|
|

0.自然エネルギーを使う
「自然エネルギーを使う」というと、何か難しい話のように感じられる方がいらっしゃるかもしれません。でも、灯油や電気を使って部屋を温める代わりに日向ぼっこをするように太陽の光(熱)で部屋を暖めたり、昔の人が当たり前のようにやっていた井戸水で西瓜を冷やすように部屋を冷やすことが第一歩です。
誰でも井戸水が冬場になると暖かく感じることを知っています。井戸水の温度では暖房することは出来ませんが、換気で取り入れる外気を予熱することぐらいは出来ます。
日向ぼっこのように窓から差し込む日射をそのまま取り入れることも自然エネルギーの利用ですし、太陽熱温水器の蓄熱槽に溜めたエネルギーを必要に応じて取り出すことも自然エネルギーの利用です。
普通、エアコンは室外機が外気と熱交換をしています。こういうヒートポンプを「空気ヒートポンプ」と呼びます。
夏は30℃を越える外気に放熱し、冬は 0℃近い外気から熱を回収するために効率があまりよくありません。寒冷地でヒートポンプ暖房が行なわれないのは冬の寒い地域ではヒートポンプの効率が極めて良くないからです。
地盤や地下水と熱交換するタイプのジオ・ヒ-トポンプは夏も冬もほぼ一定な地盤の温度と熱交換するため、空気ヒートポンプよりも優れた効率で働きます。地中熱を取り出す設備に費用が掛かりますが、ランニングコストは半減する上に地中設備は長期間使えるのでエアコンを交換するときも地中設備まで交換する必要はありません。
化石燃料以外の植物起源のエネルギーをバイオマス・エネルギーと呼んでいます。間伐樹、製材廃棄物、発酵によって作られるメタンやアルコール台所から出るゴミまで多彩な廃棄物や未利用エネルギーは放置しても微生物の分解作用によって水と炭酸ガスに形を変えます。
バイオマスエネルギーは炭酸ガスを発生するものであっても地球温暖化の原因にはカウントされません。
これら、自然エネルギーを積極的に使って環境負荷の小さい暮らしを実現しましょう。
1.断熱性能を高めた建物が次にするべきこと
今、関東・甲信越から西の平野部で建てられている一般的な建物のQ値は4〜5程度になっています。
Q値2.7程度の次世代省エネ基準や、私がこのサイトでお勧めしているQ値が1.5程度の 建物を一般的な建物の空調エネルギー消費と比べるとエネルギー消費は少なくなっているもののパネル面積6m2程度の太陽熱温水システムで集熱可能なエネルギー(下の図の赤い点線) に比べてまだまだ大きいことが判るでしょう。

ソーラーシステムの容量を大きくするか、建物の必要とする空調エネルギーをもっと削減するかのどちらかでふたつの数値のギャップを埋めなければエネルギー消費を現実に減らすことはできません。
今、高断熱建物のQ値を 1.5としています。Q値を1.0や0.5に減らせばグラフのエネルギー消費を約2/3、あるいは1/3に減らすことができますが、まず、もうひとつの自然エネルギー「地熱」を使って空調負荷を減らすことを考えます。
2.地中熱利用のいくつかの方法
地中熱の利用方法にはいくつもの方法があります。
ヒートパイプ(ヒートチューブ・クールチューブ)
地盤に埋めたパイプにファンで空気を送り込み、常に16度前後の温度を保つ地盤で、夏は冷やした、冬は暖めた外気を室内に取り込むことで空調エネルギーを減らそうとする試みが、ヨーロッパのパッシブハウスでよく行われています。
外気温度が低いほど、あるいは高いほど、空気を予熱または予冷するエネルギー量は大きくなります。
ヒートパイプを長時間運転すると予熱・予冷効果の一部がが失われるという説もありますが、それは地盤とヒートパイプに送り込まれた大気の間で熱交換が進んだことを証明していると見ることも出来ます。
地下水利用
ヒートパイプは地中に空気を送り込んで熱交換させる、いわば空気を熱媒体とした地熱利用システムです。。
地下水の直接利用は地下水をポンプで汲み上げ、地上においた熱交換器で地下水と空気の間でを熱交換するシステムと見ることができます。
地下水利用は、1本の井戸を掘るだけで温度の安定した水を連続的に汲み上げることができるメリットがあります。比熱・比重の大きい水を移動させるため、空気に比べて熱運搬能力は格段に大きくなります。
ただし、熱交換したあとの水を下水道に流すと十倍以上の熱量を使ったときの電気代に相当する下水道料金に追い討ちをかけられます。
水道料金システムを研究して、熱交換後の廃水を庭の散水や地価に再注水するなど超すと負担のない方法を検討して起きましょう。
ジオ・ヒートポンプ
普通私たちが使うエアコンなどのヒートポンプ類は室内(冷蔵庫)や屋外(エアコン)の空気からポンプのように熱を汲み上げています。
夏は高温の、冬は低温の外気と熱交換するため効率が低下するばかりでなく、霜取運転や、室外機の放熱がうまく行かないと機械が停止することもあります。そうではなくても室外機から夏はムッとする排気、冬は冷たい排気が出ることに驚かれた方もあるでしょう。
室外機の排熱を水冷式にする。冷媒を地中に埋めた配管二流し放熱させる。といった方式を採用することで効率的で快適な暮らしが可能になります。
3.地熱利用のメリットと限界
地下5m以下の地熱は年間を通じて約16℃に保たれています。これは東京など本州の一般的な場所での温度で、北海道では10℃くらいだと聞きました。沖縄あたりではもっと高い温度かもしれません。
冬の暖房に使おうとすると、どんなに効率よく熱交換しても16℃以上に空気や部屋を暖めることはできません。冷たい外気を取り入れるときの予熱に使えても、室内の空気を暖める手段にはなりません。
冷房では換気の予冷に加えて、室内空気温度を下げるために地中熱を使うことも可能です。
一般的な断熱性能の建物では、換気による空調負荷が建物の空調負荷の1/10ほどを占めています。換気のQ値を0.4ほどとすると建物のQ値は4.0ほどになります。
外気温度が30℃、冷房温度が28℃とすると、30℃の外気温度を 2℃下げて室温と同じにするほかに更にその 9倍の18℃下げて外気を10℃まで冷やさなければ、補助的な冷房が必要になります。16℃の井戸水で空気を10℃に冷やすことはできませんから当然別途冷房が必要です。
高断熱建物では、一般に換気による空調負荷は建物全体の空調負荷の 1/4程度です。
井戸水と空気との熱交換で空気を22℃まで冷やすことができるとすれば、外気温度30℃までなら、特別に冷房がなくても室温を28℃に保てることになります。

すぐ上の図で井戸水で熱交換した冷房は年間消費エネルギーが167KWH/年、床面積あたりでは1.4KWH/m2・aに、井戸水と室内からの排気と2段階で熱交換する暖房は年間消費エネルギーが3427KWH/年、床面積あたりでは28.5KWH/m2・aにあわせて3694KWH/年、30KWH/m2・aにしかなりませんが、建物の断熱性能としては一番上のグラフで高断熱建物として示した年間空調エネルギー消費5864KWH、床面積あたり49KWHm2aのものと同じものです。
太陽熱システムの集熱量を控除すると空調用の購入エネルギーが更に小さくなることが見えてきませんか?
更に、建物の断熱性能(断熱材の厚さ)を2倍にすると下の図のように小さなエネルギーしか必要としなくなります。井戸水と熱交換して換気すると冷房負荷がグラフでは読み取れないほど小さくなっていますし、暖房負荷も僅かなものになります。

4.熱交換換気のメリットはどれだけあるの?
次のグラフは冷房暖房を使わないで、井戸水や換気の排気と熱交換換気をした場合の一年間の室温の変化を示したものです。
井戸水や換気の排気と熱交換しないピンクの線で示されたものが冬最も寒く、夏も暑くなるのに対し、冬は井戸水や排気と熱交換したものが暖かく、夏は井戸水と熱交換したものが涼しくなる傾向があります。下の図でも井戸水で熱交換したものはほとんど冷房が要らない温度になっています。
換気で取り入れる外気を井戸水と接触させ、熱交換することで除湿できるので、温度が示すより更に室内は快適なものになるはずです。

秋から春にかけての熱交換換気の室内温度を比べると秋は排気と熱交換する換気のほうが暖かくなるのに対して、春は井戸水だけと熱交換したほうが暖かくなっています。
暖房、冷房をして室内を暖めた場合は熱交換換気はもっと効率的なものになります。
断熱の考え方は、厚い断熱材で建物を包んで熱を逃がさないことですが、換気によって外に逃げる熱を捕まえ、室内に戻すことで「エネルギー使用量を減らして快適に暮らす」ことも断熱と同様に重要なことです。
5.空調時の熱交換換気の省エネ効果
熱交換換気の効果は室温に保たれた空気と外気の温度差に比例して外に捨てられるエネルギーを改修するものですから、断熱性能の良し悪しに関係なく決まります。
もし、空調コスト節約のために充分冷房や暖房を使っていない場合は、熱交換によって改修できるエネルギーも減ってしまうので空調費の節約を心掛けている家では熱交換は期待通りの効果を現さないこともあるはずです。
断熱性能(Q値)が4.5程度で年間空調エネルギーが21000KWHにもなる場合と断熱性能(Q値)が1.5程度で年間空調エネルギーが6000KWH未満の場合では同じように 2500KWHの省エネ効果があっても片方ではエネルギー消費を半減させるほどの効果が期待できるのに、一方ではエネルギー消費を1割ほどしか減らすことができません。
ある程度断熱性能を高めた建物でないと有効な省エネ策が見つからないということになるのです。
空調したときの温度変化の様子は上のグラフの上限と下限を冷房温度暖房温度で切り取ったような形になります。

これは猛暑だった2004年の測定値に基づいたシミュレーションですが、冷房設定温度を28℃とすると実際に冷房が必要な期間は2週間ほどしかありません。
いずれの例も熱交換換気をしない場合のQ値が 1.5の建物をベースに熱交換方式を変えてシミュレーションを行ないました。次にそれぞれの場合の空調エネルギーがどれだけ使われるかも確認しましょう。

上の図からも井戸水で換気用外気を熱交換すれば空調期間が短くなることは確認できます。
冷房エネルギーでは井戸水fだけを使ったものが、暖房エネルギーでは熱交換換気を併用したものがより少ないエネルギー使用になることが判ります。
エネルギー消費の大きい建物では1日1KWHの消費エネルギーを減らしても「焼け石に水」という印象になることも見えてきたでしょうか?
この状態で年間暖房エネルギー消費は約 3600KWH、給湯と暖房が熱源を共有すると暖房と給湯を合わせた約半分をソーラーエネルギーが、残りの半分を補助エネルギーに依存することになります。
6. 実際のエネルギー消費
家庭によってエネルギーの使い方には大きな差がありますが、平均的な世帯について省エネ策をとるかどうかで年間のエネルギー消費がどれくらい変わってくるか比較してみましょう。
一般的な住宅(Q値= 4.5)、次世代省エネ基準適合住宅(Q値= 2.7)、高断熱住宅(Q値= 1.5)と高断熱住宅を元に熱改修を考えたいくつかのパターンを想定します。
エネルギー消費については出力ベースのエネルギーと入力ベースのエネルギーの両方を示します。
|
|
建物のQ値 |
4.5
|
2.7
|
1.5
|
0.95
|
|
入力出力の別 |
出力
|
入力
|
出力
|
入力
|
出力
|
入力
|
出力
|
入力
|
|
照明・動力
|
4493
|
4493
|
4493
|
4493
|
4493
|
4493
|
4493
|
4493
|
|
給 湯
|
3488
|
3488
|
3488
|
3488
|
3488
|
3488
|
3488
|
3488
|
|
暖 房
|
20261
|
5065
|
11114
|
2779
|
5129
|
1282
|
2645
|
661
|
|
冷 房
|
1032
|
258
|
800
|
200
|
755
|
189
|
931
|
234
|
|
厨 房
|
813
|
813
|
813
|
813
|
813
|
813
|
813
|
813
|
|
合 計
|
30087
|
14117
|
20708
|
11773
|
14678 |
10265 |
12370
|
9689
|
表の青字はヒートポンプ使用時の電力量
|
Q値が小さくなるほどエネルギー消費は少なくなりますが、Q値を4.5から1.5に削減すると暖房エネルギーが約1/4に減るのに対し冷房エネルギーは3/4にしか削減されません。トータルなエネルギーは出力で約半分になりますが、使用電力量(入力)では削減されるエネルギーに占めるヒートポンプ利用割合が大きいので30%減に留まります。
|
|
建物のQ値 |
1.5
|
1.5
|
1.5
|
1.5
|
|
省エネ対策 |
井戸水熱交換 |
熱交換換気 |
ソーラー
システム導入 |
さらに
太陽光発電 |
|
入力出力の別 |
出力
|
入力
|
出力
|
入力
|
出力
|
入力
|
出力
|
入力
|
|
照明・動力
|
4493
|
4493
|
4493
|
4493
|
4493
|
4493
|
4493
|
4493
|
|
給 湯
|
3488
|
3488
|
3488
|
3488
|
※3709
|
927
|
※3709
|
927
|
|
暖 房
|
4374
|
1094
|
3427
|
857
|
|
冷 房
|
167
|
42
|
167
|
42
|
167
|
42
|
167
|
42
|
|
厨 房
|
813
|
813
|
813
|
813
|
813
|
813
|
813
|
813
|
太陽光発電
3KWシステム |
|
|
|
|
|
|
|
※
-3347
|
|
合 計
|
13335
|
9930
|
12388
|
9693
|
9997
|
6275
|
9997
|
2718
|
表の青字はヒートポンプ使用時の電力量
|
※ ソーラーシステムは集熱盤面積6m2→10m2のものに計算を変更しました。
※ 太陽光発電システムの発電量はメーカーの試算によるものです。3KWタイプ
建物のQ値4.5から、3.0、1.5とQ値を減らし、さらに熱交換換気・地熱利用・太陽熱利用を進めるとき、Q値が下がるとともに空調に使用するエネルギーは急速に減っていきます。
しかしQ値が1に近づくと、断熱材を増やしてもQ値はなかなか下がらなくなりこの方法だけで省エネを進めるのは困難になります。
そこで、ある程度Q値を減らした後は地中熱や太陽熱の利用によってエネルギーを補うことで使用エネルギーを減らすほうが効果的です。

下のグラフはエネルギーの調達量を示しています。ヒートポンプなどでは出力ではなく消費電力で現されているので上の用途別エネルギーよりも合計量は小さくなります。
地中熱・太陽熱は実際に使用するエネルギー量で増加しますが、それに対する電力を削減するときはヒートポンプの効率分小さなエネルギーしか減らさないので、トータルエネルギーは増加したように見えます。
Q値を減らして消費エネルギーを2/3に減らし、さらに地中熱、太陽熱、太陽光発電などによって購入エネルギーを当初の1/3以下に削減できることがわかります。

ここまでエネルギー消費を削減すると断熱・給湯分野だけで更に省エネを図ることは難しくなります。照明や動力のエネルギー効率を見直すなど違った視点から省エネを進めることになるでしょう。
|
※ |
太陽光発電を導入した場合、発電コストは電力会社から電気を買うよりやや高くなるという試算があります。設置コスト160〜200万円、発電量3347KWH/年と考えると、今の電力料金なら金利を計算しなくても23〜29年かけてやっと元が取れる計算です。
将来電力料金が上がるとすれば、判断は変わります。自己責任でご判断ください。 |
地熱(地下水・井戸水)を使った熱交換換気に皆様のご意見メールをください。
関連する記事が、空調設備>省エネルギー住宅の提案にありますのでご覧ください。
|
|