができます。

 小さな面積の放熱器をもつ空調装置では面積あたりの放熱効率を上げるため、放熱器と室温の差を大きくし、ファンで大量の空気を送らないと空調負荷に対応したエネルギーを室内に行き渡らせることができません。
 大きな面積の放熱器をもつ空調装置では放熱器の温度差を小さくしても空気の自然対流や輻射熱により充分なエネルギーを供給することができます。


ファン式空調機

 温水や冷媒に運ばれてきた熱をフィンのついた放熱器に通し、あるいは燃焼機器に直接ファンで大量の空気を送り、暖めた(あるいは冷やした)空気を室内に循環させるタイプの空調機です。
 エアコン、FF式燃焼処置など従来から使われてきた空調機のように各室に個別に熱源を配置するタイプと、1ヶ所の熱源で暖めた空気をダクトにより配分するタイプのものがあります。

 ファン式空調機は「風で空気中にほこりを巻き上げる」、「風速が大きく、肌の表面から水蒸気を奪うので肌が乾燥する」、「上下温度差が大きく室内の快適さにかける」などあまり肯定的な評価を受けてきませんでした。

 これらの評価は空調機本来の性質と言うよりも建物の温熱性能と空調機の組み合わせによって決まっていると言ってもいいと思います。

 例えば上下温度差はQ値・C値の小さい建物では40%程度まで少なくなることが知られています。こういう建物では風量を小さくしても充分に空調負荷を賄うことができるので風による乾燥感も軽減されます。1回/2時間の計画換気を行う建物では空気汚染を心配するほどの室内空気の汚れもないでしょう。

 RC外断熱工法の建物での径即データでは1階と2階の温度差がほぼ1℃以内に納まる結果が出ています。

輻射式空調機

 輻射式空調機は熱源の温度により高温輻射タイプと低温輻射タイプに別れます。

 昔から使われている高温の蒸気を通す「スチーム暖房」や真っ赤に焼けるほど高温になる石炭ストーブは高温輻射タイプ、これに対して床暖房やオイルヒータのように室温プラス10℃前後の手で触れる温度で使用されるものは低温タイプです。

 これらの機器は輻射式空調機と言っても同時に廻りの空気を暖め自然対流を起こしますから、輻射と対流のふたつの仕組みで空調を行います。

 低温輻射タイプの放熱器に結露水を排水するドレンを付けたものは冷水を通して冷房用として使うこともできます。



空調の特性?

 ファン式空調と床暖房など輻射式空調では室内の垂直温度分布が次のような傾向を示すという解説を見ることがあります。
 この図は一般的傾向を表したもので、温度分布の特性は建物の温熱特性や空調を掛け始めてからの時間によって温度分布は変わります。



 床暖房では輻射熱を放熱する面の温度が30℃を越し、快適温度よりも高くなっています。床下の土や階下の室温が14℃だったとしても、床面からの熱損失は温風暖房の15倍に増加します。つまり、床の断熱性能を15倍にしなければ床からの熱損失が温風暖房よりも大きくなることになります。
 「床暖房を入れたが、光熱費ばかり増えて、ちっとも暖かくならない」という話を聞くことがありますが、多くの場合床からの熱損失が増え床下の空気をを暖める費用が嵩んでいるのでしょう。


 温風暖房では天井付近の温度が高く、床の温度が低くなっています。空調機から吹き出された比重の軽い温風が天井付近に集まり、床には外壁や窓で冷やされた比重の大きい冷たい空気が溜まる結果です。

 さらに、内断熱工法のRC建築物や木造建築物では天井付近の空気と建物の間で熱交換が行われにくくなっています。
 内断熱工法のRC建築物では熱容量の大きい躯体と室内の空気の間には断熱材があり、躯体に熱が伝わりにくくなっています。句体に伝えられた熱は断熱材に阻まれて室内に戻らずに屋外に逃げていきます。
 木造建築物では熱容量が小さく熱伝導率も小さい内装材や内装下地材が暖まるとそこで平衡状態になります。
 両者では換気扇などで室内空気を攪拌する以外に天井付近の熱を床方面に還流させる機能が備わっていません。

 外断熱工法のRC建築物でも温風空調機から吹き出された軽く暖かい空気は天井付近に上昇します。空気とコンクリートに温度差があると空気の持つ熱はコンクリート躯体に移り、冷やされた空気は比重が大きくなって床付近に下降します。
 コンクリートに移った熱はコンクリート内部を熱伝導でより冷たい部分を暖めるように移動します。コンクリートは全体が厚い断熱材で覆われているため、コンクリートから屋外への熱損失は僅かな量に留まります。

 外断熱工法のRC建築物は「室内空気の対流」、「コンクリート躯体内の熱伝導」、「室内空気と躯体の熱交換」という三つの温熱システムが働き合って快適な室内環境を実現します。

 次の図はエアコンで暖房している外断熱工法のRC建築物内部の垂直温度分布を図にしたものです。温風暖房を採用しても床面を含めて室内にはほとんど温度差がありません。



 外断熱工法のRC建築物は大きな熱容量を持つ建物本体が低温輻射空調機のように熱を蓄え、建物全体が輻射パネルの役割をするため、室内に温度差を発生させないと考えることもできます。




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