3-9-6/11空調設備>除湿と加湿、調湿
空調設備の分類(1) 空調設備の分類(2) ・効率とランニングコスト ・空調設備の選択
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更なる省エネに向けて 省エネルギー住宅の提案  全館連続空調と局所間歇空調1
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除湿と加湿、調湿

 次の図は東京の水蒸気量(g/kg・)、外気の相対湿度(・%)、空調した室内の相対湿度(・%)の年間の推移をグラフに示したものです。

 東京の外気は赤い線のように1Kgにつき冬は3〜5g、夏は15〜20gの水蒸気を含んでいますが、この外気を室内に取り入れると紺色の線のように冬は10〜30%、夏は60〜90%の相対湿度になります。
 そのため夏は除湿が冬は加湿が必要になります。


 ただし、望ましいあるいは加湿(除湿)したい湿度とで紺色の線で示された室内の湿度の差を調節すればいいかというとそうでもありません。
 建物を構成する素材は下の図のように廻りの湿度に応じて水蒸気を吸収したり放出する性質を持っていて、コンクリートの平衡含水率は相対湿度30%の約1.2%から70%の1.7%程度まで、木質材の平衡含水率は相対湿度30%の8%から60%の12%程度までほぼ直線で変化し、更に相対湿度が上がると含水率も上昇します。



 建築技術(2005年1月号)より

 
 含水率の変化により大きな水の蓄積量があるので室内の相対湿度が下がると水蒸気を吐き出し、相対湿度が上がると吸い込むので建物内部の相対湿度は上の図ほど急激に変化することはありません。

 コンクリートの建物の屋内の相対湿度が30%で安定しているとき、厚さ15cmの壁1m2あたり約4リットルの水蒸気を含んでいますが、相対湿度を50%にしたいとするとコンクリートの含水率を2.1%まで上昇させなければならず1リットル近い水蒸気をコンクリートに吸収させなければなりません。

 建物全体でみると平衡含水率は低くても構造材の重量が大きい鉄筋コンクリート造の建物は平衡含水率は高くても構造材の使用量が少なく重量も軽い木造の建物の10倍ほどの吸放湿性能を持っています。

 内断熱工法のRC建築物はコンクリートの表面が透湿抵抗の比較的大きい樹脂系断熱剤やビニルクロスで覆われているためコンクリートの調湿機能が充分に働きませんが、室内に樹脂系断熱剤やビニルクロスを余り使わない外断津工法の建物では大きな調湿能力があります。

 したがって、RC外断熱工法の建物は年間相対湿度の平均値である50%程度に安定すれば湿度が安定しますが建物の完成直後は竣工時の躯体の含水率によって室内相対湿度が決まってしまいます。


 外断熱工法の建物では次の図のように季節の変化に伴って緩やかなサインカーブを描いて室内の相対湿度が変化します。


 室内の湿度を最高60%、最低40%に保つための除湿・加湿の必要量は次の図のようになります。

単位:リットル/日      


 「熱容量」と同じように「調湿容量」という言葉を使えば、調湿容量の小さい内断熱工法や木造の建築物では、取り入れた空気の含む水蒸気量によって室内の湿度変化が細かく変動します。最低・最高湿度の幅も内断熱工法のほうが大きくなります。

 また、材齢の新しいコンクリートではコンクリートに含まれる水分の一部が水和反応に使われるためではないかと思いますが、室内がやや乾燥気味になるような気がしています。


単位:%        


 夏と冬の盛りの除湿量加湿量はどちらも変わりませんが、加湿・除湿の開始時期中間期の湿度管理は外断熱工法が容易です。

 もう一点、注意が必要なことは内断熱工法では屋内の温度のばらつきが大きいことです。空調室では床と天井の間に5℃程度の温度差がごく当たり前にありますし、空調室と非空調湿の間には10℃以上の温度差があります。空調室でも夜間空調を切ると時間帯によって15℃以上の温度差があることも珍しくありません。
 温度の低い部分で充分な換気が行われていないと上のグラフよりはるかに湿度が高くなり、しばしば結露を起こすことがあります。。

単位:リットル/日      



 外断熱工法では一旦乾燥してしまうと建物の平衡含水率を上げるために大量の水を含ませなくてはならないので、暖房運転開始とともに、あるいは遅くとも12月初めから加湿を行う必要があります。


 エアコンで冷房する場合、夏の除湿は冷房によって行うことができます。
 低温輻射冷房を行う場合には適切に除湿を行わないと相対湿度が80%を越すことがあります。


井戸水熱交換換気の奨め
 2006年9月省エネルギー住宅の提案に暖房・冷房エネルギー削減策として換気のための給気を井戸水と熱交換して室内に取り込む方式を提案しました。

 この第一の目的は年間を通じて約16℃と安定した温度を持つ地下水と氷点下から35℃を超える範囲を変化する外気とを熱交換することで給気温度の変化域を狭め、空調負荷を削減することです。

 東京でこの方式を採用した場合、従来から提案している 100mm断熱した戸建住宅で2004年の気象データでシミュレーションしたところ、暖房負荷を約20%・冷房負荷を約50%削減する効果が認められました。

 井戸水熱交換換気以外の空調をしない場合の温度変化域と20℃・28℃で空調した場合の空著エネルギー消費は、次の表のようになります。2004年は7月20日に最高気温38.9℃を記録するなど猛暑の年でした。RCの外断熱工法を採用すれば平年ならほとんど冷房を必要としない室温を維持できるものと考えられます。

建物種別と熱交換換気の有無 空調なし 空調あり 省エネ効率
最高室温 最低室温 暖房負荷 冷房負荷 暖房 冷房
RC 井戸水熱交換換気あり 29.26℃ 10.23℃
4374KWH
160KWH
14.6% 50.9%
井戸水熱交換換気なし 31.69℃ 8.31℃
5129KWH
326KWH
木造 井戸水熱交換換気あり 32.31℃ 8.37℃
4543KWH
261KWH
11.3% 30.0%
井戸水熱交換換気なし 35.45℃ 6.02℃
5123KWH
373KWH

 換気で取り入れる外気を井戸水と熱交換すると外気に含まれる井戸水よりも高い露点温度の水蒸気を熱交換器で凝結させることになります。
 井戸水の温度に相当する飽和水蒸気量は約12g/kgですから、このページ一番上のグラフの赤い線が12g/kgを超える 4月から10月にかけてこの装置は除湿機としても働いてくれます。


調湿 (追加)
 2006年夏から2007年にかけて、ある公営住宅の室温と湿度のデータを採集しました。先ずオリジナルデータをグラフにしたものをお見せします。


 外断熱工法の住宅はほぼ連続空調をしているため室温が30℃を超えることも20℃を下回ることもありませんでした。
 内断熱工法の集合住宅では間歇空調をしているため年間を通じて室温が毎日 5℃程度変動しています。暖房シーズンの年末年始数日間留守にしたときには暖房を切ったため室温が10度ほど下がりました。
 大まかな傾向として外断熱工法の室温は内断熱工法に比べて夏は低く、冬は高くなっています。これは外断熱工法の建物のQ値が小さく、空調が効きやすいことを反映しています。


 外気の湿度は年間を通して大きく変動しています。「冬は乾燥する」といいますが、水蒸気圧はともかく相対湿度で見る限り冬でも湿度の高い日はかなりの割合で出現します。

 室内の湿度は外断熱工法の建物では夏に60〜80%冬に30〜50%を示し、秋には40〜60%を示しています。内断熱工法の建物では夏の冷房中に50%代の湿度になることがありますが、一年を通じて60〜80%を示しています。
 内断熱工法の建物は24時間換気装置対応以前の建物で、生活に伴って室内で発生する水蒸気が室内にとどまるために高い湿度を示すものと考えられます。

 うえのグラフは1時間ごとに温度湿度をプロットしたもので毎日のデータの変動幅が大きくなっています。そこで、同じ範囲のデータから一日の平均値を計算してグラフを造り直してみました。



 冬の内断熱の高湿度、外断熱の低湿度の最大の理由は24時間換気に求めることができます。


 湿度のグラフ(上)は温度の影響で数値が上下するため特に温度変化の激しい外気の水蒸気量を反映しません。そこで温度データからそのときの飽和水蒸気圧(パスカル)を求め、これに湿度をかけて水蒸気圧を求めて日平均値を計算しました。

 室内の水蒸気圧に注目すると内断熱の建物では全期間を通じて外気よりも高くなっています。これは内部で発生する水蒸気が換気で排除されないためと考えられます。
 一方、外断熱の建物では夏の期間室内の水蒸気圧が外気よりも低く、秋から冬にかけて高くなる傾向があります。夏は24時間換気で取り入れられる外気の持つ大量の水蒸気が室内に入っていますが、エアコンの除湿によって排除される水と乾燥した躯体に吸湿され、冬は加湿と躯体からの放湿によって上の図のような水蒸気圧分布になっているものと考えられます。



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