省エネな家造りの進め方 第六章 皆様の問題を解決しましょう
 第一章 準備段階 第二章 建物の省エネ性能を数値でつかむ 第三章 水は建物の敵 第四章 相談相手を選ぶ
 第五章 次に家を壊すまでのお金のことを考えてみよう 第六章 皆さんの問題を解決しましょう

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 第五章までは順調に進めてきましたがこの先どう書こうかと頭を悩ましています。

 ここらで、皆様の抱えていらっしゃる問題をお聞きしながら私なりの解決策を考える形で稿を進めてみたいと考えています。

 具体的にどうすればいいかと思っていらっしゃることをお寄せください。

 私なりの考え方をご披露させていただきます。

 質問などはこちらからお願いします。皆様からの問題提起

Q1 早速、4月11日に埼玉県のOさんから質問を戴きました。

 ついの住みかを建てるべく、1年ほど前郷里の鹿児島に土地を確保しこの1年どのような家を建てるべきか”省エネ”をキーワードに住宅メーカーのモデルルーム、インターネットHP住宅関係の本など多数読み勉強してきましたがやっと数値で解明した貴社のホームにたどり着きました。
 問題提起といってはおこがましいのですが当方の疑問について教えていただければ幸いです。
 インターネットで床暖房について調べていましたらいろいろな方式がありました。
1.  熱源は何にするか?  電気、 ガス、 灯油
2.  蓄熱式か? 非蓄熱式か? 蓄熱式とすれば何MJくらいの熱容量が必要か?またその
根拠
3.  その熱をどうやって床板に伝えるか?

 電気は夜間電力を使いヒートポンプによる温水か直接ジュール熱でもって蓄熱方式しか有得ないと思いますが、ガス or 灯油の場合蓄熱式にする必然性は無いのでは?

 熱容量について大きければ冷めにくい反面暖まりにくくなります。蓄熱式を奨めている床暖房メーカーは熱時定数が1週間もかかるようなことをいっていましたが旅行で留守する場合でも暖房しておかねばならず無駄なように思います。
 熱容量はどのくらいが理想か教えて下さい?
 
なお新住居は120m2 平屋木造でQ値は2.0を計画しています。
A1 お尋ねの床暖房について私の考えを述べさせていただきます。
 私は床暖房を断熱の悪い家に適した暖房システムだと考えています。
 
 日本でこそ今床暖房は流行っていますが、はるかに寒い北欧やドイツに行っても床暖房を見ることはありません。
 低い断熱性能と間歇暖房を組み合わせたときに、床暖房以外どんな暖房を使っても立ち上がりの数時間では床面の温度を室温に近く保つことは出来ません。
 
 しかし、床面の温度が28℃前後(循環させるお湯の温度は40度前後?)になる床暖房では床の断熱性能を充分に確保しないと省エネどころか却ってエネルギー消費を増やしかねません。

 床からの熱損失は温水配管から床の下方向への部分のK値と温度差で決ります。

 「それでも床暖房が欲しい」とお考えなら、床の断熱材の厚さを割り増してください。
 割り増しの目標値は次の式で計算するといいと思います。

 割増率=(温水温度-外気温度)/(暖房温度-外気温度)

 外気温度は暖房する期間の平均値を採用します。
 床暖房の温水温度を40℃、暖房温度を20℃、暖房期間の平均外気温度を10
℃とすれば、上の式の割増率は
 割増率=(40-10)/(20-10)=3となります。

 次に熱源ですが、いささか趣味的に感じられるかもしれませんが、冬に日照が期待できる地域ならソーラーコレクターをメインにして熱が不足したときはほかの熱源を使うシステムを推奨させてください。



 鹿児島の空調負荷を計算していませんので正確なことは判りませんが、半分近くを
太陽熱で賄えると思います。外出のときの温度低下も防げます。

 熱容量に関しては私は「大きいほどいい」という立場です。ただし大きな熱容量を持たせたときは、空調設定温度から大きく外れないように管理する必要があります。
 大きな船が大きな波を受けても揺れにくいのと同じように熱容量の大きな建物は大きな温度変化をしませんが、温度が適温から下がりすぎると回復するのが大変です。
 一旦温度が下がった家を強力な空調で暖めなおすのと、温度が下がらないように軽く空調を掛け続けるのでは前者の方がやや多くのエネルギーを使いますが、空調設備の容量や使用する電気の基本料金は後者のほうがはるかに大きくなります。

 RCの建物に比べると木造建物の熱容量は約1/8です。蓄熱体をきちんと断熱すれば、外出中に弱く暖房していても、あるいは外出から帰ってからフル運転で暖めてもそれほど消費エネルギーの違いはありません。
 むしろ、大型暖房機をフル運転するために大型設備が必要になり、電気の基本料金を高く払わなければならないほうが大きな負担になります。

 木造住宅でコンクリート床を蓄熱体として使うとすれば25cm程度の厚みのものが一般的と考えます。この厚さのコンクリート版を断熱材の内側に抱え込めば、一般の木造住宅より7割も大きな熱容量を持つことになります。


Q2 早速、Aさんからの質問です。

 暖房エネルギーについて灯油よりも電気が安いという説明がありました。

 一般的なイメージでは、灯油が安いはずなのですが、この計算では電気が安くなります。
 ご意見をお聞かせください。

1.イニシアルコスト
 石油FFストーブは約150,000円で10年持つとすると1年当たり約15,000円

 蓄熱式電気暖房器は約230,000円で15年持つとすると1年当たり約17,333円


2.ランニングコスト
 石油FFストーブは
 灯油量が年間に1,000gかかるとすると
 灯油単価70円を掛けて70,000円の灯油代になります。

 蓄熱式電気暖房器は
 暖房負荷は灯油1000gに低発熱量9.6KWh/gを掛け、FFスト-ブのエネルギー消費効率0.86を掛けると8,256KWhとなります。
 これに深夜の電気料金単価6.3945円を掛けると52,793円となります。


3.トータルコストは
 石油FFストーブ約15,000円/年+70,000円=約85,000円

 蓄熱式電気暖房器約17,333円/年+52,793円=約70,126円

 蓄熱式電気暖房器が14,874円安くなります。
(蓄熱式電気暖房器は17%の節約になります。)
(灯油単価55.13円を超えると蓄熱式電気暖房器の方が安くなります。)

 
A2 お尋ねの暖房コストについて私の考えを述べさせていただきます。
 上の計算に特に間違ったところは見当たりません。
 
 だから電気の方が得か? というと必ずしもそうとはいえません。
 その理由は深夜電力料金と、灯油使用量を1000gかかるとしたことです。
 蓄熱式電気暖房器の一日あたりの出力が一日の最大暖房負荷を満たせるかも問題になるかもしれません
 
 FFストーブを一日使い続けるときの発熱量と、蓄熱式電気暖房器に深夜電力料金で蓄熱可能な5〜7時間通電したときの発熱量を比べて同じ発熱量があれば上の計算と大きな違いは生じません。

 しかし、電気暖房器の出力が不足すると高価な昼間の電力を使うことになります。時間帯別の料金制度を利用していると昼間の料金は割増になるのでとんでもない費用がかかることがあります。

 深夜電力料金を暖房に使う場合、断熱性能と一日あたりの最大空調負荷を充分賄える暖房機器を選ぶこと、設備能力が不足するときは電力以外の補助エネルギーを確保することが重要です。

 寒冷地ではヒートポンプの利用が進んでいませんが、地盤から熱エネルギーをくみ出すジオ・ヒートポンプを使えば、イニシアルコストはかかりますが、深夜電力の暖房よりはるかに低コストで冷暖房ができるようになります。

 

 引き続き皆様からの問題提起をお待ちしています。

(つづく)



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