断熱・気密・防湿 
有限会社日本外断熱総合研究所
3-1-4 やさしい断熱講座 断熱と結露(5/14)
やさしい断熱講座
断熱と結露
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断熱と結露

三種類の結露がある
 結露は空気中の水蒸気が凝結して水になる現象です。
 結露現象のほとんどは外壁廻りで起きます。結露の起き方によって室内空気の持つ水蒸気に起因する結露には外壁の室内側やサッシやガラスの表面で起きる表面結露、壁の内部でおきる内部結露があり、屋外の湿った空気が原因で起きる結露に逆転結露があります。

 車に乗っているとフロントグラスが曇ることがあります。ガラスの室内側が曇るのと同じようなでき方をするのが表面結露、ガラスの外側が曇ったり夜露が降りるような結露が逆転結露です。

表面結露
 室内側表面の温度に室内空気の露点温度より低いところができると、その部分が天然の除湿機になって、空気の中に水蒸気として含まれていた水を液体の水に変えます。
 液体になった水が排水される除湿機と同じような仕組みがあれば問題にならないかもしれませんが、表面結露は内装材を湿らせ、カビの原因になります。

 表面結露を起こさせる原因には熱損失率の大きい(断熱性能の低い)材料の使用と局所間歇空調があります。
 つまり、ある程度断熱性能の高い建材や断熱サッシを使い、全館連続空調をすれば表面結露のほとんどすべてを防ぐことができます。

ヒートブリッジも結露の原因?
 ヒートブリッジ(熱橋)は断熱の切れ目で、ここから大きな熱エネルギーが失われます。
 連続空調していれば熱が供給されるため温度低下は大きくありませんが、空調を切るとヒートブリッジの部分から室温が下がってきます。
 典型的なヒートブリッジであるRC建築物の床と外壁の取り合い部分やサッシ枠などは結露のおきやすいところです。特にRC建築物の床は、熱容量が大きく冷やされる外壁に繋がっているために空調のスイッチを切ると急激に温度が下がり結露が発生しやすい場所です。


内部結露
 内部結露は木造建築物の断熱材を充填した軸組や枠組の中で起きやすい結露です。
 コンクリート造の建物でも理屈上石膏ボード裏側で内部結露を起こすことがありえますが、1960年代に繊維系断熱材を使った内断熱工法で見られたような激しい内部結露の例はなくなりました。
 しかし、「ビニルクロスの表面に結露がないのに下地材にカビが生える」ような事例はあとを絶ちません。
 表面結露の防止には室内側壁の表面温度が露点温度低くならないような水蒸気量と室温の管理があれば充分ですが、内部結露の防止には壁を構成する素材の水蒸気の通しやすさを計画的に考えることが重要になります。

 内部結露は水蒸気を通す性質(透湿率)と熱を伝える性質(熱伝導率)のバランスが異なる複数の建材の組み合わせ方によって起きやすくなったり起きにくくなったりします。


しっかり断熱すると結露しやすい?
 繊維系断熱材は熱の流れに抵抗しますが、水蒸気の流れにはほとんど抵抗しません。断熱材の室内側の温度は室温にほぼ等しく、屋外側は外気温に近い温度になるので、断熱材内部には室温と外気温の差の温度勾配ができます。
 一方、水蒸気の流れにほとんど抵抗しない断熱材内部の水蒸気圧はほぼ一定になるので、断熱材内部では温度の低い側ほど相対湿度が高くなり、断熱材内部の露点温度よりも低温側の温度が低くなると結露が起こります。

 断熱材内部の水蒸気圧は室内側と屋内側の壁材料の「透湿抵抗・透湿性能」などと呼ぶ水蒸気の通しやすさで決まります。

 屋外側外壁仕上の透湿抵抗を1としたときの屋内側の透湿抵抗との比率を1:1、1:2、1:3としたときの断熱材内部の絶対湿度・露点温度・相対湿度を継ぎの図に表しました。室内側面材の透湿抵抗が大きくなるほど絶対湿度・露点温度・相対湿度が低くなる様子がわかるでしょう。冬の壁の中では温度の低い外側ほど相対湿度が高くなることを確認してください。

 ↑  壁の中では温度は大きく変化しますが、水蒸気量はどこでも同じです。屋外側の透湿抵抗に比べて室内側の透湿抵抗が大きいほど壁の中の水蒸気量が少なくなります。



 ↑  壁の中の水蒸気量が少ない室内側の透湿抵抗が大きいものほど、壁の中の露点温度が低くなり、内部結露が起きにくくなります。
 上の図で室内側の透湿抵抗が屋内側と等しいものでは室外側の露点温度より壁の内部温度のほうが低くなり、結露が始まっていることが判ります。


 ↑  更に相対湿度で見ると結露の起きている部分(湿度が100%を越える部分)を確認することができます。

 従来の日本の家ではほとんど結露が問題になることがありませんでした。
 これまでの在来工法の壁は気密性能もほとんどなく、水蒸気は壁の中で露点温度に冷やされる前に屋外に達していたと考えることができます。


逆転結露
 上のふたつの結露が冬の室内に起源を持つ水蒸気の結露なのに対し、逆転結露は屋外の水蒸気の露点温度が冷房された室温や熱容量が大きく充分に暖まっていないRC建築物の躯体温度よりも高くなったときに発生する結露です。


 逆転結露については日本の気象と断熱工法に詳しく説明しています。ご覧ください。


 北欧など室内温度が外気温度よりも常に高い地域では、室内側に水蒸気を通しにくい材料を、屋外側に水蒸気を通しやすい材料を使うことで結露を防ぐことができると考えられていますが、梅雨や夏に屋外側の温度と水蒸気圧が高くなる日本では、季節によって屋外側・室内側の両方に結露する恐れがあります。
 だから、両側に防湿層が必要だと考えることは大きな間違いです。ふたつの防湿層に挟まれた中間部分はいつも湿気を溜め込み乾燥しにくい部分になって建物に損害を与えます。


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