断熱・気密・防湿 
有限会社日本外断熱総合研究所
3-1-10 やさしい断熱講座 空調と温度差(10/13)
やさしい断熱講座
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空調と温度差
 暖かい空気は軽く、冷たい空気は重いものです。熱気球が人を乗せて大空を飛ぶことができるのも暖められた空気が軽いと言う性質を利用したものです。

 本題に入る前に20mの居間があると思ってください、天井高を2.4mとすると部屋の体積は48mです。この部屋の空気の重さはどれくらいあると思いますか? 正確な重さは気温や湿度によって違いますが、空気の比重はおよそ1.2kg/mですから、約58kg、つまり大人ひとりの体重に近い重さです。

 次に温度によって空気の比重がどのくらい変化するかをグラフで見てみましょう。単位はkg/です。



 35℃の空気が1mあたり1.11kgなのに対して15℃の空気は1.22kgの重さがあり、20℃の温度差で比重が約1割違います。強力な空調機を使うほど室温と空調機の吹出し口から出る空気の温度差は大きく、重い空気と軽い空気が上下に分離しやすくなります。
 したがって、冷えた部屋を暖めようと暖房をかけても暖かい空気は天井付近に集まり、足元はなかなか暖まりません。

 十分な断熱性能を持たせられない内断熱の部屋では長時間暖房を掛け、気温が安定した状態になっても天井付近と床付近では5℃程度の温度差があると言われています。充分に外断熱された建物の部屋に比べて壁や窓を伝わって室内に侵入する寒さがより多くの空気を冷やし、より多くの冷たく重い空気を床付近に集めるからです。
 これは、ちょうど浴槽の湯を追い炊きしたときに混ぜ続けていないとお湯の表面ばかりが熱くなって、底のほうはちっとも暖かくならないのと同じ現象です。

内断熱の建物 室内の温度分布
暖房時
冷房時


 室内の上下温度差を左右する要因としては暖房(冷房)設備の発熱量と送風量、建物の熱損失量、隙間相当面積などがあります。

 部屋を暖めるのに部屋の空気だけを暖めればよいのなら、空調機を動かし始めてしばらくすれば部屋全体が暖かくなる筈です。先程の20mの部屋の空気58kgの温度を5℃上昇させるのに必要なエネルギーは70Kcalほどに過ぎません。ところが、部屋の温度を上げるには空気のほかに断熱材の内側にある建物の床・天井や家財・家具も一緒に暖めなければならなりません。内断熱の建物でも空気以外のものを暖めるのに必要なエネルギーは空気を暖めるエネルギーの100倍以上、外断熱の建物では実に400倍以上になります。

 一旦空調を切った後、空調をかけると空調機からの熱は建物の部材や家具に奪われて、冷たく重い空気は床の付近に、暖かく軽い空気は天井付近に集まります。これが室内に上下温度差が生じる原因です。

 建物の躯体と室内空気の間に断熱材のない外断熱工法のRC建築物では空気の持つ熱が躯体に吸収され躯体を通じて建物内に再配分されますが、内断熱工法の建物では躯体による熱の再配分機能がほとんど働きません。

 断熱性能が低い建物では建物が熱平衡状態になっても外壁やサッシのガラス面で大量の空気が冷やされ対流が続き上下温度差が大きくなります。

 このほか、気密性能が低い建物でも上下温度差が大きくなります。


 外断熱工法の建物には室内の温度分布を均等化させる力があります。
 外断熱工法の建物でも暖かい空気は浮力を受け天井方向に集まろうとしますが、躯体と室内の間には断熱材がないので空気の持つ熱は躯体に奪われ、躯体の大きな熱伝導率で建物内部の温度が均等になるように低温部分に熱が伝えられます。

 内断熱工法の建物でも一部の熱は床に吸収され間仕切壁を伝って床に貫流しますが、多くの熱は外壁の熱橋から外部に奪われてしまいます。

 木造の建物では構造材に大きな熱伝導率がないため、外張り断熱をしてもサーキュレータなどを使って暖かい空気を床方向に循環させる必要があります。

外断熱の建物 室内の温度分布
暖房時
冷房時




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