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適切な断熱性能を求めて
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断熱厚さはどこまで増やせばいいか?
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断熱材は大きな厚みを持ったものを使うほど充分な断熱性能を発揮し、少ない空調費で快適
な室内環境を実現します。
それでは厚い断熱材を使う分にはどれだけ厚い断熱材を使ってもいいのか?という疑問が出
てきます。
一般的な間取りの戸建住宅では建物の外周から建物全体を断熱材で包む外断熱工法では50mm
ほどの断熱厚さでQ値が3前後になります。100mmの断熱材を使うと1.5前後になるでしょう。
建物の内側から断熱材を施工する内断熱工法では25mmのウレタン断熱でQ値が 4.5前後にな
り、断熱材の厚さを35mm〜50mmにしても25mmの熱橋からの熱損失を減らすことができないので
Q値は35mmで4.05程度、50mmで3.7程度にしかなりません。
建築部材の面積あたりの熱の伝え易さを表すK値(熱貫流率)と、建物の断熱性能を表すQ
値(熱損失率)の間には次の関係が成り立ちます。
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Q=(Σ(K×a)+換気による熱損失)/S
K 当該部分の熱貫流率
a 当該部分の面積
S 建物の床面積
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断熱厚さとQ値の関係を見るとき、最も関係が深いことはその建物が戸建か、集合住宅かと
いうことです。集合住宅では最上階か中間階か、角部屋と呼ばれる建物の端にある住戸か、中
部屋と呼ばれる両側を他の部屋に接する住戸かが部屋のQ値を大まかに決めます。


外断熱建築物のQ値
上の図を見ると、 100mmの断熱材を使った戸建住宅よりも35mmの断熱材を使ったマンション
の中部屋のほうが小さなQ値になっていることが判るでしょうか?さらに、35mmから断熱材の
厚さを増やしても建物の断熱性能は余り改善しません。
集合住宅の断熱を考える場合、最上階の屋根や、角部屋の妻壁など特別に大きな負荷のある
場所を除いて、中部屋の桁方向の壁ではQ値が1前後になればそれ以上断熱材の厚さを増やし
ても断熱性能を上げるメリットはそれほど大きくないように思われます。
Q値をこれまでの平均的な断熱性能と思われる 5.0程度から減らしていくと年間空調エネル
ギー年間冷房エネルギーはそれぞれ次のように変化します。このグラフでは一般の換気条件の
ものに加えて、熱交換換気、地中熱と熱交換する換気、地中熱と室内からの排気と熱交換する
などのケースを想定しました。
それぞれ3本の潜が見えますが、下からRC外断熱、RC内断熱、木造の熱容量の違いを反
映しています。
東京の冷房ではQ値が2を切ると内部発熱による熱が室内に篭り熱交換換気と一般のもので
はQ値が小さくなるほど冷房エネルギーが増加する傾向が現れます。
冷房のみで暖房を使わない沖縄でどんな傾向になるかと傾向を確認したところQ値1が1を
切るあたりで冷房エネルギーが増加に転じます。

東京の年間空調負荷

東京の年間冷房負荷

那覇の年間冷房負荷
上のグラフでもわかるように、Q値が2を切るようになるとQ値を下げるよりも地中熱を使
うほうが遥かに大きな省エネ効果をもたらすようになります。
地中熱の利用など建物内への熱の子守を防止する対策のある場合はQ値を1程度まで、特に
そのあたりの対策がない場合にはQ値を1.5以下に下げないような断熱計画を立てるほうが
好ましいでしょう。
戸建住宅では断熱しすぎてQ値が小さくなりすぎ「室内に熱が篭る」ような事態は考えにく
いのですが、集合住宅では充分ありうることです。
ここで、望ましい断熱材の厚さについて1例を示すことにします。
集合住宅と戸建住宅では異なりますので注意してください。
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戸建住宅
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集合住宅
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屋根
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100
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100
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外壁
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100
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妻側 100
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桁側※50
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床・基礎
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100/50
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100/50
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サッシ
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H-5
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※ H-3
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※ Q値がおよそ1.5以下になる場合に適用
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なお、一般に冷房を必要としない地域ではQ値が1.5以下になっても断熱材を薄くする必要
はありません。戸建住宅と同様に全体を100mmあるいは125mmで断熱して構いません。
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