省エネな家造りの進め方 第四章 相談相手を選ぶ
 第一章 準備段階 第二章 建物の省エネ性能を数値でつかむ 第三章 水は建物の敵 第四章 相談相手を選ぶ
 第五章 次に家を壊すまでのお金のことを考えてみよう 第六章 皆さんの問題を解決しましょう

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「徒然草」 第52段 仁和寺にある法師
 仁和寺に、ある法師、年寄るまで石清水を拝まざりければ心うく覚えて、ある時思ひ立ちてただひとり徒歩(かち)よりまうでけり。
 極楽寺・高良などを拝みて、かばかりと心得て帰りにけり。

 さて、かたへの人にあひて、「年ごろ思ひつること果し侍りぬ。聞きしにも過ぎて尊くこそおはしけれ。そも、参りたる人ごとに山へ登りしは何事かありけん、ゆかしかりしかど神へ参るこそ本意なれと思ひて山までは見ず」とぞ言ひける。

 すこしのことにも、先達はあらまほしき事なり。

 岩清水八幡宮を案内人なしで参拝した法師のように、高断熱住宅とりわけRC外断熱住宅を建てようとするときに建物の特性を理解した相談相手を持つことは重要です。

 反対に、RC外断熱工法をまったく理解していない相手に相談した結果はどういうものになるか想定できる範囲を超えています。

第四章 相談相手を選ぶ
 住宅でもその他の建築でも、専門家に相談しないでご自分の力だけで建築を進められる方は先ずいません。
 あなたが専門家だったとしても、設計、施工、設備などすべてを自分だけの力で進められないでしょうから、専門家でなければどんな相談相手の意見を聞くかはとても重要になります。
 相談相手を誤るとあなたは決して目的を達することが出来ないでしょう。


 あなたの周りにRC外断熱工法など断熱性能の高い家を造った人がいればその人の経験談を聞くことが最良の第一歩になります。特に「ここは失敗した」と思っていることを重点的に聞き出してください。

 ただし、知り合いにそういう人がいるのはまだまだ稀なケースで、ほとんどの方は設計事務所や工務店(建設会社)を訪ねることになるでしょう。


 設計事務所や工務店(建設会社)で尋ねるべきことは先ず、「あなたが造りたいと思っている構造と断熱性能の建物を造ったことがあるか?」です。

 経験がある場合はその家を見せてもらうこと、できれば家を建てた人を紹介してもらい住み心地や建ててから判った問題点を聞かせてもらうことです。実際に建てた家を見せてもらえることは、その設計者や工務店が一応の水準の建物を造る能力があることを証明することにもなります。
 反対に経験はあっても、その建物を見せてもらえないケースでは何かトラブルが起きていることが考えられます。

 施工経験がなくてもあなたの希望の家を造るために協力してくれる設計事務所や工務店もあるはずです。この場合は誰がどんな形で断熱に対する技術的責任を持つのかを確かめてください。
 「経験はありませんが、責任を持って設計(施工)します。」という言葉を信用しても、間違いのない建物ができる保証はありません。
 あなたの建てたい建物について経験を持つ人と協力して設計なり施工管理を進める体制が作れることを確かめた上で、具体的な設計依頼などに進むべきでしょう。


 あなたが建てたい家を造る技術を持たない設計事務所や工務店の中にはあからさまに異なる工法で家を造るように薦めるところががあるでしょうが、こういう業者はあなたに向いていません。話し込めば相手のペースに巻き込まれるかもしれません。そうでなくても時間の浪費にしかなりません。切り上げてほかの設計者や施工者に当たるのが最良の方法です。



ナショナルスタンダードがない!
 少し話が横道に入ることをお許しください。
 もともと建築基準法は、建築の仕様を細かく決めていました。数年前に仕様規定から性能規定に変えられ、今では「建物が満たすべき性能を基準として示す」体系になりました。

 このような法体系の中では各種の工法がどのような性能を満たすかが明瞭に示されている必要があります。

 各社がそれぞれに「○○工法」を名乗ることは自由だとしても、これらの性能をユーザーの比較検討と選択に役立つように公正に評価するシステムがなければなりません。

 次の文章はフィンランド在住の建築家からいただいた様々なディテールに関する情報の一部です。
 例えば、こちらでも色々の工法があるのですが、部位別のプロトタイプに分解してみると例えば、以下のようなプロトタイプ数で既存の工法のほぼ95%はカバーしてしまうと思います。これは当地の建築センターが使っている分類法です。()内数字はプロとタイプ数:

基礎(18)、最下階床(16)、外壁(30)、耐力間仕切り(12)、非耐力間仕切り(20)、中間階床(15)、屋根(16)、窓(20)、外部ドア(5)、内部ドア(5)、一般部仕上げ・塗装(53)、屋根トラス(9)、水周り床(6)、水周り壁(9)、水周り仕上げ(8)

 こうした個々の部位別プロトタイプは、プロトタイプ集として毎年発行されており、そこにはプロトタイプ毎の各種性能値、単位当たりコスト、50年間メインテナンス費と金利、細かい材工費内訳が出ていて、材料メーカーさんは、これらの個々のプロトタイプコードにあう材料として材料を販売しているわけです。
 一般の人だって、これを組合わせれば、自分が欲しい家の性能とネットコストがいっぺんに判ります。それをベースにして、自分で建てるなり、設計を依頼するなり、HMに頼むなりできるわけです。
 勿論、どのHMや工務店さんもここに記されている通りやっている訳ではないですが、そんなに大きな違いにはならないと思います。なにせ必要な釘の量まで出ているのですから。もっともこういう資料を見ないで住宅を発注する人だって沢山いますが...

 日本では「○○工法」と言えば特定のHMの独占工法の感があり、他社の技術と比較検討することさえままならない雰囲気があります。
 ユーザーの選択を助けるために性能基準とここの工法がその基準をどれだけ満たすものかを公正な第三者が評価して公表するシステムが存在しなければ、「性能規定」は機能しません。

 今、「新省エネ基準」や「次世代省エネ基準」のような低い性能の基準しかないこと自体が消費者の選択の幅を狭めていることになります。

 国や公共機関にそのような動きがなければ、NPOやNGOがそのような役目を担うことも必要になってくると思います。


当社もお役に立ちます
 当社では皆様の依頼に基づき、年間空調エネルギー(平年値)を明らかにしながら、各種高断熱建築物の設計をさせて戴きます。

 また、直接設計二関与するのが難しい遠隔地の方には、安心して省エネな高断熱住宅を建てていただけるよう、お近くの設計事務所や工務店に技術指導することで、建物に必要な断熱・省エネルギー性能を確保するようにいたします。
 また、限られた地域になりますが充分な技術力を持つ設計者や施工者をご紹介することも出来ます。
 詳しくはメールでお問い合わせください。


(つづく)


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