冬の気象
寒冷地の断熱工法
次のグラフは札幌と長野の外気露点温度を比較しています。
露点温度の最高値は札幌のほうがやや高くなっていますが22〜23℃が最高露点温度となります。
これら寒冷地では夏の外気の露点温度よりも、冬の気温が低く断熱材表面近くで結露が起きれば、凍害が発生し断熱技術的に大きな問題になります。
札幌や長野では夏の水蒸気量が比較的少なく、仮に26℃で冷房してもその期間の最高湿度は概ね80%未満になって夏の結露が問題になることはありません。 |



札幌と長野の2004年の最低気温を比較してみると、長野がマイナス8度台、札幌がマイナス10度台とよく似た低温を記録しています。
このような地域で樹脂系断熱材を使った場合、コンクリートが防湿層の役割を担いますが、コンクリートのセパ穴やコンクリートのジャンカから水蒸気が浸透したり、樹脂系断熱材の重ね部分のシールが不十分な場合特定の水蒸気の通り道が形成されて、その外部側で水蒸気が凍結すると表面仕上部分が爆裂を起こします。
外気の水蒸気量が多く、外気温度が低くなる地域では爆裂などによる被害を防ぐため断熱材の仕上部分に大きな透湿性を持つ素材を使う必要があります。
通気層を持つ繊維系断熱材を使った断熱工法は寒冷地の外断熱工法として発展してきたものです。 |
日本海側と太平洋側の気候
「空気が乾燥している」と言われる冬の東京、多雪地域として知られる新潟県の高田、それに寒冷地の代表として札幌、3箇所の2006年1〜2月の気温と露点温度をグラフに表わしました。
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三つのグラフのうち東京は露点温度が低いことが多く、外気の露点温度がたまに外気温度に近づくことがあっても数日で外気温度よりも10度以上低い露点温度に戻ります。
新潟の豪雪地域の高田では露点温度が外気温より10℃以上低くなることはほとんどなく、相対湿度が90%以上の高い状態が長期間続きます。相対湿度が60%をきることは滅多にありません。
札幌では乾燥した外気のときと、湿潤な外気のときが入れ替わり訪れます。高田に比べて外気温度が5℃は低くなりますから、結露を起こすと深刻な凍害を招く恐れがあります。
赤で示した外気温度が青の露点温度よりも高いほど壁の中で内部結露が起きにくくなる傾向があります。
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乾燥しやすさの度合い
上の図の気温と露点温度に囲まれた部分を黄色に着色してみましょう。
屋外に干された洗濯物が良く乾くように、色の塗られた部分が多いほど壁も乾燥しやすい
と考えることができます。
屋外の大気が乾燥しているか、湿潤であるか、あるいは気温が低温になるか極低温になる
かによって断熱のテーマは変わってきます。
各地の冬の気温と露点温度を見ながら断熱設計のテーマを考えて見ましょう。
冬の相対湿度が高いと次の図に示した青枠の中の白い矢印で示される外気温度と外気露点
温度の差がほとんどなくなることになります。
上の二つの図は通気層を持つ木造建築物の充填断熱工法を示していますが、外気の相対湿
度が上がると露点温度が外気温度に近づき青の矢印の長さが短くなります。
気密防湿層は上のふたつの図で大きな露点温度の差を生じさせていますが、ポリエチレン
シート事態には大きな透湿抵抗があったとしても重ね部分のや配線配管類の貫通箇所の処理
方法によって素材の性能と実際の性能には大きな違いが生まれます。建設当初の性能を持ち
続けられる訳ではないので、防湿層の性能を過大評価するべきではありません。
矢印の長さは下の図で黄色に塗られた部分のように増えたり減ったりしています。

「関東の空っ風」と呼ばれるように空気は乾燥したときが多く、湿度が上がってもすぐに
下がるので結露リスクが長時間続くことはありません。

日本海から吹いてくる季節風は、対馬海流から貰った水蒸気を雪として落としながら山脈
を越えていきます。季節風が強く吹くと気温と露点温度はほとんど等しくなり、透湿抵抗の
大きな面材を使うと面材裏側に結露が発生しやすい状態になります。
木造住宅などでは透湿抵抗の大きい面材を屋外側に使うと面材裏側に結露を招きやすいの
で充分な注意は必要です。
下のように寒冷地では外部の水蒸気量が少ないときは急激に隙間から外に排出された水蒸
気が凍害を起こしますが、温度と露点温度が接近した状態では低温部分に大量の結露を生
じ、時によってその場所で凍結します。

上のふたつの図の中間的な形をしています。対馬海流の水温が本州に比べて下がっている
のでしょうか?
気温が低いために露点温度が上昇したときに結露すると凍害になるリスクが充分にありま
す。
低温時の水蒸気は風船に入ったガスのような挙動をします。壁の面に透湿抵抗が弱い部分
があると、そこから集中的に水蒸気の少ない外部に向かって水蒸気が吹き出します。
建物外部の温度が低いと水蒸気は結露すると同時に凍結して凍害を起こすことがありま
す。
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