断熱・気密・防湿 
有限会社日本外断熱総合研究所
3-1-13 やさしい断熱講座 基礎の断熱(14/14)
やさしい断熱講座
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基礎の断熱

 床下で断熱する「一般の軸組み工法では基礎は断熱区画外にありますから、基礎を断熱するこ
とは先ずありません。土台が冷たい基礎に冷やされないよう、基礎の高さを高めに設定するのが
唯一の対策です。

 一方、基礎断熱や鉄筋コンクリートの建築物では、基礎の部分も断熱区画の一部を形成しま
す。基礎や土間から熱がどのように逃げていくのか、あるいは侵入してくるのかに配慮してどの
ような断熱を行うかを考えなければなりません。


基礎の周りの熱移動
 基礎に関係する熱の流れを図に示したものが次の図です。


図3-1-13-1 基礎周りの熱の様子

 基礎と熱のかかわりを整理すると次のようなものがあります。
要因
土の熱伝導率  水分を持たない土は熱伝導率小  熱伝導率が小さいほど熱負荷が小さい
 土質や含水率により熱伝伝導率異なる
地表の温度  地域によって地表温度に差がある  基礎外周部に影響大
地下水位  温度がほぼ一定になる深さ  地下水位が低いほど地表の平均温度の影響
を受ける。
建物の幅  地表からの熱の回り込み  大きな建物ほど外周からの影響が少ない
雨水、伏流水  冷たい雨水や雪解け水の影響  水はけの悪い土があると地盤を冷やす
基礎根入れ深さ  地表温度の影響の強さ  深いほど小
室内空調方式  空調温度、間歇・連続  間歇空調時に基礎温度低下し易い

   主な土質と熱伝導率
土質 含水比 熱伝導率
W/(m・K)
mあたり
熱貫流抵抗
EPS100mmと
等価な厚さ(m)
土壌
4%
0.15
6.67
0.41
67%
0.51
1.96
1.42
0.2%
0.27
3.70
0.75
30%
1.65
0.61
4.58
石灰岩
2.57
0.39
7.14
花崗岩
3.25
0.30
9.03
硅岩
6.72
0.14
18.68
0.56
1.79
1.56
EPS
0.036
27.78
0.1

 細かい空隙を持つ土は砂に比べて小さい熱伝導率を持っていて、空隙が水で満たされる
と水の熱伝導率に近付きます。水を含んだ砂の熱伝導率は岩石と水の中間になります。

 建物がない場合の土の温度は地表と地下水位の間で表面温度と地下水の温度の間に分布
します。建物がある場合はこれに建物基礎からの熱の流れが加わります。

 冬に温度が最も高いのは建物の基礎で、温度が低くなるのは地表です。このとき、基礎
底版から地表に向けて熱の流れができます。
 夏は地表の温度が高く、次に建物の基礎の温度が高くなります。地中の温度は低く、熱
は建物から土に移動します。


 水が介在すると土の温度はもっと複雑に変化します。
 地中の水分が蒸発するとき、土の表面から気化熱を奪います。雨水や雪解け水が地表か
ら浸透するとき土の温度を下げる作用があります。表流水に近い伏流水は土の温度を水の
温度に同化させます。地温がどんなに高くても、低温の水が大量に流れていると地温は下
がります。


 もし、基礎の下の土の熱伝導率が比較的小さく充分な厚さがあったとすると、土間下の
土はかなり大きな熱貫流抵抗を持つと考えることができるかもしれません。下の図3-1-13-
4 のような断熱は熱貫流抵抗からは安全と評価されますが、間歇空調する場合土や床スラ
ブの温度が下がると暖めるのに長い時間が掛かります。
 また、夏はスラブ(土間コンクリート)の温度が低下し、床や壁の幅木部分に結露する
恐れもあります。

 基礎の温度を室温と同じに保ち、基礎の熱容量を室温の安定に役立たせるには、屋根や
壁と同じように基礎全体を断熱材で包むのが確実な方法です。(図3-1-13-2および図3-1-
13-3)


図3-1-13-2 コンクリートを断熱 図3-1-13-3 スラブ下の土
も含めて断熱

 一般的な基礎の断熱方法

 地下水位の浅いところ、扇状地など地下水の流れのあるとこ
ろでは必須。
 半地下室など逆転結露の恐れのある場所で、もし結露が発生
しても根本的断熱改修ができない。

 図3-1-13-4
 従来の基礎断熱方法
 外周部分の土間下、基礎内側
に断熱補強をするのが一般的で
す。
 冬の空調負荷はそれほど多く
なりません。夏の床コンクリー
ト温度は上の二つより低くな
り、省エネと言えますが、床に
夏型結露の危険があります。

 湿気が少なく、空気をたくさ
ん含む土の場合はほぼ安全で
す。

図3-1-13-5 スカート断熱    図3-1-13-6 ドレンタイル
 断熱改修で使える断熱技術

 土間や基礎を断熱するより小さな費用である程度の効果が期待できます。

      
床下部屋のある家
 欧米の寒冷地では基礎部分を掘り下げて空調機械室や物置などを床下に作る習慣があります。
 日本でも、敷地の狭小化が進むにつれて、半地下室を設け、軒高を低く抑えた設計の建物が多
く見られるようになってきました。
残念ながら、軸組み工法と半地下室を組み合わせた家の多くが基礎部分の断熱をほとんど考えず
に施工されているため、冬の寒さと夏の湿気が気になるところです。

 地下室や、床下部屋のある家を計画するときに配慮すべきことはコンクリート躯体の温度が空
調された室内気温と大きく違いの出ないように配慮すること、言い換えれば躯体の外側できちん
と断熱することです。

図3-1-13-7 床下空間の利用

 このような床下部屋に暖房関係の給湯器やボイラーを置けば発生した熱を建物内部で完全に利
用できるだけでなく、大容量の物入れを建物の中に確保することができます。
 室温とほぼ同じ温度に保たれた床下空間は冬や梅雨時の湿気を気にすることなく、家財を安全
に保管できる場所になります。


ドレンタイル(透水排水管)
 基礎の断熱を考えるとき、土の中の水の流れは繊維系断熱材の中の気流の働きとよく似ています。土の熱伝導率がどんなに小さくても土の中を水が流れると土を通じて大きな熱が失われます。

 土の含水率を下げるためにドレンタイルの設置が有効です。
 ドレンタイルは穴明き塩ビ管やセメント系透水管を使って建物周辺に降った雨水などを速やかに排出することを目的に設置される埋設排水管で、木造住宅の基礎内部の乾燥を促進し、湿気による被害を防止する効果もあります。

 ここでドレンタイルを取り上げたのは雨水の地中浸透を防止して、土の熱伝導率を小さくする効果を狙うためです。

 ドレンタイルの排水先は敷地外の水路排水口が望ましいが、平坦な土地で適当な放流先がない場合には建物から離れた位置に更に深い穴を掘って地中浸透させてください。

図3-1-13-8 ドレンタイル


スカート断熱
 建物の外周部は中央部に比べて冬の冷やされた地表温度の影響を受けやすく、大きな熱負荷を受けます。スカート断熱は建物外周部の土の中に一定幅で断熱材を埋設して建物の外周部が実際よりも広がったような見かけ上の効果を期待するものです。

 寒冷地の凍上対策などに利用されてきましたが、床からの暖房負荷を軽減する効果が期待できますが、夏の逆転結露にはほとんど効果がありません。

図3-1-13-9 スカート断熱




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