みなさん、こんにちは。
「省エネな家造りの進め方」をご覧いただき、本当にありがとうございます。
このページは、第二章。省エネという言葉があります。その意味は「あまりエネルギーを使わない」ことだろうな?と漠然と判っていても、どんな建物がどれだけのエネルギーを使うのか、そしてどれくらいの断熱性能があれば「省エネ」と言えるのか?
そう尋ねられると答えられなくなるかもしれませんね。。
大丈夫です。この章を読み終われば、あなたにも「省エネ」が判るようになっています。
断熱関係の本を読むと「熱負荷はQ値と内外温度差に比例する」などという説明を見かけます。
室内と屋外の温度差が10℃のときは、5℃のときよりも2倍の熱負荷があるというわけです。一見、正しそうですがこの説明は三つある熱の伝達方法のうち「伝導」だけを考慮して、「輻射」や「対流」を考慮していません。
「輻射」や「対流」を考慮して正確に熱負荷を知りたいという気持ちも判りますが、建物のケースごとに、それも冷房と暖房で異なる解析が必要になります。
対流や輻射による熱負荷によって計算外の熱負荷があることを知ったうえで、私たちも概算的に「熱負荷はQ値と内外温度差に比例する」というルールを受け入れることにしましょう。
Q値とは建物の内外温度差に伴って屋外から屋内に、あるいは屋内から屋外に熱伝導で移動する熱量を温度1℃あたり、床面積1m2あたりで表したもので、断熱性能を表す指標になります。
Q値は指標ですが、実際のエネルギー消費はQ値に単純に比例する訳ではありません。
先ず、暖房と冷房に分けてQ値と暖房エネルギー冷房エネルギーの関係を知っておきましょう。
「熱負荷はQ値と内外温度差に比例する」をもう少し深く考えて見ましょう。
室温が20℃外気温度が10℃のとき、Q値がQ、床面積が 100m2の建物の熱損失は
E=Q×(20−10)×100=Q×1000(W)
となり、 1時間にQKWHのエネルギーが屋外に失われていきます。
一番単純な熱負荷計算では、このとき建物にはQKWの暖房負荷が掛かっていると考えます。
しかし、このとき暖房機からの出力はQKWではないはずです。
どうしてでしょう? 考えてみてください。
家の中で熱を出しているのは暖房機以外にもありますね。テレビや冷蔵庫などの電気製品や家の中に住んでいる人間だって熱を出しています。
暖房機に要求される発熱量はQ(W)から電気製品や人間が発する内部発熱量を引いたものになります。
つまり暖房の場合、うえの
E=Q×(20−10)×100=Q×1000(W)
の式で計算される熱負荷より内部発熱だけ少ないエネルギーで部屋を暖めることが出来ます。
このエネルギーがどれくらいの大きさになるかをグラフで確かめてください。

紺色の線で示されているのが1年間暖房したとき
E=Q×(20−外気温度)×100
の熱損失の累計値です。
ここから内部発熱相当分を差し引くと赤い線で示した暖房エネルギー負荷になります。さらに地中熱を利用することにより暖房エネルギー需要は黄色の線までさげ、更に太陽熱を使えば年間約 3000KWHの暖房エネルギーを削減できます。
室温が28℃外気温度が33℃のとき、Q値がQ、床面積が 100m2の建物の熱取得は
E=Q×(33−28)×100=Q×500(W)
となり、 1時間に0.5QKWHのエネルギーが屋外から室内に流れ込みます。
初めにお話したようにこれは熱伝導に基づく熱取得、日の当たる屋根や壁の温度が外気温度(33℃)よりも高くなっていれば、当然より大きな熱取得があります。
さらに、熱取得に加えて暖房のときと同じように内部発熱があることを忘れないでください。

E=Q×(33−28)×100=Q×500(W)
の式で示される冷房負荷は上の図の下にある右あがりの紫の直線です。Q値が小さいほど屋外から屋内に流れる熱の量(つまり冷房負荷)は小さくなります。
しかし、上のほうに書かれた下に凸な水色の曲線が気になります。
実は紫の線と水色の線に挟まれた面積は内部発熱が原因になった冷房負荷なのです。
内部発熱の大きさにもよりますが、東京では外部からの熱負荷と内部発熱による冷房負荷の合計はQ値が2.0〜1.5のときに最少になります。
内部発熱による冷房負荷をほとんど0にしてしまう秘密の裏技があります。それは換気で取り入れる外気を井戸水と熱交換して冷やす方法です。これによって、水色の線から茶色の線まで冷房負荷が減少し、ほぼ外部熱負荷と同じレベルまで下がりました。
この図から判ることのなかに重要なことがあります。
一番下の紫の線は断熱性能を高めることで屋外からの熱取得が減ることを示しています。それなのに水色の線で示された空調負荷があまり減らないで、Q値を小さくすると却って冷房負荷が増える原因は建物内部での発熱にあります。
夏だけでも照明器具を白熱灯から蛍光灯やLEDなど消費電力の少ないものに代えることが冷房負荷の削減に役立ちます。
夏に冷たく感じる井戸水を活用することで空調エネルギーを大きく削減できます。ここでは井戸水の温度を16℃として、外気と井戸水の温度差の80%を熱交換するものと想定しました。
Q値と冷房負荷の図から、井戸水など地中熱を利用することでQ値に関係なく内部発熱をほぼ帳消しにしてしまうほどの省エネ効果があることが判ります。ただし、Q値が大きい場合には内部発熱以外の冷房負荷が大きいので冷房をやめるわけにはいかないでしょうが、Q値が2以下になると我慢しなくても冷房なしで生活できるようになるでしょう。
冷房と暖房のケースを見比べて、「暖房シーズンにはQ値が小さい方がエネルギー消費を小さく出来る。しかし冷房シーズンにはQ値をあまり小さくしない方がいい」と思った方いらっしゃるでしょうか?
でも、Q値を夏と冬で変えることはそれほど簡単ではなさそうです。
冷房負荷と暖房負荷の合計をグラフに示してみましょう。

紺色の線(必要空調E1)は内部発熱があるときの暖房負荷と冷房負荷の合計を示しています。その下の桃色の線(必要空調E2)は地中熱を利用した場合の暖房負荷と冷房負荷の合計です。さらに、太陽熱温水器(集熱面積10m2)を暖房に導入すると黄色い線のレベルまでエネルギー消費を減らすことが出来ます。
空調エネルギーがマイナスになることはありませんが、水色で表した線は太陽熱を使うシステムで暖房の予熱を給湯に回して削減できたエネルギーを空調エネルギーから差し引いたものです。
太陽熱を暖房に使用するとQ値 1.0ほどの住宅でも空調エネルギーがほぼ0になります。
給湯に回された暖房の予熱を空調エネルギーから差し引けばQ値が 1.5の建物でも実質的に空調エネルギーが0になります。
更に、太陽光発電機( 3KWタイプ)を取り付けると年間約 3300KWHの発電が可能です。この発電量をすべて空調に使えば10000KWH以上の発熱量になるので、Q値が 3.5の建物でも建前としては空調エネルギーゼロを標榜できることになります。
以上を簡単にまとめておきましょう。地中熱、太陽熱を取り入れて使うことにすれば、
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1.
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Q値が 1.0の住宅は地中熱と太陽熱を使えばほかに空調エネルギーを必要としま
せん。 |
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2. |
Q値が 1.5の住宅は給湯に使う太陽熱温水器の余熱を空調費と相殺すれば空調エネルギー費が0になります。 |
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3. |
さらに、太陽光発電機(3KW)を取り付ければQ値 3.5でも空調費がゼロになります。(毎年発電量をすべて空調に使ってしまうので無駄です。) |
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以上のことから、住宅をお建てになるときに断熱性能の目標としてQ値を1.5前後に決められるといいと思います。将来、エネルギー価格が上昇しても空調設備の変更だけで省エネ生活を続けられます。
RC外断熱住宅など、断熱性能の高い建物を造ろうとしても、その建物が年間どれくらいのエネルギーと費用を必要とするのかほとんど判らないまま、何となく「RC外断熱の建物は省エネで快適らしい」と思っている方が多いようです。
計画を考えるときにはエネルギー消費性能を数値で把握するようにしてください。
(つづく)
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