有限会社 日本外断熱総合研究所 断熱・気密・防湿


内断熱工法の歴史 ・内断熱工法の仕組 輻射熱と放射冷却 ・熱容量 
お知らせ、その他
0- 0 HOME
0- 1 What's New
0- 2 特集
0- 3 特許
0- 4 断熱と室内環境
0- 5 リンク集
0- 6 WEBマスターの独り言
0- 7 協力設計事務所等募集
0- 8 NPO外断熱推進会議
  サイトマップ

快適な家造りのために
1- 1 快適な家造りのために
1- 2 TOPICS
1- 3 Q&A
1- 4 私の外断熱ライフ
1- 5 工事・診断報告
1- 6 断熱と空調の蘊蓄
1- 7 RC外断熱の家って凄いっ

断熱と暮らし
2- 1 断熱とライフスタイル
2- 2 住まいと健康
2- 3 地球環境問題
2- 4 外断熱工法のマンション
2- 5 建物用途別
2- 6断熱改修の進め方

断熱技術講座
3- 1 やさしい断熱講座
3- 2 断熱の良い家造り講座
3- 3 コンクリート造の断熱
3- 4 木造建築物の断熱
3- 5 断熱と「省エネ・耐久」
3- 6 断熱仕様とQ値
3- 7 日本の気象と断熱工法
3- 8 熱負荷のメカニズム
3- 9 空調設備
3-10 内断熱工法

マニュアル
4- 1 断熱改修のマニュアル
4- 2 快適な家造り
4- 3 RC建築物の断熱改修
4- 4 省エネな家造りの進め方

付録
付1 断熱用語辞典
付2 断熱材性能比較リスト
付3 住まいと断熱の掲示板
付4 M邸WEB見学会
付5 RC外断熱工法と
  
内断熱工法の仕組
 内断熱工法はコンクリート造や石造・組積造など大きな熱容量の躯体の室内側の面に断熱材を使用する断熱工法です。
 屋根スラブ下と外壁の室内側に断熱するのが一般的ですが、土間スラブではコンクリート打設前に栗石や砕石の上に断熱材を敷き並べて躯体から見ると外側に断熱材が施工される場合があります。
 また、屋根の断熱では屋根躯体の屋外側に断熱層を設ける「断熱防水工法」があり、「断熱防水工法」を採用した建物について「この建物の屋根は外断熱工法を採用している」と言っている例があります。
 しかし、内断熱工法と外断熱工法を混ぜて使う場合、必ずその継ぎ目部分には熱橋ができますから、「部分的に躯体の外側を断熱しているので、その部分は外断熱工法だ」というのは正しくありません。

 内断熱工法の最大の特徴は外壁の断熱材が階ごとに床スラブで切断され熱橋(サーマルブリッジ、ヒートブリッジ、コールドブリッジなどと呼ばれる)を作り出すことです。


 外断熱工法では建物全体を外側から断熱材で包み込むように断熱するのでバルコニーの取り付け方法などに注意すれば熱橋ができることはありません。


 内断熱工法では熱橋ができることを当然のこと、仕方のないことと考えています。屋根や土間の断熱だけ外断熱工法的な手法を使うことを意に介しません。

熱橋と熱損失
 一般的な内断熱工法の建物では各階の床が熱橋になっています。また断熱防水工法を採用した内断熱工法の建物では床に加えて屋根スラブの外周部分が熱橋になります。

 各スラブの厚さを18cm階高を2.7mとすると窓などの開口部がない場合で外壁面の6.7%、窓やドアの面積を除くと外壁面の 10%ほどが熱橋になって仕舞います。

 コンクリートの厚さを18cm、断熱材の厚さを25mmとすると断熱された壁からのK値(熱貫流率)はおよそ1W/m2・Kになります。熱橋部分のK値はおよそ8W/2・Kですから、壁と熱橋を平均したK値は
 0.9*1+0.1*8=1.7(W/2・K)
と熱橋があるために平均では壁一般部の約二倍の熱損失が起きてしまいます。

 断熱性能を高めても熱橋による熱損失を減らすことは出来ないので、一般部分の断熱厚さを2倍に増やすと一般部のK値は0.5にへりますが平均のK値は
 0.9×0.5+0.1×8=1.25(W/2・K)
とあまり大きく減るわけではありません。


断熱材の暑さを増やしても平均K値はあまり下がらない。


 ここで説明した熱橋とK値の関係は内断熱工法の建物の省エネ性能が断熱材の厚さを増しても改善されにくいことを示しています。

 断熱した一般部分では上の図の赤い線のように熱損失は小さくなりますが、熱損失の大きい熱橋があるので壁と熱橋を平均した熱損失は紺色の線のようにあまり小さくなりません。
 断熱材の厚さを10cmにしても総合的な熱損失量は全体を25mmの断熱材で覆ったのと変わりません。

 やさしい断熱講座で内断熱工法の建物を水の漏れる桶に喩えたことがあります。それな熱橋があるために、どんなに厚く断熱しても断熱の隙間である熱橋から屋外に熱が逃げていくことをわかって欲しかったからです。

 内断熱工法の建物では室内を暖めるために暖房しても熱は素早く熱橋から屋外に漏れ出し、屋根や庭に積もった雪を溶かしたり、雨を蒸発させたりするために使われてしまいます。


内断熱工法の特性
 熱貫流率(K値)・熱損失率(Q値)が大きい
 内断熱工法は宿命として断熱欠損部分としての熱橋を持ち、ウレタンの断熱厚さを25mmとしても熱橋部分は断熱された部分の8倍ほどの熱貫流率になります。
(断熱暑さを50mmにすれば熱橋部分は断熱された部分の16倍ほどの熱貫流率になります)
 一般部分の断熱性能に比べて、建物全体としては大きなK値、Q値を持つため内断熱工法の建物は省エネ的な建物になりにくい性質があります。

 ただし、界壁や床が上下左右の隣接住戸に接し外壁や屋根の面積が少ない集合住宅では、4地域の次世代省エネ基準を満足する程度の断熱性能を満たすことはそれほど難しいことではありません。


 躯体温度の変化幅が大きい
 コンクリート造、組積造(メーソンリー)など躯体の熱伝導率と熱容量が大きい建物を内断熱工法で断熱すると、構造体の温度は外部の温度環境に合わせて真夏には50度以上、真冬には氷点下まで大きく変動します。
 比較的熱損失率(Q値)が大きく、熱容量が小さい内断熱工法では、空調を切ったあと短時間で躯体温度が室内環境に影響するので、室温も大きく変化します。


 結露が起きやすい
 比較的熱損失率が大きくなるので内断熱工法で断熱された建物を全室連続空調することは経済的に大きな負担となります。
 昼間でも温度の上がりにくい角部屋と呼ばれる隅の住戸の北側の部屋が特に結露が起きやすい部分ですが、断熱厚さやサッシの断熱性能、間取りや暖房の入れ方によって結露の起き方は変わります。

 結露が起きると施工者や設計者は「結露の原因は入居者の生活スタイルの問題だ」とと言いたがります。同じように造った建物で結露しない家とする家があれば住み手の責任にしたくなる気持ちも判りますが、躯体や内装の温度を適温に保ちにくい内断熱工法の家は原理的に「結露しやすい家」と考えて間違いありません。




戻る