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この項では既存の断熱材を存置して、躯体の外側に新たに外断熱を行う方法で外断熱改修を行う
方法で、断熱改修方法を説明しています。
その結果、新築の外断熱工法で建てられた建物と異なり、両面から断熱された状態になりま
す。
両面断熱の例としては、内側と外側に同じ厚さの断熱材(EPS)を使うカナダのICW工法
が良く知られていて、躯体温度が室温と外気温の中間になり「躯体の熱容量を室温安定に生かせ
ない」、「外気温度が下がると内側の断熱材と中央のコンクリートの境界で結露の恐れがある」
といった指摘ができます。
そのような問題を承知のうえで「両面断熱」的な手法を使うのは、既存建物の改修で内断熱を
撤去すれば外壁の内装をすべてやり直すことになって工事費が嵩むうえに、生活しながら断熱改
修することが難しくなり、仮住まいの賃借・家財の移動(引越し)など多大な経費がかかること
になるからです。
両面断熱のデメリットをできる限り避けるため、外側の断熱材の厚さは少なくとも既存の断熱
材(通常は現場発泡ウレタン)の2倍以上の熱伝導抵抗を持つようにすることとします。
ウレタンの厚さを25mmとすれば熱伝導抵抗は
R=1/(0.022*0.025)=1.12
ですから、外側のEPSの最小厚さtは
t>1.12*2*0.036=0.0806
となり、80mm以上の厚さのEPSを使うこととします。
このとき、壁内部の水蒸気と温度の分布状態は次の図に示すようになります。

断熱改修前
躯体温度は約2℃に下がり大きな結露域があります。暖房を切ると室内側温度は躯体温度 に近
付きます。

外側にEPS40mmを加えた場合
躯体温度は10℃に上昇しますが、小さな結露域があります。長時間空調をきった状態で は壁
の表面温度が躯体温度に近付き壁表面でも結露の恐れがあります。

外側にEPS80mmを加えた場合
躯体温度は12.5℃に上昇し、定常分析の結露域はなくなります。壁表面温度が室内側露点
温度以下に下がる恐れも少なくなります。
内装工事をすべてやり直す費用に比べれば断熱材の厚さを増す費用は遥かに安く済みます。し
かし、長時間暖房を切って室温が下がると内側の断熱材とコンクリートの間で結露発生の危険が
ありますから、壁以外の部分もバランスよく断熱するよう心がけましょう。
断熱改修した外壁の一日の温度変化を下の図に示しました。常時空調しているときは躯体より
室内側にはほとんど温度変化がありません。

また、この状態から一日空調を切った場合、コンクリート温度まで室温が下がるものの、その
後の温度低下は非常に緩やかに進みます。

既存断熱材と追加した断熱材の熱貫流抵抗の比率によってコンクリートの平衡温度がきまり、
空調を切った直後の室温はコンクリートの平衡温度と等しくなります。「結露の発生を防ぐため
に既存断熱材の2倍以上の熱貫流抵抗を持つ断熱材を使う」と説明しましたが、追加した断熱材
の厚さが大きいほど室温の安定性が増します。
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