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建物と熱
建築の空調負荷計算では外気温度と室内温度の差を基準に、温度差に応じた熱の移動があるものとして熱損失を計算し、熱損失に見合うエネルギーを補うように空調設備の出力を決めます。
ところが、気温を決める要因を地球規模で考えると大きな熱の移動は輻射によって行われています。
太陽から来る輻射熱で地球が暖められ、地球の各部分の温度に応じた輻射熱が宇宙空間に放射されて地球が冷やされて、「太陽から受けるエネルギー=宇宙空間に放射されるエネルギー」となるように地球の温度が決まっています。
面積あたりの太陽から受けるエネルギーと宇宙空間に放射されるエネルギーを比較すると、赤道近くで大きく極地で小さく、昼に大きく夜に小さく夏に大きく冬に小さくなります。
輻射だけである場所の温度が決まると考えると月の表面や砂漠のように日のあたる時間は灼熱、夜は凍るような寒さになりますが、海水や大気、地盤などの蓄熱、対流によって平準化されたものが私達の感じている外気温度です。
建物も太陽からの輻射熱を受け、宇宙空間に熱を放射する程度によって室内の温度を変えています。雨の日、曇った日にあまり室温が上昇しないのは外気温度が低いからではなく、太陽からの輻射熱の多くを雲が受け止めて建物まで届かせないからです。
建物は太陽や宇宙空間から直接熱エネルギーを交換しています。輻射熱に着目すると外気や地盤との熱伝導による熱交換は二次的な温度調整であることに気が着くでしょう。
以下に通常行われている建築物における熱負荷の考え方を説明しますが、ここに述べられていない太陽と宇宙との熱交換がより重要なことを理解した上でこの続きをお読みください。
建物に関係する熱は大きく分けて3種類あります。
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内部発生熱 |
建物内での人の生活に伴って発生する体温・家電製品・照明器具からの発熱
16.7KJ/m2・hとして計算しても良いとされている。 |
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熱取得または熱損失 |
屋内気温と屋外気温に温度差がある場合に換気・熱伝導・輻射等により
建物の外から中へ、または中から外へ移動する熱 |
空調機から供給される
熱 |
上のふたつの熱によって室温が快適域を外れる場合、人工的に供給又は
排出される熱 |
内部発生熱は使用する家電製品、照明器具の数と種類、居住人数などに基づいて建物ごとに固有の特性があります。同じ面積の建物でも多くの人が住んでいたり、たくさんの照明器具があったりすれば大きな内部発生熱があります。
16.7KJ/m2・hは平均的な値と考えてよいでしょう。
熱取得または熱損失は建物の断熱性能日射取得性能などの特性と内外温度差によって増減します。
主な熱移動は Q値×内外温度差×床面積 の式で計算できますが、この式で計算されない外壁表面温度の上昇、日射の差込による熱移動、換気による熱移動など様々な形で熱は移動します。
上のふたつの熱によって室温が快適粋に保てない場合、空調によって室温を補正する必要があります。
空調機の負荷は
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暖房時 |
外部損失熱−内部発生熱 |
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冷房時 |
外部取得熱+内部発生熱 |
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となります。
暖房時の外部損失熱が内部発生熱と等しくなるようにQ値を下げると無暖房住宅が実現します。
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上の図では冬の熱損失と夏の熱取得を一つに纏めて書いていますが、細かく分けると壁・屋根・床・窓などの建物の部分ごとからの熱損失・熱取得に分けられます。ほかにも換気にともなう熱損失・熱取得や輻射による熱損失・熱取得があり、換気に伴う熱は温度成分の顕熱と湿度(水蒸気)成分の潜熱に分けることができます。上の図はそういった熱移動の合計を一つにまとめたものです。
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建物が熱容量の大きい蓄熱体を持つ場合、国土交通省の「住宅の省エネルギー基準」には蓄熱を別枠で考えるような記述があります。私は蓄熱体の表面温度を外気温度に置き換えて考えてもいいのではないかと言う立場ですが、どちらにしても同じ現象を違う角度から見ていることになります。 |
熱損失・熱取得は主にQ値に比例して増減します。床面積120uの戸建住宅でQ値が4W/m2・Kと1W/m2・Kのとき、暖房負荷と冷房負荷がどれだけになるかを見てください。
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冷房時
外気温度35℃
冷房温度28℃
(昼のピーク)
暖房時
外気温度 5℃
暖房温度20℃
(1月平均)
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断熱に少しお金を掛ければ空調設備にかかる費用や将来のランニングコストを減らすことができま
す。
「建物を断熱すると冬の寒さと夏の暑さがが和らぐ」と考えている方が多いのではないでしょう
か?
断熱材をある程度の厚さで使うと外気の温度変化幅よりも室内の温度変化の幅の方が小さくなる
傾向があります。
室内を冷房も暖房もしていないときには断熱材やほかの壁材料を使った場合でも、外壁表面の平
均温度と室内側の平均表面温度に違いはありません。「壁を厚くした場合に暑さ寒さのピークがカ
ットされる現象がある」ということです。
この傾向は断熱材以外の石や土のの壁でも認められ、ログハウスのような木の壁もこの性質を持
つものと考えられます。
戦前から戦後昭和40年代頃まで地方の旧家には土蔵が数多く残っていました。中に入った経験を
お持ちの方もあると思いますが、夏でもひんやり涼しく、冬の厳しい寒さも和らげられるものでし
た。
使う素材と厚さによって室内側の温度の安定度の違いが生じます。この違いは熱伝導率と比熱の
比率によって生まれます。
下に示した図はEPSとコンクリートの厚さによって右側の外側表面温度が素材中および室内側
(左)に伝わる様子を表しています。断熱材だけで室温を安定させるには少なくとも3〜40cmの
暑さが必要になること、断熱材よりもコンクリート壁を厚くするほうが室温の変化を小さくするこ
とが判ります。
単一の素材で室内の温度変化の幅を小さくしようとすれば相当な厚さの壁を作らなくてはなりま
せん。
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図-1 断熱材(EPS)の厚さと室内温度変化 |
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図-2 コンクリートの厚さと室内側温度変化 |
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大きな熱容量を持たない木造建築物の断熱壁は上の左の図のような温度変化域を持っています。
次に室内を空調しないときに断熱材とコンクリートを組み合わせた内断熱工法と外断熱工法の外
壁内部と室内側表面温度がどのように変化するかを比較します。
内断熱工法の壁(下左)ではコンクリ-ト中の温度は断熱材の厚さに関係なく右上の無断熱コンク
リートよ同じように変化し、断熱材の温度もコンクリート室内側表面と同じように変動します。空
調を入れない限り壁の室内側の表面温度変化域は断熱材の有無と厚さには関係しません。蓄熱した
コンクリートの温度が熱容量の小さい断熱材にそのまま伝えられます。
外断熱工法の壁では温度変化は右側の断熱材内部で激しく起こり、コンクリートの温度は僅かし
か変化しません。比重と熱容量の小さい断熱材が蓄えた熱エネルギーはコンクリートの温度を変化
させるには小さいのです。
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図-3 内断熱壁の室内側温度変化 |
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図-4 外断熱壁の室内側温度変化 |
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もう1度上の図-2と図-4を見比べてみてください。外断熱工法の断熱材は厚いコンクリートの壁
と同じように室温を安定させる効果を持っていますが、内断熱工法の断熱材にはその効果がまった
くありません。
外気温度の一日の平均値が冷房・暖房基準温度付近にあるとき、外断熱工法で断熱された建物で
はほとんど空調の必要はありませんが、内断熱工法で断熱された建物では一日の半分は空調しなけ
ればなりません。
理科年表によると東京の8月の平均気温は27.1℃ですから、日射による空調負荷がなければ東京
では冷房をつける機会は少ないと考えてよいのかもしれません。
温度バリア
住居学では住宅を外部環境に対する温熱バリアだという見方をするようです。「外部がどんなに
熱くても、また寒くても、住居の中は快適な温度と湿度に保たれなければならない」という考え方
です。
建物は屋外の環境と熱を受けたり与えたりし、建物の内部でも居住者の体温や家電製品などから
熱が発生しています。人間が快適と感じる室内温度は20〜26℃前後の温度帯です。
熱収支の結果屋内が適温になるときは冷房も暖房も必要としませんが、熱が過剰となり屋内温度
が上昇しすぎるときは冷房を必要とし、熱が不足して低温となるときは暖房を必要とします。
それでは、建物に作用する熱にはどのようなものがあるのでしょうか?
熱には空気や建物部材など物の温度として存在する「顕熱」と空気中の水蒸気が持つ「潜熱」と
があります。「潜熱」は空気中に含まれる水蒸気と同量の水を蒸発させるのに必要な気化熱と等し
い熱量です。
建物に作用する熱には次のようなものがあります。
顕熱として作用するもの
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1−(@) |
室温と外気温又は地温との温度差によって外壁・窓などを貫流する熱 |
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1−(A) |
換気又は漏気によって輸送される熱 |
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1−(B) |
日射の吸収又は夜間放射によって発生する熱 |
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1−(C) |
家電製品人体などから発生する熱 |
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1−(D) |
床・壁その他熱容量の大きな部位に蓄えられる熱 |
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潜熱として作用するもの
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2−(@) |
換気又は漏気によって輸送される水蒸気が保有する熱 |
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2−(A) |
厨房器具・人体などから発生する水蒸気が保有する熱 |
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平成11年3月に通商産業省と建設省が告示した「住宅に係るエネルギー使用の合理化に関する建
築主の判断の基準」は以上の熱負荷を計算して年間暖冷房負荷を地域ごとに一定の値以下にする
か、あるいは1−(@)、(2)を元に計算される熱損失係数(Q値)と夏期日射取得係数を一定の値
以下にするように求めていますが、上記の熱の中には計算方法が明確に示されていないものもあり
ます。
各項目ごとに説明を加えます。
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1−(@) |
室温と外気温又は地温との温度差によって外壁・窓などを貫流する熱
建物内の暖房温度を18℃、冷房温度を27℃として、暖房度日・冷房度日と熱損失
係数(Q値)から計算します。建物の表面温度が日射により気温よりも高くなる影響は
1−(D)で考慮します
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1−(A) |
換気又は漏気によって輸送される熱
隙間相当面積(C値)を考慮した換気回数をもとに上記の熱損失係数を割り増します。
東京の平均風速を基準に計算するとC値=5の建物は隙間換気だけでも換気回数が2回/時間程度になりますし、内外温度差によっても換気回数は違って来ます。
熱交換換気をする場合は熱交換換気分だけ熱損失が少なくなります。
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1−(B) |
日射の吸収又は夜間放射によって発生する熱
夏、窓からの日射による熱吸収を減らすため夏期日射取得係数を一定値以下にするように推奨されています。しかし、日射取得係数を熱負荷に換算する式は示されていないようです。
庇やすだれの活用、ガラスにフィルムを貼るなどの方策で日射による熱取得を減らすことができます。
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1−(C) |
家電製品人体などから発生する熱
居住者数、在宅時間、家電製品・照明器具の使用状況から実際の熱負荷を計算できますが、16.7KJ/u・hと想定しても良いとされています。
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1−(D) |
床・壁その他熱容量の大きな部位に蓄えられる熱
日射を受ける屋根や壁は、海水浴場の砂のように高温に熱せられ6〜70℃まで温度
が上昇します。熱容量の大きな部分は長時間放熱を続け、夜になり日射がなくなっても
外気よりも温度が高い状態になります。
夏、屋外に駐車していた車の室内温度が上昇するのも蓄熱の影響です。
1−(@)の貫流熱は屋根や外壁などの表面が外気と同じ温度と考えて計算しますか
ら、蓄熱の影響を考慮したものではありません。
内断熱の建物では外気温度と室内温度の差より、外気温度と外壁の表面温度の差のほ
うが数倍も大きくなることがあるので、実際の冷房負荷は非常に大きなものになりま
す。
理科年表によれば、太陽光は地球の大気圏外で1.37KW/m2のエネルギーを持
つそうです。地表に到達しても最大1KW/m2と言われるエネルギーがあります。
季節・時間・天候などにより、空気中のガスや塵埃に捉えられるエネルギー量は変化
しています。東京では年間昼夜平均142.9W/m2の輻射熱を受けるそうということで
す。
空調を考えるうえで、月別、あるいは季節別の日射エネルギーの大きさを知りたいと
ころですが、もう少し調べないと詳細は判りません。暫くご猶予ください。
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2−
(@) |
換気又は漏気によって輸送される水蒸気が保有する熱
1−(A)の顕熱と同様に換気回数を元に計算します。 全熱交換する場合熱負荷が軽減されます。
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2−
(A) |
厨房器具・人体などから発生する水蒸気が保有する熱
1−(C)と同様に計算できますが、4.2KJ/u・hと想定しても良いとされています。
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以上の七つの熱を定量的に正確に把握するのはかなり困難で、一般には1−(@)、(A)を元にQ
値を求め適宜安全率を掛けて空調負荷を計算します。
熱の単位には様々なものが使われます。少し前まではKcalが多く使われていました。最近ではW
(ワット)やKWH(キロワットアワー)が使われることが多くなりました。しかしJ(ジュール)や
MJ、GJが使われることもあります。参考のために各単位の換算表を示しておきます。熱の国際
単位(SI)はJです。
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MJ
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KJ
|
J
|
Kcal
|
cal
|
KWH
|
WH
|
|
MJ |
1
|
1×103
|
1×106
|
2.4×2
|
2.4×105
|
0.2778
|
277.8
|
|
KJ |
1×10-3
|
1
|
1×103
|
0.24
|
2.4×102
|
2.778×10-4
|
0.2778
|
|
J |
1×10-6
|
1×10-3
|
1
|
2.4×-4
|
0.24
|
2.778×10-7
|
2.778×10-4
|
|
Kcal |
4.1865×10-3
|
4.1865
|
4186.5
|
1
|
1000
|
1.16×-3
|
1.16
|
|
cal |
4.1865×10-6
|
4.1865×10-3
|
4.1865
|
0.001
|
1
|
1.16×-6
|
1.16×-3
|
|
KWH |
3.6
|
3.6×103
|
3.6×106
|
860
|
8.6×105
|
1
|
1000
|
|
WH |
3.6×10-3
|
3.6
|
3.6×103
|
0.86
|
860
|
0.001
|
1
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1J=W・秒、1WH=3600J、1cal:水1gの温度を1℃上げるエネルギー
空調負荷を小さくするためには一般に行われているQ値を小さくすることで大きな効果を得られ
ますが、それだけでは充分ではありません。
計算で正確な年間空調負荷を求めるのは困難ですが、Q値を小さくするほか、建物から空気の漏
れる隙間をれらす、窓を小さくする・庇やすだれガラスにフィルムを貼るなど窓からの日射量を減
らす工夫をする、照明器具からの発熱量を減らす、建物の外壁や屋根表面に熱容量の小さい材料を
使うなど細かい配慮をすることで冷暖房負荷を確実に減らすことができます。
太陽熱温水器の集熱効率を示すデータを調べたところ、8月の晴天日の輻射熱は4.5〜6KW
H/日に上ります。建物に吸収される比率を50%、さらにこのうち20%の熱が室内に及ぶとすれ
ば屋根から受ける輻射熱は500WH/m2日にもなります。この輻射熱のエネルギーは2階建ての
戸建住宅(Q値=5.2)が熱伝導で取得する熱の4倍以上にもなり、大きな冷房負荷を与えます。
建物の外側に使う部材を熱を蓄え難いものにし、蓄えた熱が室内に伝わり難くすることが
冷房負荷の軽減に役立ちます。 |
建物の断熱性能
ここまで、建物の断熱性能(熱損失性能)をQ値で表すことを説明してきました。Q値の単位はW/m2・Kです。これは、室内と屋外の温度差1℃ごとに建物から失われるエネルギーを建物の床面積で割った数値です。
熱損失とは熱が漏れることです。水の漏れる桶を想像していただくと判りやすいかもしれません。尤も、最近はプラスティックの普及で水漏れする桶などなくなりましたから、「水の漏れる桶」と言っても「何それ?」と言われるでしょうか?

桶からの水漏れは隙間を塞ぐことで大きく減らすことができます。プラスティックなどでライニングすれば、ほとんど水漏れしないようにすることもできます。
ところが熱損失は物質の持つ振動エネルギーの損失です。どんな物質でも熱伝導率があります。熱損失を減らすには断熱材を多く使って熱損失抵抗値を大きくするしかありませんが、断熱材をn倍使ってもn分の1の熱損失は残ります。
(熱がまったく漏れない建物が造れれば、空調エネルギーはまったく要らないことになります。)
上の絵で温度差は桶に入った水の深さに相当します。「水の量ではなく水の深さに比例して漏れる量」が決まるように、熱漏れの場合は「建物が蓄えたエネルギーではなく建物内外の温度差に比例して熱損失量が」決まります。
建物を空調しているとき、必要なエネルギーは漏れるエネルギーと等しくなります。Q値の小さい建物は熱の漏れが少なく、少ないエネルギーで空調できます。
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※ |
桶からの水漏れをどれほど小さくすれば経済的か?という疑問を持ってみてください。 |
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空調エネルギーが無償ならば、どんなに熱損失しても桶の値段(建物価格)が安い方が経済的です。しかし、多くの家で断熱工事費をケチった結果満足な空調ができないほどエネルギーを浪費しています。
関東地区などW地域に区分されているところでは次世代省エネ基準のT地域並あるいはW地域の目標とするQ値の半分程度まで熱損失を減らしてもそのための工事費増加より空調費の節減額のほうが大きくなるだろうと思います。 |
室温の安定性
建物から熱エネルギーが失われても、失われたエネルギーと同じエネルギーを補っていれば室温は一定に保たれます。しかし、一旦空調機のスイッチを切るとエネルギーの供給は止まり、室温は低下(冷房時は上昇)しはじめます。
この時の温度変化は建物の熱容量に反比例して変化します。熱容量は断熱材の内側にある重量と比熱を掛けた数値の累計で、桶の中の水の量に相当します。
大量の水の入った桶と少量の水の入った桶から同じ量の水が漏れているとき、大量の水の入った桶の水深はゆっくり下がりますが、少量の水の入った桶の水深は急速に下がります。
内断熱のコンクリートの建物は熱容量の大部分を占める外壁や屋根を断熱材の外側に置くことで外断熱の建物に比べて1/4程度の熱容量しか持っていません。
したがって、同じQ値の建物を外断熱工法と内断熱工法で建てたとすると内断熱工法の建物は4倍程度室温の変化が大きくなります。
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内断熱の建物 外断熱の建物
「大きな桶から漏れる水の量が多く見える」って?
漏れる水の量は水深だけに比例すると考えてください。Q値はそのように定義され
ています |
このサイトで推奨している方法で外断熱したコンクリートの建物は内断熱工法の建物に比べてQ値が1/3〜1/4になります。熱損失が少なく、熱容量の大きい外断熱工法の建物は内断熱工法の建物に比べて10倍以上も室温が安定するわけです。
木造の建物ではそれほど大きな熱容量は期待できませんから、熱損失性能に応じた温度変化があると考えてよいでしょう。
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