断熱・気密・防湿 
有限会社日本外断熱総合研究所
3-1-7 やさしい断熱講座 セルロースファイバー(8/14)
やさしい断熱講座
セルロースファイバー
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セルロースファイバー =木造住宅用一押しの断熱材=

 セルロースファイバーも一種の繊維系断熱材です。しかし、ミネラルウール(MW)と呼ばれる
鉱物繊維のロックウールやグラスウールと比べて特異な性能を持っています。

 セルロースファイバーは「吹き込み工法」や「吹付け工法」で施工されることの多い断熱材で
す。ほかの繊維系断熱材でも「吹き込み工法」や「吹付け工法」で施工されることもありますが、
通常はロール状、またはマット状のの断熱材が使用されることが多いのに比べて、セルロースファ
イバーはほとんどが吹き込み工法、一部で吹付け工法が使われます。

 羽毛布団の中の羽毛のように加工した木材繊維を床下・壁の中・天井裏のスペースに「流し込
む」ように充填するので、空洞を完全充填できることがセルロースファイバーを使う最大のメリッ
トです。壁に使うセルロースファイバーには沈下を防ぐため微量の接着剤が含まれています。

 セルロースファイバーの性質としては次のようなことが言われています。これらの性能は科学的
に充分解明されているとは言えません。

@  相対湿度が高くなると大量の水蒸気を吸収して結露を起こさせにくい効果がある。
A  高密度に充填するとほかの繊維系断熱材より気密性能が大きくなる。
B  主に吹き込み工法により施工されるので形状の複雑な空洞を完全充填できる。
C  吸音性能に優れている。
D  ホルムアルデヒド、VOCなど化学物質過敏症の原因物質を含まない。

 セルロースファイバー工業会のホームページでもこういった内容を表示していますが、私は理論
的な信頼性にやや疑問を持っていたため、結露防止効果には力点を置かず「完全充填できる」点に
ウエイトを置いて紹介してきました。

 セルロースファイバーの調湿性能を生かすには鉱物繊維系断熱材ならある程度の結露を生じるよ
うな状態(MW使用時日平均気温で壁内部の最も冷たい部分の相対湿度120%程度)まで許容さ
れると言う考え方があります。しかし、次のようなことはまだ充分に解明されていません。

@  どの程度まで低温になるところで防湿層なしで安全に仕えるか?
A  セルロースファイバーの調湿性能を生かすように防湿層なしで施工したとき、多量の湿気を含んだセルロースファイバーの断熱性能はどの程度低下するのか?
B  結露、セルロースファイバー中での水分移動は、同時に潜熱の移動に関係します。そのメカニズムもよくわかっていません。

 「判らない=駄目」と考える必要はありませんが、今のところやや安全側に考えたほうがいいで
しょう。関東以西では外側にシージングボードを貼る場合の内側壁下地はプラスターボードでよ
く、外側に構造用合板を使う場合には簡単な防湿層を設ける必要があります。


 最近になって、Yahoo掲示板でセルロースファイバー(CF)を使った断熱工法の効用につ
いての論議に参加しています。


 まだ完全に理論的な解説ができるわけではありませんが、およそ次のようなことが言えます。

@  セルロースファイバーは相対湿度が高くなるほど大量の水蒸気を吸着し、結露防止の効果が大きい。45kg/m3の密度で充填すると300倍以上の体積の空気から水蒸気を吸着できる。
A  低温低湿部分で繊維細胞内が水で満たされても、周りの部分に吸湿余力があると繊維内を水が拡散して含湿比の小さい部分に移動するらしい。
B  したがって、退場分析では吸放湿しないMW系断熱材なら結露を起こす領域に入った使い方をしたほうが調湿効果を期待できる。
C  しかし、調湿効果の追求と結露の発生は諸刃の剣であり,調湿性能のメカニズムが科学的に解明されるまではやや安全側に考えたほうがよい。
D  当面は外気条件を厳寒期の月平均気温と月平均湿度として結露域を生じない壁構成とすることが好ましい。外壁の外側に構造用合板を貼るときには合板の透湿抵抗に特別な注意をはらう。
 


 セルロースファイバーは山本順三さんが書いた「この本を呼んでから建てよう」(三一書房刊)
で紹介された断熱材です。アメリカやカナダでは最も多く使われている断熱材ですが「いい家が欲し
い」の松井修三さんは「家の中が埃だらけになる」とこき下ろしました。(我田引水の議論です。見
苦しい!)


構造用合板の透湿性能について
 日本では、JISの定める方法により透湿性能を測定しています。木質系材料の透湿性能は相対湿度が高いほど大きくなります。欧米ではドライカップ法(両面の相対湿度0%〜50%)、ウエットカップ法(両面の相対湿度50%〜100%)で測定して、両者の数字が併記されています。JISの測定方法はドライカップ法に近いもので、透湿抵抗が大きく(透湿性能が小さく)表現される傾向があります。
 しかし、ウエットカップ法では木質面材の透湿抵抗が小さくなると言っても、構造用合板の透湿抵抗は大きめで、外側面材に構造用合板を使用したケースではセルロースファイバーを使用しても結露がみられたとの報告があります。

 木質面材の中でもMDFのように充分な壁倍率を持ち、構造用合板に比べて透湿抵抗の小さい面材が普及してきていますから、外壁下地にはダイライトなど無機質パネルを含む透湿抵抗の小さい面材から、使用材料を選ぶようにしましょう。
 無機繊維系断熱材を使う場合、外側面材の透湿抵抗は小さいほど良いのですが、セルロースファイバーを使う場合は、内側面材(内装下地)のドライカップの透湿抵抗と外側面材(外装下地)の透湿抵抗のバランスに配慮します。東京など温暖地ではほぼ同等な透湿抵抗を持たせるようにし、寒冷地では外装下地の透湿抵抗を3分の1程度に小さくします。東北地方などでは2分の1が目安になるでしょう。

 構造用パーティクルボード「ノバポン」をMDFと同様に透湿抵抗の小さい面材として紹介し
ましたが、その後ノバポンは構造用合板と同等の透湿性能を持つことが判明しました。
 したがって、木造建物の外装下地にノバポンを使用する場合、透湿抵抗が小さい面材と考え
るべきではないことに留意してください。                      
2005/03/19


セルロースファイバーと他の断熱材の比較
@ 充填性  主に吹き込み工法で施工され、胴縁や筋交いのある複雑な形状の空洞を完全充填できる。
 完全充填できるため、他の断熱材に比べて実質的熱抵抗が大きい。
 
A 密度  袋入り断熱材に比べて施工密度が2〜5倍あり、断熱性能が大きい。
 
B 気密性能  高密度で施工すると気密性能が高くなる。
 
C 吸放湿
 相対湿度が上がると繊維細胞中に水蒸気を吸着して調湿する。
 調湿性能は壁の内外側の面材の透湿抵抗比で調整可能で、寒冷地では1:3、本州温暖地では1;1程度でよいと経験的に知られているが、理論的解明は途上である。
 セルロースファイバーは空気の50倍近い密度を持ち飽和状態で重量比20%以上の水蒸気を含むことができる。これは空気に比べて重量比で10〜20倍、体積比で500〜1000倍に相当すします。
 室内側の下地材の透湿抵抗をグラスウールを使う場合に比べて小さくすることで室内の過乾燥と多湿を平準化できます。
D 安全性  セルロースファイバーはVOCフリーの断熱材です。
 新聞印刷用インクの環境対応として、大豆インクへの転換が進んでいるため、残存鉱物油はほぼないと考えられ、安全性は増進しています。
 セルロースファイバーにはホウ素化合物を含み、壁用吹き込み材料には沈下防止のため微量の接着剤が添加されています。
 
E 吸音性  繊維細胞に多量の空気を含むため、他の断熱材よりも吸音性能が優れています。
 
F 価格  特殊な機械を使って吹き込むため他の断熱材に比べて約3倍の施工費がかかり、施工費にして60〜70万円/戸のコストアップになる。
 しかし、断熱性能差により年間空調費が10万円近く節約できるので、工事費差額は10年以内に回収できます。
 



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