次世代省エネ基準を超える断熱仕様
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より高い断熱性能を求めて
 枠組壁工法では2×6や2×8のランバーを枠組材として使うことで壁の断熱厚さを厚くする ことができます。日本では枠組壁工法を「2×4工法」と呼ぶほどに枠組材には一般に2インチ ×4インチのランバーが使われていますが、北欧やカナダでは2×6以上の枠組剤を使うことの ほうが多くなっています。

 枠組壁工法では断熱性能を高めるにはランバーのサイズを大きくすることで充填する断熱材の 厚さを増加させることができますが在来工法の場合、4寸角・5寸角と柱の寸法を大きくしてい くと住宅コストが大きく増加してしまう恐れがあります。

 現在の地球温暖化防止条約(=「京都議定書」)の枠組は2013年までのもので、2013年以降の CO2排出量削減を見据えたより高い断熱性能を持つ住宅の断熱性能を考えようという動きが始 まっています。

 しかし、断熱技術が導入されるとき、防湿や気密の問題に絡んで常に技術的な失敗を繰り返し てきています。熱と水蒸気の持つ問題をきちんと把握して断熱仕様を提案しなければ、「ナミダ タケ」や「イドタケ」など木材腐朽菌を蔓延させ、新築後数年で建物を廃墟にしてしまうような 欠陥断熱工法によって多くの善良な個人が財産を失うことになりかねません。


 「ナミダタケ事件」に代表される初期の断熱トラブルの原因は、不完全な気密・防湿層、アン バランスな断熱材の充填などが原因となった結露水のトラブルでした。
 断熱性能を高めるにしたがって、建物の壁の中で逃げ場を失った水蒸気が建物を痛めつける多 くの事例の報告があります。

 これらの問題に対するため、北米では建物内部から壁の内部に水蒸気が入らないように防湿層 を厳重な施工管理の下で施工する方向が強調されています。一方、ヨーロッパでは、壁の中に入 った水蒸気をどれだけ速やかに外気側に排出するかを心がけているように思います。


 日本では、この問題に対する理解がほとんどなく、次のページに示すような外壁の複合断熱計 画案が研究者からも示されています。


 この図のどこに問題があるでしょうか?
 透湿抵抗の高いAの防湿層とDのフェノールフォームで挟まれたグラスウール断熱材と合板 は、防湿層に穴が開いたり、雨漏りがあったり、あるいは給排水管から漏水があったときにきわ めて乾きにくく常に濡れた状態になり、建物を腐らせる原因になります。

 壁構成中に防湿層を設ける場合は、防湿層が二重に設けられ、その間に繊維系断熱材や合板類 を挟むことがないように配慮しなければなりません。

 上の構造の壁を定常分析すると次のような温度・露点温度分布を示します。結露域はなく一見 安全そうに見えますが、防湿層の前後に20℃近い露点温度差があること、ネオ間フォームにも 比較的大きな透湿抵抗があり、一旦壁内部が湿気ると乾燥しにくい構造になっています。

 防湿層が破れて暖かい水蒸気を含む室内空気が壁の中に入った場合、あるいは壁の中で給水管 や排水管から漏水があった場合、あるいは雨漏りなどの発生があったときなど、壁内部が乾燥し にくく建物が腐るまで発見できないこともあるでしょう。



プラスター
ボード
防湿層 グラスウール 構造用
合板
ネオマ
フォーム
熱貫流率 (W/u・K)
0.38
0.525
熱貫流抵抗(u・K/W)
2.6
1.92
透湿率 (ng/m2・S・Pa)
1.1
0.0008
0.049
90.63
透湿抵抗(m2・S・Pa/ng)
0.9
1209
20.6
0.011


 更に付け加えればC合板も透湿抵抗が比較的大きい構造用面材ですから、一旦繊維系断熱材が 濡れると対策の施しようがありません。


高い断熱性能を持つ壁の条件
 これらのリスクを防いで高い断熱性能を持つ壁の構造を考えるに当たって、私は次のような条 件で検討する必要があると考えています。
 次のページ以降の壁構成については下の表の考え方に基づいて検討したものです。


1.  一定以上の熱貫流抵抗を持つ(Ex. 4.0u・K/W)
2.  結露の発生を防ぐように防湿層が配置されている。※
2-2  防湿層に使われる材料は防湿シート又は樹脂系断熱材で、継目はきちんとシールされてい
る。
2-3  防湿層から室内及び屋外に向かって透湿抵抗の大きい他の材料が使われていない。
3.  屋内から屋外を結ぶ空気の流れを遮断するために必要に応じて気密・防風の措置が講じら
れている。
 防湿層は建設地の気候・湿度条件によって決定するものとし、冷房を行わない地域では断
熱材の室内側に、逆転結露の恐れのある地域では断熱材の室内側表面から熱貫流抵抗値のお
よそ1/3屋外側に寄った位置に配置されている。

 防湿層の位置についてご質問をいただきました。「断熱材の室内側に」と「室内側表面から熱
貫流抵抗値のおよそ1/3屋外側に寄った位置に」を図で示すと次のような違いになります。

「断熱材の室内側に」


「室内側表面から熱貫流抵抗値のおよそ1/3屋外側に寄った位置に」


 上に示したふたつの断熱方法のうち下のように防湿シートの室内側にも断熱材を入れる断熱方
法を付加断熱と呼んでいます。

 このふたつの断熱方法で夏の結露に対してどのような違いがあるかを定常分析図で比べて見ま
しょう。

 まず「断熱材の室内側に」気密・防湿層がある場合です。


 上の図は28℃近い露点温度を持つ外気が室内側面材の裏側で低温になった気密・防湿
層に触れるとそこで結露を起こす恐れがあることを示しています。

 次に「室内側表面から熱貫流抵抗値のおよそ1/3屋外側に寄った位置に」気密防湿層
を設ける場合、つまり気密・防湿層の室内側に付加断熱をする場合です。


 屋外側に近づいた気密・防湿層の温度は前の例に比べて2℃ほど高くなるので結露リス
クを小さくすることができます。



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