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換気の目的
建物の中では人間の生活に伴って空気が汚染されています。換気によって汚れた空気を排出し、新鮮な空気を取り入れなければ健康で快適な暮らしをすることはできません。
建物の中で発生し、換気を必要とする物質には次のようなものがあります。
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物質名
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発 生 源
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備 考
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炭酸ガス |
呼吸 調理 |
外気中の濃度0.03%、許容濃度0.1% |
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水蒸気 |
呼吸 調理 入浴など |
相対湿度40〜60%に維持 |
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浮遊粉塵 |
喫煙など |
0.15mg/m3 |
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VOC |
建材 家具 |
総量規制、物質ごとの規制あり |
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ハウスダスト |
カビの胞子、ダニ死骸 |
アレルゲン物質 |
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悪臭 |
調理 排便 |
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綿ぼこり |
衣類 寝具 |
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呼吸により発生する炭酸ガスについては安静時成人ひとり当たり約30m3の換気が必要とされます。また、2004年に施行された改正建築基準法ではVOC対策を主な目的として2時間に1回の割合で空気を入れ替える換気装置の設置が求められています。
成人ひとり当たり約30m3の換気が必要なことに異論はありませんが、私は2時間に1回の割合で換気を義務付けたことにはやや疑問を持っています。カナダでは2004年から化学物質を含んだ建築材料の使用を制限し、換気回数を3時間に1回の割合に減らす措置が取られました。
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換気の問題点
春や秋、室温と外気温度に大きな差がない時期に換気をしても何も問題がありません。どれだけ換気しても快適に暮らすことができます。
しかし、冬の寒く乾燥した空気を室内に取り入れると空気を暖めるためにエネルギーが必要になります。冬の外気は1kgあたり3gほどしか水蒸気を含んでいませんから、室温に暖めると相対湿度が20%以下に下がり、充分に加湿する必要があります。
夏の暑く湿った空気を取り入れるときも空気を冷やし、除湿するためにエネルギーを必要とします。
夏の外気は空気の持つ温度のエネルギー(顕熱)よりも除湿に必要なエネルギー(潜熱)のほうが大きくなります。
冬の換気は冷たい空気を暖めさらに加湿するために、夏の換気は暑い空気を冷まし更に除湿するために大きなエネルギーを必要とします。
有害物質で汚染した室内の空気を入れ替えることはどうしても必要ですが、室内の空気に問題がない範囲で換気回数を減らすことはエネルギー消費の削減に役立ちます。
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木造住宅の防湿層について
春や夏には屋内と屋外で大きな温度差と水蒸気圧の差があります。
空調や換気の問題からやや話がそれますが木造住宅の防湿層の話をしておきましょう。
繊維系断熱材の充填工法を使った木造住宅では、断熱材の室内側に「防湿層」と呼ばれる水蒸気を通し難いシートを張ります。室内の水蒸気が壁の中に浸透して結露を起こさないようにするのが目的です。
この防湿層は室内から屋外に向けて水蒸気が漏れ出し、室内が乾燥するのを防ぐ働きもしています。
「壁の中で結露が起きなければ防湿層を設けなくてもいい」と考える人もいるようですが、防湿層がなければ冬の室内はより乾燥して加湿が益々必要になりますし、夏は除湿のために大きなエネルギーを必要になります。 |
加湿と除湿
「冬の外気は約3g/1kgの水蒸気しか持っていない」と「換気の問題点」で書きました。この外気を20℃に暖め湿度を60%に維持しようとすると6g/1kgの水蒸気を加湿しなければなりません。
2時間に1回室内空気を入れ替えている床面積 120m2の住宅なら一日で25リットルもの水を蒸発させなければならない計算になります。
水蒸気は浴室からも人の呼吸からも供給されますから、全量を加湿器に頼ることはありませんが、仮に半分の量を加湿器で賄うとしても大変な量になります。
センサーがついて自動で加湿量を調整できる加湿器を加湿量の調整用に使い、基礎的な加湿は観葉植物や熱帯魚の水槽などを使うのは如何でしょうか?
洗濯物の室内干し、濡れタオルをハンガーに掛けるといった加湿方法も検討に値します。
この、加湿が必要な量は室内の湿度が一定に保たれて安定的な状態になってからの加湿量です。
もし室内が乾燥してしまって30%程度の湿度になっていると、木材やコンクリートなど吸放湿性能を持つ建材の平衡含水率が小さくなっています。
室内の湿度が50%のときの平衡含水率(重量比)は木材で13%程度、コンクリートで1%程度ですが、湿度が30%に下がると木材で 9%程度、コンクリートで 0.6%程度の平衡含水率になります。
室温20℃のとき、湿度30%の空気を50%に加湿するには床面積あたり7gの水蒸気を補えば十分ですが、湿度30%の建物の平衡含水率を50%の平衡含水率にするには床面積あたりRC造で 3Kg、木造でも 1.4Kgと家の中に「打ち水」をしたくなるほどの水蒸気が必要になります。
乾燥した室内を加湿しても大半の水蒸気は換気で屋外に排出され、残った水蒸気も建物に吸い取られてしまうので、実際に湿度が上がるまでには相当の時間が掛かります。
局所間歇空調をしていて屋内に大きな温度差がある場合、暖房室の湿度を低めに抑えなければ最も低温になる部屋(押入などを含む)で結露が起きることになります。
昔の隙間風の通る家ではある部屋を暖房・加湿したとしても、水蒸気は隙間から屋外に漏れ、低温の部屋の水蒸気量は高くはなりませんでした。
今の家は、防湿シートを使っていないとしてもアルミサッシや合板などでかなり高い気密・防湿性を持っています。非暖房室にも暖房室と変わらない水蒸気があり、露天温度を下回れば結露を起こします。
次の図は暖房室の相対湿度(横軸)と結露の始まる温度差(縦軸)を示したものです。
湿度が 100%ならその温度で結露が始まりますし、80%なら 結露が始まるまで3℃の温度の温度低下の余裕があります。また60%なら 8℃の温度の温度低下の余裕があります。
実際には結露が始まっては困るわけですから、 5度の温度差がある家では60%、 8℃の温度差がある家では50%、12℃の温度差がある家では40%を加湿の目標にしてこれ以上暖房室の湿度を上げないようにします。
屋内の寒い部屋で結露が始まると暖房室で加湿しても水蒸気が冷たい部屋で結露水に変わるるので暖房室の湿度は上昇しなくなります。
部屋の表面結露に限りますが結露が起きているかどうかは、寒い部屋の床付近に鏡を置いた鏡が曇っていないかどうかで確かめることができます。

屋内温度差が 5℃ある建物では暖房室の湿度を40%以上に設定しないこと、 8℃以上の屋内温度差のある家では加湿するとカビが発生したり木部に腐朽菌が繁殖する恐れがあります。
夏の換気は外気と共に大量の水蒸気を室内に持ち込みます。空気の温度差を下げるよりも、除湿するためにより多くのエネルギーを使用することも珍しくありません。
夏の外気を室内に取り入れる前に地熱や地下水と熱交換して除湿し、外気を予冷すると同時に水蒸気量を減らしたうえで室内に取り入れることで空調エネルギーを減らし、同時に除湿を行なうことが出来ます。
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