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放射温度計
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温度ムラのない家の造り方
家の中と外に温度差があると、熱エネルギーは温度の高いところから低いところに向かって移動します。
結露やカビの発生を抑えるには建物内部の温度のムラ、特に冷たい部分ができないようにする工夫が欠かせません。熱の移動には、伝導・対流・放射(輻射)の3種類があることは知っていますね?
建築の熱移動では主に熱伝導による熱の移動を考えますが、輻射や対流による影響もあります。外部の輻射熱や冷え込みで建物本体の温度を変化させないこと、隙間風や壁の中の空洞で起きる対流を最小限にとどめることによって輻射や対流の影響を少なくできます。 |
建築物理学の研究領域
イエテボリ市・チャルマッシュ工科大学
カール=エリック=ハーゲントフト教授の資料から
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建物の外周部分(英語では「Building Envelop(ビル封筒)」と呼びます)では部分ごとの熱の伝えやすさと温度差に応じて熱エネルギーが移動しています。暖房中は熱が逃げ、冷房中は熱が入ってきます。
建物を断熱するのは、移動する熱エネルギーを減らすためです。
断熱性能(簡単に言うと「断熱材の厚さ」)と移動する熱エネルギーの量は反比例しますから、厚く断熱するほど熱エネルギーの移動(損失)は少なくなります。
部分ごとの断熱性能をK値と呼ぶ数値で表しますが、ここでは具体的説明を省略します。
建物の外周部分に断熱性能が低く熱の出入りしやすい部分があると、その部分が熱の通り道になります。窓やヒートブリッジと呼ばれる断熱欠損部分が熱の通り道になり、建物が冷やされたり温められたりします。主な熱の出入り口は「窓」と「ヒートブリッジ」です。
内断熱工法の場合、床や間仕切り壁と外壁の境界部分がヒートブリッジになります。外断熱工法の場合も外部バルコニーなど屋外に突き出た部分と建物本体の取り合い部分がヒートブリッジになりますが、内断熱工法の建物に比べてヒートブリッジとなる部分が少なくその影響もごく小さく抑えることができます。。
熱の移動しやすい場所は初めに暖められたり冷やされたりしますから、家の中で最も温度差の大きい部分になります。
断熱性能を高める
日本の住宅はマンションでも戸建て住宅でも、断熱性能が充分ではありません。日本の本州より遥かに寒い北欧やカナダの住宅で1年に使う空調エネルギーは、比較的暖かい日本より少ないことが日本の住宅の断熱性能を物語っています。
ヨーロッパの住宅の断熱材の厚さは15cmから20cm、ヒートブリッジができないようにしっかり計画されていますから、日本の木造住宅やマンションに比べると建物全体の断熱性能は4〜5倍も良くなっています。少し極端な表現になりますが、「欧米の建物が壁に布団を詰め込んだような断熱をしているのに対し、日本の断熱は壁の中に薄いカーテンを挟んでいる」と言ってもいいでしょう。
断熱性能を高めると建物から外部に熱が移動しにくくなるので、家の中の温度差が2℃程度と小さくなり、空調機から大量の空気を吐き出すこともないので室内の床付近と天井付近の温度差もほとんどなくなります。
さらに、建物から外部に移動する熱エネルギーが減るので空調コストが安くなります。前に書いたように空調コストは断熱性能に反比例しますから、断熱性能を高めるためのコストがすべて持ち出しになるわけではありません。決まった比較法があるわけではありませんが、建築後の空調費の差額と工事に要する費用の差額を比べれば断熱性能の向上のために要した費用は空調費の削減と耐久性の向上で報われます。
ここで、東京地区で充分な外断熱をした建物と普通の内断熱建物の断熱性能を比べてみましょう。 |
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部位 |
内断熱 |
外断熱 |
|
仕様 |
面積
m2 |
K値
W/m2・℃ |
熱損失量
W/℃
|
仕様 |
面積
m2 |
K値
W/m2・℃ |
熱損失量
W/℃
|
|
屋根 |
ウレタン 25mm |
60
|
0.94
|
48.83
|
EPS 120mm |
60
|
0.34
|
17.33
|
|
外壁 |
ウレタン 25mm |
135
|
0.94
|
109.88
|
EPS 120mm |
149
|
0.34
|
43.04
|
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熱橋 |
コンクリート205mm |
14
|
7.94
|
95.61
|
該当なし |
-
|
-
|
-
|
|
窓 |
普通サッシ |
20
|
7.44
|
127.91
|
塩ビ断熱サッシ |
20
|
1.35
|
23.25
|
|
床 |
EPS 50mm |
60
|
0.77
|
40.11
|
EPS 100mm |
60
|
0.40
|
20.79
|
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合計 |
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422.34
|
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104.42
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Q値 |
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Q=3.52W/m2・℃
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|
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Q=0.87W/m2・℃
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外断熱の建物ではQ値が1/4になり、同じ温度に保つときに失われる熱エネルギー、つまり空調に必要な空調エネルギーが1/4になることを示しています。また、空調を切った後も熱エネルギーが失われにくいことになります。 |
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※ |
上の表で、内断熱工法の熱橋からの熱損失量だけで外断熱工法の建物1棟分、あるいは断熱サッシと普通サッシの熱損失の差とほぼ等しい熱損失があることに注目してください。内断熱のまま断熱厚さを増しても熱橋からの熱損失はほとんど減りません。 |
建物に熱を蓄える
さーて、どんな例え話をしましょうか?ちょっと難しい言葉を使えば「建物の熱容量は物質の重さと比熱をかけて、・・・」という説明になりますが、それではあなたが「判らない。『戻る』をクリックしよう」って思うこと必至。いまどき「湯たんぽ」も知らないだろうし、・・・・。そうだ、「やかん」にしましょう。
1gの水が入る「やかん」がふたつあります。両方とも50℃のぬるま湯が入っていますが片方の「やかん」には1g、もうひとつの「やかん」には0.25gと、入っているぬるま湯の量に差があります。
このふたつの「やかん」を気温20℃の室内に置いたときぬるま湯の温度はどのように変化するでしょう。 |
初め、ふたつのやかんの温度は同じ50℃で、同じように熱エネルギーが室内に逃げていきますす。でも、片方の「やかん」は1gのぬるま湯からエネルギーを奪われますが、もう片方の「やかん」はその1/4のぬるま湯から同じエネルギーを奪われます。
その結果、二つのやかんの温度は次の図のように変化します。
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同じ熱エネルギーが奪われても、熱の供給源が多ければ温度はゆっくり下がります。この二つの「やかん」は温度差に比例してエネルギーを奪われます。
外断熱工法で断熱した建物は建物を構成するコンクリートのほとんどを断熱材の内側に抱え込んでいます。一方、内断熱工法で断熱した建物は外壁・屋根など多くのコンクリートを断熱材の外側に追いやってしまいます。
その結果、外断熱工法ではコンクリートのすべてが「やかん」の中の「ぬるま湯」の役目を果たしますが、内断熱工法の建物では戸建住宅で1/3、集合住宅でも1/2程度のコンクリートしか「ぬるま湯」の役目を果たしません。
さて、たくさんのお湯が入った「やかん」を保温マットで包んだら温度変化はどうなるでしょうか?
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下の図で |
赤−
桃−
黄− |
保温マットで包み「ぬるま湯」が1g入った「やかん」
保温マットのない「ぬるま湯」が1g入った「やかん」
保温マットのない「ぬるま湯」が0.25g入った「やかん」 |
を示しています。
断熱性能の良い建物は保温マットで包んだ「やかん」のように熱の奪われ方が少ないので断熱性能の低い建物より温度変化が少なくなります。
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昔は多くの家に「お櫃」がありました。炊き立てのご飯をお櫃に入れ布団で包んでおくといつまでも温かいご飯が食べられました。
内断熱工法と外断熱工法の違いは茶碗に盛ってテーブルの上に置かれたご飯と、お櫃に入れ保温されたご飯のように温度の保ち方の差があると言ってよいでしょう。
コンクリートの建物は断熱性を高め、建物構成部材を断熱材の内側に取り込むことによって温度変化を少なくすることができます。
木造の建物では木材の持つ熱容量がコンクリート造の建物に比べて小さいので、外張断熱するメリットは余り大きくありません。床部分をコンクリートとしてよく断熱し、室内側に取り込む工夫をすることで温度変化を小さくすることができます。
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外断熱工法のRC建築物は建物内の上下温度差や部屋と部屋との温度差をなくす性質を持っています。
空調機で暖められた空気は軽いので浮力を受け天井付近に集まります。内断熱工法の建物では室内空気と躯体の間に断熱材があるのでコンクリートと室内空気は熱交換することができませんが、外断熱工法の建物では室内の空気が暖かければコンクリートが熱を吸収し、空気が冷たければコンクリートが熱を放出します。
室内の空気との熱の授受によりコンクリート内部に温度差ができるとコンクリ-ト内部の熱伝導により躯体温度が等しくなる方向に熱の移動が起こります。
一般に内断熱工法の建物では室内の天井付近と床付近に5℃程度の上下温度差が、空調室と非空調室の間に8度程度の温度差が生まれますが、外断熱工法の建物では吹抜けを持つ建物内部で1℃程度の温度差しか生じません。
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