有限会社 日本外断熱総合研究所          Japan Institute of Insulation
2-7-1RC建物の断熱改修(1/3)
Sustainable Housing   RC建築物の断熱改修

RC建築物の断熱改修  輻射熱対策  両面断熱の考え方


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付録
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付2断熱材性能比較リスト
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付4M邸WEB見学会
付5RC外断熱工法と
付6間違いだらけの外断熱に
 
 
RC建築物の断熱改修

 このサイトには「断熱改修のマニュアル」という断熱改修全般を解説した章があります。

 木造建築物の断熱では、このホームページのタイトルにある「断熱」、「気密」、「防湿」に バランスよく配慮して断熱する必要があります。鉄筋コンクリートや組積造(石・レンガ・ブロ ック造など)の建物でも「断熱」、「気密」、「防湿」に配慮しなければならないのは同じです が、これらの建物は構造体が大きな気密・防湿性能を持っていることが木造(軸組・枠組構造) と基本的に異なります。

 言い換えればコンクリート造などの建物では「気密・防湿性能を持つ構造体のどこをどんな断 熱材を使って断熱するか?」だけを考えればいいことになります。

 「断熱改修の進め方」で、内断熱工法の問題点が、一般には「コンクリート温度が低く、断熱 材と躯体の境界部分に結露域が生じる」こととされていること、しかし、間歇暖房をして室内温 度が下がった部屋では容易に壁表面にまで結露域が拡大することを説明しました。

 内断熱されたコンクリート建築物などの内装材と断熱材を撤去して外断熱改修すればほぼ完全 に断熱改修することができますが、そのためには一旦入居者が退居しなければなりません。断熱 材を撤去したあと、内装を復元するために大きな費用も必要になります。

 断熱改修をする場合、掛けるお金に比べてどれだけ大きな効果が得られるかが重要なポイント です。以下に、断熱性能を上げるために効果的な断熱改修の手法について説明します。


断熱改修の目的
 建物の現状は様々です。皆さんが今使っている建物の断熱改修をしようと考えられる理由と目 的によって、どのような改修をするかを考えましょう。
 
断熱改修の目的と手法
現   状
対  策  と  手  法
 夏、屋根からの輻 射熱で暑い。 夏、強い輻射熱を受ける屋根の温度は壁に比べて極めて高くなりま す。壁よりも厚い断熱材を使うほか、断熱材の上に日除けの効果を 持つ屋根を掛けることも効果があります。
 室内の壁や押入に 結露があり、カビが 生える。  壁の温度が下がる内断熱工法に特有な現象です。建物全体を外断 熱改修するとより効果的ですが、問題のあるところだけに「つぎを あてる」ように部分改修することもできます。
 床が冷える
(一般階)
 床の熱橋部分上下1m程度に外断熱のつぎをあてる。
 床が冷える
(ピロティ上部階)
 上の対策に加えて床スラブの下を断熱する。
床が冷える
(最下階)
 スラブ床の場合は上と同じ。土間床の場合次善の策として内断熱 改修する。
 空調費が嵩む・も っと快適に暮らした  屋根・壁・サッシ・基礎など建物全般に渡って本格的な断熱改修 を行う。


  最後の「空調費が嵩む・もっと快適に暮らしたい」以外は部分改修の方法を挙げましたが、 まだ長期的に建物を使おうと考えている場合、建物全体を断熱改修したほうが良いことは言うま でもありません。
 足場など仮設の費用を考えると、屋根と壁は同時に施工したほうが別々に施工するより経済的 です。



屋根の断熱
 屋根は熱損失の25〜30%を占める部分で、
 屋根の断熱方法には次のようなものがあります。

                       ┌置屋根工法
               ┌─外断熱工法─┤
 コンクリート屋根の断熱方法─┤       │      ┌露出工法
               │       └陸屋根工法─┤
               │              └歩行工法
               └─内断熱工法

 それぞれの断熱工法には次のような特徴があります。
区 分
躯体保護 防水の耐久性 結露防止 空調負荷
外断熱
工法 
置屋根工法
露出工法
×
歩行工法
内断熱工法
×
×
×

 防水メーカー日新工業のホームページの技術資料も参考になります。このページでは内断熱工 法の空調負荷を「小」としていますが、同じ厚さで断熱したとき空調の掛け初めの効きかたの差 があることを説明しているのでしょう。 

 木造建築物の小屋裏に高温の空気が溜まると室内に大きな熱負荷が掛かるように歩行工法の押 さえコンクリートや内断熱工法の屋根スラブも高温になって室内に大きな空調負荷を与えます。 屋根材にはなるべく蓄熱させない配慮が必要です。

 断熱は、「屋根だけ」、「壁だけ」で最適な断熱ができる訳ではありません。屋根・壁・基 礎・サッシなど各部分が連続して建物を包むように断熱することが大切です。
 屋根と壁を異なる時期に断熱改修するときは、最終的にパラペットや軒鼻が断熱材で包まれる ような計画にします。

 屋根断熱に使う断熱材は繊維系断熱材、樹脂系断熱材などがあり、陸屋根工法では樹脂系のも のを使います。建物の中では温度の高くなる場所で逆転結露の心配は少なく、既存断熱材を残す ときは断熱材を選びません。

 省エネを目的にする場合、断熱材の厚さは陸屋根工法では厚いほど効果があります。結露防止 の観点から既存断熱材の倍以上の熱貫流抵抗を持つ断熱材を使い、更に壁の2割増以上の熱貫流 抵抗を持たせます。


外壁の断熱
 一般的な建物では外壁は最も面積の大きい断熱改修対象物になります。
 内断熱のRC建築物を断熱する場合、いわゆる外断熱改修と呼ばれる方法を採用します。外断 熱改修は内断熱建築物の熱橋を通じて建物内外を貫流する熱エネルギーを1/10以下に減らすとと もに、外気に同調して変化していたコンクリート温度を室温に近づける効果があります。

 仮住まいを準備して一旦家財などを引き払って断熱改修するには改修以外に大きな経費を必要 とするので、ほとんどの断熱改修は建物を使用しながら行うことになります。このような断熱改 修では既存の内外装を残し、外装材の外側に新しい断熱層を追加するのが合理的な方法です。
 暖房時の躯体温度は室内温度と外気温度(それぞれの平均値)を内外の断熱材の熱貫流抵抗の 比率で按分した温度になります。(下図参照)


 間歇暖房をする場合、暖房を切ったあと室温はコンクリート温度に向かって低下を始めます。 結露を防ぐためには躯体温度と暖房時の室温との差が5℃程度になるようにするのが望ましく、 東京では既存断熱材の2倍の熱貫流抵抗が目安になります。

 輻射を受ける屋根では断熱材の厚さを充分大きく取るように進めましたが、壁面(特に南側) では入射角度が大きいため、庇など日除けで輻射熱を防げばいいでしょう。

 強い西日を受ける面では断熱材の厚さを増やしてもよいと思います。



 外断熱工法には乾式工法と湿式工法があります。断熱改修工事には取り付け金物が少なく、工 事中に騒音の発生が少ない湿式工法が適しています。


サッシの改修
 以上のように屋根・外壁を断熱改修すると断熱改修された部分からの熱損失は1/3以下に減少し ます。ところが窓からの熱損失はあまり減らないため、はじめ1/4以下だった窓からの熱損失が熱 損失の半分近くを占めるようになります。

 性能の良い断熱サッシに交換することで窓からの熱損失を1/4以下に減らすこともできない訳で はありませんが、欧米のサッシが木ネジで簡単に交換できる取り付け方法を取っているのに対し て、日本のコンクリート造用サッシは鉄筋に溶接され周囲にモルタルが詰められているのでサッ シ交換は工事費・工期・工事中の騒音など多くの問題があります。 
 既存のサッシに真空ガラスを入れる、既存のサッシ枠を生かしてペアガラスの使えるサッシ (障子)に交換するなどの方法で熱損失を半分程度に減らすことができます。


基礎の断熱
 基礎の外周部は壁と同様にEPSや発泡ポリエチレンを使って断熱します。地中部分を深く断 熱することは難しいかもしれませんが、床スラブから1m程度の範囲は断熱したいところです。 周辺の植栽、埋設配管などの状況によって、地中部分の断熱は困難かもしれません。

 基礎内部、土間下の断熱は更に困難です。
 地下水位がそれほど浅くなく水はけの良い地盤なら、特に問題はないかもしれません。
 土や砂はコンクリートや岩石に比べて熱伝導率が小さく、乾燥した状態では木材に近い熱伝導 率になります。やや湿った状態でも木材の4倍コンクリートの1/3程度の熱伝導率しかありま せん。

 しかし、地下水位が浅いときには特別の注意が必要です。水の熱伝導率は0.56W/(m・K)と それほど大きくありませんが、伏流など常に移動している場合、大きな熱損失を招く恐れがあり ます。

 建物の周りに透水管を埋設して建物外周部の水はけを改善するなど、建物の床下に水が溜まり にくい対策を実施して建物下部の土の熱伝導率を小さくすること、スカート断熱という建物外周 の土を保温するように断熱する手法がある程度の効果を発揮すると思います。  







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