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鉄筋コンクリート造など(一体構造・租積造)と木造など(軸組構造)
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断熱理論が「コンクリートの断熱理論」と「木造の断熱理論」にが分かれているわけではあり
ません。
ヨーロッパの建築現場を見るとコンクリート造の建物の外壁にセルロースファイバーを充填し
た2×8の木製パネルが使われていたり、屋根が木で作られていたりすることがあります。
地震がなく耐震壁を考慮する習慣がないこと、耐火・防火についての規制が異なることが建築
構法の差を生んでいるのです。
一方、日本の建築基準は耐火構造、準耐火構造、防火構造などの基準を設け、これらの基準を
混ぜて使うと融資や税務上不利な扱いを受けるだけでなく、設計が困難になる割にメリットがあ
りません。
以上のような日本の実情を考慮して、「鉄筋コンクリート造など(一体構造・租積造)の断
熱」と、「木造など(軸組構造)の断熱」のページを分けることにしました。
鉄筋コンクリート造・組積造(メーソンリー構造)などは大きな気密性と熱容量を持つ躯体を
持っていて、透湿抵抗も断熱材に比べて大きいのが普通です。
これに対して木造・鉄骨造などの躯体は柱・梁など線材で造られます。木材はコンクリートに
比べて大きな熱伝導抵抗を持ち、蓄熱性は小さく、軸組み自体は透湿抵抗と気密性を持ちませ
ん。
枠組壁工法では、木材と合板を組み合わせて気密性能を高めています。在来木造工法でも、
「新在来工法」と呼ばれる枠組壁工法の長所を取り入れた工法が出現していますが、これらすべ
てについて解説することは困難です。
以下、「コンクリートの断熱」と「木造の断熱」を分けて進めますが、これらを混ぜて使えな
い訳ではありません。それぞれの部分に適した断熱方法を使用し、取り合い部分で断熱・気密・
防湿を連続させることができれば混合工法を使うことができます。
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ねずみの実験
1986年の静岡大学農学部研究報告に、伊藤晴康先生の研究室で行ったねずみの飼育実験が報告
されています。木材・コンクリート・金属の飼育箱でねずみの子供を育てたところ、木材の飼育
箱の子供は23日後に88%が育っていたのに対して、金属の飼育箱では42%コンクリートの飼育箱
では 7%を残して死んでしまったというものです。
このデータをもとに、いくつかの木材団体や木造住宅を扱う工務店は、「木造住宅は生命にや
さしく、金属やコンクリートの建物は生活環境に適していない」としています。さらに、
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1)多孔性で手足の肌触りが良く、ストレスが生じない。
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2)木目が美しく、目の疲れの原因になる紫外線を程よく吸収する。
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3)かん高い音を程よく吸収するため、音の響きが良く、気持ちを和らげる。
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4)木の香りが脳から発するα波を増加し、ストレスを和らげる。
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と続きます。
ご紹介した実験がどのような目的で行われたものか判りませんが、人間の生活環境をシュミレ
ーションするのに、敷物や壁仕上げもなく、断熱されていないコンクリートに直接体が触れるよ
うな飼育箱を使えるとは思えません。熱伝導率の大きい金属で造られた箱や熱容量の大きいコン
クリートで造られた箱が生活環境のモデルにならないことは、誰が考えてもあきらかです。この
実験が明らかにしたことは「無断熱のコンクリートに直接触れて生活する生活環境は良いもので
はない」とうことに過ぎません。
私たちは木・金属・コンクリートに限らず様々な素材を組み合わせて使い、ある素材の短所も
ほかの素材の長所で補うことができます。鉄筋コンクリートが、鉄筋やコンクリートの単独の性
能を遥かに超えた性能を発揮するのがその例です。
すでに外断熱のコンクリートの建物に住まれている方がおっしゃるように「良く断熱されたコ
ンクリートは、冬暖かく夏涼しい」このことが事実を雄弁に語っています。
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断熱の目的
コンクリート建築の断熱方法には外断熱工法と内断熱工法の二種類の工法があります。
こういう書き方をすると「どちらも選択可能な手段だろう」と考えられるかもしれません。しか
し、欧米の建築物理学研究者とこの話をすると「内断熱は問題があり、選択してはならない断熱方
法だ」と反論されます。
建築物理学研究者からは、次のような内断熱の問題点の指摘があります。
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問 題 点
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1.
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断熱する目的は建物が消費するエネルギーを減らし建物の耐久性を高めて、サステ
ナブルな建物と社会を作ることです。
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サステナブル(sustainable)=
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資源の枯渇を防ぐ・地球の温暖化を防ぐなど人間の社
会活動と環境との調和を図り、将来も人間の存続が可能
なことを目指す
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2.
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内断熱では暖房時に断熱材とコンクリートの境界面を中心に結露が発生してカビやダ
ニなど有害な生物を繁殖させ、住む人に健康被害を与える恐れがあります。
設計者・施工者の責任で結露やカビの被害が発生したときは原因をつくった者が損害
賠償責任を負うことになります。
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3.
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内断熱では床と外壁の境界に熱橋(ヒートブリッジ〔サーマルブリッジ・コールドブ
リッジ〕)ができて熱の逃げ道になります。断熱の目的である省エネ性能を高めるこ
とができません。
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4.
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熱橋や性能の劣る窓など熱損失の大きい部分がある建物では、冷やされた空気が床の
まわりに溜まりやすくなるので、天井付近は暖かくても床が冷え込む現象が起こりま
す。
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5.
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内断熱では熱容量の大きなコンクリートを断熱材の外側に置くために室温を安定さ
せる効果が小さくなります。
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ストックホルムの最低気温は札幌や旭川に比べて高めですが、10月から東京の真冬の寒さが始ま
り暖房負荷の指標となるHDD
18
が札幌の 1.5倍もある北欧では、暖房対策中心の問題提起はあ
っても冷房についての問題提起を受けることはできませんでした。
そこで、日本の夏を念頭に置いて外断熱と内断熱の特性を比較してみましょう。
断熱方法について法の規制のない今の日本では、「内断熱工法が選択してはならない断熱方法か
どうか」は、お読みになっているひとりひとりに判断して頂くしかありません。
内断熱工法と外断熱工法の違いについては、「内断熱工法と外断熱工法を」ご覧ください。
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蓄熱と蓄冷
蓄熱
内断熱工法で建てられていても外断熱工法で建てられていても、日射を受けると建物の壁や屋根
などの表面温度は上昇を始めます。内断熱工法ではこの熱が熱伝導率の大きいコンクリート内部に
伝わるので、表面温度はゆっくりと上昇します。夜になって外気温度が下がっても一旦上がったコ
ンクリート温度はすぐには下がらず、大きなエネルギーを蓄えたまま次の朝を迎えると再び蓄熱を
始めます。
外断熱工法で作られた外壁も日射を受けると表面温度は上昇が始めます。大きな蓄熱性能を持つ
コンクリートとの間を断熱材に遮ぎられた外装材の表面温度は内断熱工法の外壁に比べて急速に上
昇し、自ら輻射熱を発し始めます。
外断熱工法の外装材は内断熱工法の外装材や躯体に比べて薄く熱容量も小さいので日があたらな
くなると短時間のうちに外気温まで下がります。
すでに建てられた建物で壁の温度を測定しても、外装材の温度が大きな変化を示すのに対し、コ
ンクリートの温度は数日間の平均気温をもとに計算される温度とほぼ一致していることが確かめら
れています。
躯体温度が上昇してピークになったとき、内断熱工法・外断熱工法の壁は上の図のような温度分
布を示すものと考えられます。このときの壁1平方メートルあたりのコンクリートの蓄熱量を比べ
ます。
蓄熱量は室内気温との差を基準に計算することとし、鉄筋コンクリートの比熱を0.2cal/g、比重
2.4t/立方メートルとします。
夏の1uあたりの外断熱の外壁の蓄熱量は次のように内断熱の外壁の1/20になります。
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蓄熱
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壁厚
(m)
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体積
(m3)
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コンクリー
ト
平均温度
(℃)
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室温
(℃)
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温度
差
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比熱
cal/℃・
g
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蓄熱量 (Kcal)
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蓄熱
量
(KWH)
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内断熱工
法
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0.18
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0.18
|
58
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28
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30
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0.2
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0.18*2.4*30*0.2*
1000
=2592
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3.01
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外断熱工
法
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0.18
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0.18
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29.5
|
28
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1.5
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0.2
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0.18*2.4*1.5*0.2*
1000
=129.6
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0.15
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2,592Kcalの熱量は、室温の水36gを沸騰させ、あるいは浴槽の溜め置き水を適温に温めるエネ
ルギーに相当します。戸建住宅では屋根と外壁の半分(日照を受ける面)だけでも100平方メート
ル以上ありますから、約4トンの熱湯と同じ熱エネルギーを持つ家を小さなエアコンで冷やしてい
ることになります。
夜、エアコンを切るとすぐに気温が上昇するマンションの秘密はここにあります。
同様に冬の蓄冷量を計算すると躯体が7倍も冷やされていることがわかります。
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蓄冷
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壁厚
(m)
|
体積
(m3)
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コンクリー
ト
平均温度
(℃)
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室温
(℃)
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温度
差
|
比熱
cal/℃・
g
|
蓄熱量 (Kcal)
|
蓄熱
量
(KWH)
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内断熱工
法
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0.18
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0.18
|
1.5
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23
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21.5
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0.2
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0.18*2.4*20.5*0.2
*1000
=1857.6
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2.16
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外断熱工
法
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0.18
|
0.18
|
20
|
23
|
3
|
0.2
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0.18*2.4*3*0.2*
1000
=259.2
|
0.30
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夏の例と同じように説明すれば、内断熱の壁1uに蓄冷されたエネルギーは室温の水18.1gを凍
らせるエネルギーに匹敵します。
内断熱のコンクリートは夏は高温に熱せられ(冬は低温に冷やされ)、大きな輻射熱(あるいは
冷輻射)が室内に負荷を与えます。
体感温度は気温、湿度、風速など様々な要因の影響を受けますが、湿度・風速を一定とすれば輻
射温度は気温と同等の影響を持つと言われています。
夏の例で、夜間内断熱の壁の温度が35℃までしか下がらないとすると、同じ28℃で冷房していて
も外断熱工法の室内では体感温度が(28+29.5)/2=28.75℃なのに対し、内断熱工法の室内では
(28+35)/2=31.5℃と約 4℃も高くなります。
外断熱工法の室内と同じ体感温度にするには躯体を30℃以下に強制冷却しなければなりません。
その過程で夏型結露を起こす危険もあり、内断熱工法には大きな矛盾があります。
※ 輻射温度は場所によって異なり、グローブ温度計などによる測定が必要です。
※ 体から出る輻射熱を冷たい物体に奪われることを「冷輻射」と呼びます
以上のように内断熱工法は外断熱工法に比べて躯体蓄熱が大きく、冷房度日(CDD)とQ
値をもとにした計算値より遥かに大きな空調負荷を与えます。
このことからも「外断熱は暖房に向いた断熱工法で、冷房を必要とする日本には向かない」とい
う指摘は必ずしも的を射たものではないでしょう。
輻射熱は冷房負荷を増加させますが、暖房負荷を減らします。暖房負荷の減少量よりも冷房負荷
の増加量が少なければ輻射熱を敢えて取り入れない意味はなくなります。しかし、日射量は夏と冬
では遥かに夏の方が大きくなるので、夏の日射日射エネルギー取得を減らすメリットの方が、冬の
日射エネルギーを減らすデメリットより遥かに大きくなります。
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