四つの外断熱工法についての簡単な説明
あなたの地域に最も適した断熱材はどれ?
「結露を防ぐには防湿層を壁の高温側の表面近くにに配置する」これが結露防止の原則で
す。冬の気候は厳しくても、夏は温度が比較的低くしかも乾燥しているヨーロッパでは、中欧
やスペイン・イタリアなど南欧でも室内側に防湿層(ベーパー・バリア)があれば冬の結露は
妨げられ、夏型(逆転)結露を心配することはありません。
ところが、夏に「高温多湿」になる地域では、冬には「高温側」は室内ですが、夏になると
屋外のほうが「高温側」になります。
冷房を入れていれば室内が「低温側」になるのは勿論のこと、しっかり断熱すれば外気温度
が上昇しても室内の温度上昇はタイムラグを持って進むので室内が低温になることがありま
す。
外断熱された鉄筋コンクリートの建物では躯体コンクリートの温度は室温とほぼ同じ温度に
なり、コンクリートの外側の面に高い露点温度の外気が触れると結露を起こします。
反対に、冬の気温が氷点下10℃を下回るような地域では室内から屋外に浸透する水蒸気の流
れが止められると結露ではなく液状を通り越して直接固体の霜や氷になる着霜、結氷の現象が
起き、水蒸気の通り道が爆裂するような現象が起こります。
高温多湿な地域での逆転結露は寒冷地での外壁表面の爆裂が衝撃的な障害を呈するのにに比
べて、慢性疾患のように目に見えない変化をゆっくり進めます。
逆転結露による弊害は、撥水性断熱材を使わない場合は断熱材の濡れ、コンクリート面の濡
れと空気中の炭酸ガスがコンクリート中の石灰分と反応しコンクリートの中性化を促進するこ
とです。
RC外断熱工法に使われる断熱材には、水蒸気を通しやすい順に次のような種類がありま
す。
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1.
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鉱物繊維系断熱材(グラスウール、ロックウールなど)
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2.
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発泡樹脂系断熱材(EPS、XPSなど)
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3.
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発泡樹脂系断熱材(ロックセルボードなど)
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4.
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フォームグラス
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建物を建てる地域の気候特性を考慮して夏の結露を起こさない断熱材を選ぶか、あるいは冬
の凍結を避ける断熱工法を選ぶかが重要なポイントです。
ここではRC造の断熱材についてお話しています。
木造の建物でも逆転結露が起りますが、断熱材の種類を変えるよりも防湿層をどんな位置に
配置するかによって夏型(逆転)結露を防止することができます。
この項で説明したいことは、「RC外断熱工法の断熱材を選定するときには気候を考えて適
切な断熱材を選定しなければならない」ことです。
充分な断熱材を使って外断熱すると、空調コストを掛けずにしっかり冷房することができま
すが、知らないうちにコンクリートが蝕まれたり、結露により木材を腐らせたりすることがな
いように適切な断熱材を選んでください。
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建築の断熱で使われる断熱材はどれでも小さな熱伝導率(大きな熱抵抗値)を持っています
が、透湿係数はコンクリートに比べて大きい(透湿抵抗が小さい)のが普通です。
断熱材の断熱性能と透湿性能を図で比較すると次のようなことがわかります。

繊維系断熱材、樹脂系断熱材はコンクリートに比べて水蒸気を通しやすい性質があります。
このような断熱材を使う場合、コンクリートが「防湿層」としての機能を果たすことになりま
す。
一方、ロックセルボードやフォームグラスといったコンクリートよりも水蒸気を通し難い断
熱材があります。これらの断熱材を使う場合、断熱材が防湿層の機能を兼ねることになりま
す。
従来の断熱理論の多くはコンクリートよりも水蒸気を通しやすい断熱材を前提にしたものが
多く、透湿性の低い断熱材について考えるときには少し戸惑いを感じるかもしれません。
「四つの外断熱工法」とは
@ ほとんど透湿抵抗を持たない(水蒸気に抵抗しない)繊維系断熱材を使う断熱工法、
A ある程度の透湿抵抗を持つもののコンクリートより水蒸気を通しやすい樹脂系断熱材を
使う断熱工法、
B コンクリートより水蒸気を通しやすい断熱材を使う断熱工法、
C ほとんど水蒸気を通さないフォームグラスを使う断熱工法
を意味しています。
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Bに分類される断熱材にはロックセルボードのほかに、硬質ウレタンフォーム保温板(2
種)があります。
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それぞれの断熱工法が、寒冷地の夏と高温多湿な夏にどのような定常特性を持つか見てくだ
さい。
図はいずれも上から @、A、B、Cの断熱材を使ったものです。
寒冷地の冬

繊維系断熱材では断熱材中の露点温度が一定で変化がなく、フォームグラスではコンクリー
ト中の露点温度に変化がありません。樹脂系断熱材、ロックセルボードでは透湿抵抗の大きさ
にしたがって断熱材内部とコンクリート中の露点温度が変化します。
フォームグラスでは露点温度と温度の変化が同じように怒ることがわかります。
いずれの外断熱工法も結露域が発生することはなく、一般的な壁断面に結露の心配がないこ
とを示しています。
高温多湿な夏

検討対象とした室戸岬は日本でも有数の高温多湿なデータが観測される地点です。
室内環境を気温26℃、相対湿度50%と想定したもので、不快指数は73(半数以下の人が
不快)です。
高温多湿な環境では透湿性能の高い断熱材を使うほどコンクリート外面に結露が発生しやす
くなる傾向が見られます。
北海道や東北、中部山岳地帯など外気の露点温度があまり上昇しない地域では繊維系断熱材
を使う外断熱工法でも問題はありませんが、関東・甲信越以西の多くの地点では、結露が発生
しないまでもコンクリート表面の相対湿度が80%、90%を超え、室内冷房温度を少し下げただ
けでも結露が発生する恐れがあります。
地域の気象条件と室内空調環境条件を検討してコンクリート表面の相対湿度の最高値が繊維
系断熱材を使う場合は90%、樹脂系断熱材を使う場合は95%程度を目安として適切な断熱工法
を選択すべきでしょう。
上の図に付けた○△×の記号は室戸岬の気候条件で室温を26℃としたときの適合性を示し
たもので、その工法を一般的に評価したものではありません。
透湿抵抗の大きい断熱材を使う場合に注意すべきこと
透湿抵抗の大きいロックセルボード、フォームグラスなどの断熱材は、断熱層とともに防湿
層としての役割も持ちます。これらの断熱材は木造住宅で使われる防湿シートと同様に継目が
防湿処理されていなければなりません。
フォームグラスの施工では継目をアスファルトでシールするなどの対策が取られますが、ロ
ックセルボードでは捨て型枠のような使い方をされるため、充分なシールがされていないよう
です。
透湿抵抗の大きな断熱材では防湿処理が不充分だと水蒸気のバイパスができ、冬は継目の表
面に凍害が、夏は継目の裏側のコンクリート表面に逆転結露が発生する恐れがあります。
この内容について、http://www.sotodan-souken.com/lecture/RC/page014.htmlにより詳細な
説明があります。
また、http://www.sotodan-souken.com/gyakuten_keturo/でも夏の逆転結露を防ぐ方策につ
いて説明しています。
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