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木造建築物の「働かない断熱材」は断熱材の性能が低く、気流や隙間風によって断熱性能が発
揮されない問題を取り上げました。RC建築物の「働かない断熱材」は少し趣旨が違います。
欧米では、レンガ造の時代から建物の躯体と外装仕上壁の間に空気層があり、コンクリート建
築物でもその様式は引き継がれてきました。
日本のコンクリート建築物は躯体に直接外装仕上をする習慣があり、断熱材は躯体の室内側に
薄く施工されてきました。コンクリート建築物の断熱材の問題点は、断熱材を少ししか使わない
ことと、内断熱特有の断熱の切れ目【熱橋】があることです。
「断熱厚さと断熱性能」でいくつかの断熱厚さに対してどれくらいの熱損失があるかを円グラ
フで比較しました。同じモデルを使って、断熱厚さを変えたときに熱損失係数(Q値)がどのよ
うに変化するかを比較してみましょう。
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先ず、現場発泡ウレタンを使った内断熱の建物と同じ性能の断熱材を使った外断熱の建物の屋
根と壁からの熱損失をグラフにしました。
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図ー1 内断熱工法の熱損失
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図−2 内断熱に50cmの断熱補強をした場合
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図−3 外断熱工法の熱損失
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図−4は熱橋を含む壁と屋根が関係するQ値の成分を取り出して比較したものです。内断熱工
法でも外断熱工法でも断熱材の厚さが薄いうちはほぼ同じように熱損失が減っていますが、20
mmを越えるころから内断熱の熱損失の減り方は鈍くなります。
その最大の原因は熱橋からの熱損失です。面積では10%に満たない熱橋部分からの熱損失は
断熱厚さ30mmで40%を超え、80mmで約60%に達します。25〜30mmを超えると内断熱
では断熱コスト上昇に見合うメリットがありません。
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図−4 内断熱工法の熱橋からの熱損失の割合
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図−1〜3を見ると外断熱工法でも内断熱工法でも断熱厚さが厚くなれば熱損失の割合は同じ
ように少なくなるように見えるかもしれません。しかし、無断熱の大きな熱損失が基準になって
いるためにそう見える傾向があります。
そこで、断熱厚さ25mmを超える部分の外断熱工法と内断熱工法の熱損失量をグラフで比較し
てみました。
どの厚さでも内断熱はQ値にして0.6〜0.7W/℃・u大きくなり、25mmでは1.3倍、
60mmで2倍を超え、100mmでは約2.5倍の熱損失量になり、断熱補強をしてもその差は半
分程度までしか縮まりません。
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図−5 屋根・壁からの熱損失量比較
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図−5に見るように屋根と壁からの熱損失は25mmの内断熱と100mmの外断熱では5倍の差があり
ます。断熱補強をしてもこの差は4倍もあります。建物全体からの熱損失はこの他に床やサッ
シ・ドア・換気によるものがありますから、この図がすべての熱損失をカバーしているわけでは
ありませんが、外断熱に使われる断熱材の性能がウレタンよりやや劣ることを考えても対象部分
からの熱損失つまり空調に使用するエネルギーを1/4以下に減らします。
外断熱の断熱材の1/4しか断熱の仕事をしていない断熱材には「働かない断熱材」という名
前がぴったりです。
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