有限会社 日本外断熱総合研究所          Japan Institute of Insulation
3-3-1 コンクリート造の断熱 (4/8)
コンクリート造の断熱

コンクリート造の断熱
 コンクリートの蓄熱性を使いこなす ・ 高温多湿な夏 ・ 四つの外断熱工法 ・ 断熱厚さと断熱性能
 ・ 内断熱工法と外断熱工法 ・ 空調しないときの躯体温度変化 ・ 空調中の躯体温度変化
 ・ 空調を切ったあとの室温変化 ・ 空調を入れたときの室温変化 ・ 断熱工法と経済性
 ・ 結露 ・ 各部分の断熱方法 ・ 働かない断熱材 ・ 熱橋 ヒートブリッジ


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付録
付1断熱材性能比較リスト
付2断熱用語辞典
付3住まいと断熱の掲示板
付4M邸WEB見学会
断熱厚さと断熱性能

 この項の目的は、断熱材の厚さを変えたときに建物からの熱損失がどのように減っていくかを 理解していただくことです。

 このページでは当初、内断熱建築物と外断熱建築物の断熱厚さを変化させた時の熱損失量を円 グラフで表して比較していましたが、内断熱工法では発泡ウレタン25mmの現場吹き付け工法以外 に現実的な工法がないこと、断熱材の厚さの変化と断熱性能の変化を連続的に理解していただき たかったことなどの理由で屋根・壁・基礎・サッシなど各部分の断熱厚さを変化させたときの熱 損失を部分ごとにグラフで比較する方式に変えていました。

 ところがこのやり方では対象としている建物から全体としてどれだけの熱が失われているかを 理解していただくことが非常に困難になっていました。表記を簡単にしようと途中の計算過程を 省略したために、自分で読んでも「?」と思うところがありました。


各部の熱貫流率
 各部分の熱貫流率K値はつぎの計算で求めることができます。
 K=1/〔Σ1/(kn/tn)〕
 K:熱貫流率【W/(m・K)】
 1/K=Σ(1/kn/tn)を複合壁の熱貫流抵抗と言います。
 kn:素材nの熱伝導率【W/(m・K)】
 tn:素材nの厚さ【W/(m・K)】

屋根・壁・床
 以下の熱貫流率の計算ではコンクリートの床・壁は厚さが18cmあるものとします。
 断熱材の厚さは0、25、50、100の25mm刻みで増加させます。
 ビニルクロス、プラスターボード、外装タイルなど断熱性能の少ない部材の効果は単純化 のため無視します。
屋根・壁・床の熱貫流率
断熱材厚さ
(mm)
k/t
W/(m・K)
コンクリート+断熱材の
熱貫流率 K
ウレタン EPS1号 ウレタン EPS1号 ウレタン EPS1号
0
0.022
0.036
8.889
8.889
25
0.880 1.440
0.801
1.239
50
0.440 0.720
0.419
0.666
75
0.293 0.480
0.284
0.455
100
0.220 0.360
0.215
0.346
コンクリート
180

1.600

8.889

 上の表に示すように同じ厚さで断熱すれば熱伝導率kの小さいウレタンのほうが小さな熱 貫流率を実現します。それではなぜ熱伝導率の小さいウレタンを使う内断熱工法には問題が あるのでしょうか?
 先ず、内断熱工法の断熱材は床面積に計算される壁の内側の空間を占領するためなるべく 薄く使いたいという動機があります。この表に示した数値のうち26mmを超える内断熱はほと んど行われていません。
 次に内断熱工法では熱橋という構造上の理由で断熱できない部分があります。

熱橋からの熱損失
 上の表と同様に熱橋からの熱貫流率を計算します。熱橋のコンクリート厚さは便宜上コン クリートの厚さに断熱材の厚さを加えて断熱材表面までの厚さを持つものとして計算しまし た。

熱橋の熱貫流率
断熱材厚さ
(mm)
コンクリート
厚さ  (mm)
k/tW/(m・K)
熱橋の熱貫流率 K
0
180
1.600
8.889
25
205
7.805
50
230
6.957
75
255
6.275
100
280
5.714

 熱橋からの熱損失は断熱補強をすることにより1/3程度に減らすことができますが、 根・壁・床の正常に断熱した部分と比べれば依然として大きな熱損失があることに変わりあ りません。

 内断熱建築物は屋根・壁・床の面積の合計の10%前後の熱橋を持っています。現場発泡ウ レタンを使った内断熱工法に10%の熱橋があると平均熱貫流率は次のような数値になりま す。参考のため、熱橋のない外断熱工法のEPS断熱の数値を示しました。
断熱材厚さ
(mm)
コンクリート+断熱材の
熱貫流率 K
ウレタン EPS1号 ウレタン EPS1号
【参考】
0
0.022
0.036
8.889
8.889
25
1.501
1.239
50
1.073
0.666
75
0.883
0.455
100
0.765
0.346

 右の図を見ると大きな違いがないように見えるか
もしれませんが、ウレタンは熱橋のため12mm付近で
熱伝導率の大きいEPSに追い着かれ、50mmでは1.5
倍、100mmでは2倍以上の熱損失があります。


 断熱材の厚さを増しても熱橋からの熱損失が大きいため、「内断熱工法では熱橋からの大 きな熱損失のため、断熱材の厚さを増やすほど効率が低下する」ことが判るでしょうか?


建物例による比較検討
 次のような形状を持つ戸建住宅のモデルを想定し、断熱材の厚さやサッシ性能を変化させた場 合の熱損失がどのように変化するかを見てみましょう。
 形状は7.5m×8mの二階建て、床面積は120平方メートル、窓・出入り口などの開口部を20平方メ ートルとします。

 このサイトで内断熱工法と外断熱工法の住宅の性能・価格を比較する場合、特に条件を示さな い限り内断熱−1(内−1)と外断熱−5(外−5)の断熱性能を想定して比較します。
 使用する断熱材の種類は内断熱工法・外断熱工法とも、それぞれ一般的なウレタンとEPSを 使うこととしました。なるべく素材の断熱性能がほぼ同じになるような厚さを考えました。
 主な部分のコンクリートの厚さを180mmと考えています。



 両建物は次のような熱損失部分をもっているものとします。
内断熱
外断熱
屋根
7.32m×7.82m   (=57.24m
7.68m×8.18m    =62.82m
 スラ
7.32m×7.42m    =54.31m  
62.82m  
 中間
7.32m×0.4m      =2.93m  
熱橋
外壁
(8+7.5)m*5.3m*2(=164.3m
(8+7.5)m*5.3m*2  (=164.3m
 床
(8+7.5)m*0.18m×4 =22.32m  
熱橋
 窓
開口部Qw2で計算 20m  
開口部Qw2で計算 20m  
 壁
164.3-42.32     =121.98m  
 164.3−20        =144.30m
 基礎
(8+7.5)m×0.6m×2   =32.2m
 7.32m×7.82m  (=57.24m
 7.68m×8.18m   (=62.82m
 スラ
(7.5-0.4)*(8-.08)  =53.71m  
(7.5-0.4)*(8-.08)   =53.71m
 梁側
(7.2+7.1m×2)×0.6m×2 =25.68m
 梁底
57.24-53.71      =3.53m  
熱橋 62.82-53.71        =9.11m 熱橋

 これらの部分からの熱損失係数を、屋根、外壁、開口部、床、換気に分けて計算します。便宜的に
外断熱建物の基礎外部は外壁に区分します。

屋根からの熱損失係数 Qr
 次の二つのグラフは内断熱の屋根スラブ57m と梁3m から温度差1℃のときに失われる熱エネ
ルギー(W)を床面積で割ったものと外断熱の屋根スラブ60m から温度差1℃のときに失われる熱エ
ネルギー(W)を床面積で割ったもので、内断熱・外断熱の屋根部分のQ値成分を示します。


0
25
50
75
100
屋根 8.889*57.24
=482.76
0.801*57.24
=43.49
0.419*57.24
=22.77
0.284*57.24
=15.42
0.216*57.24
=11.66
8.889*2.93
=26.04
7.805*2.93
=22.87
6.957*2.93
=20.38
6.275*2.93
=18.38
5.714*2.93
=16.74
合計
508.81
66.36
43.15
33.81
28.40
Qr=合計/120
4.24
0.55
0.36
0.28
0.24
内断熱工法のQr

0
25
50
75
100
屋根 8.889*62.82
=558.41
1.234*62.82
=77.85
0.666*62.82
=41.84
0.455*62.82
=28.61
0.346*62.82
=21.73
合計
558.41
77.85
41.84
28.61
21.73
Qr=合計/120
4.65
0.65
0.35
0.24
0.18
外断熱工法のQr
屋根からの熱損失比較

 熱橋があるにも拘わらず、断熱材が薄い時の断熱性能は内断熱のほうが良い数値になっているのは 内断熱に使われる発泡ウレタンのほうが外断熱に使われるEPSよりも熱伝導率が小さいからです。 断熱材の厚さ30mmあたりで断熱性能は同じになり、厚さを増すほど外断熱が優れた数値になります。 この例では建物が小さく熱橋となる中間梁が少ないので内断熱はあまり熱橋の影響を受けていませ ん。集合住宅など大きい建物ほど内断熱の断熱性能は低下します。

 屋根や壁の断熱性能を比較して「外断熱も内断熱も断熱性能には違いがない」と思われたかもしれ ません。
 しかし、内断熱で使うポリウレタンはEPSやグラスウールの2倍近い断熱性能があります。さら に床面積に算定される部分に断熱材を入れるため有効な室内面積が減るなどの理由で30mmを超える断 熱が行われることは先ずありません。
 逆に25mmの外断熱も断熱性能が内断熱並だからといって決して快適なものではありません。
 いつも快適な温度に保つには熱損失が大きく、光熱費が嵩みます。節約のために空調を切り室温が 変化すれば、快適な温度に戻すまでに長時間を必要とします。


外壁からの熱損失係数 Qw


0
25
50
75
100
外壁 8.889*120.98
=1075.39
0.801*120.98
=96.87
0.419*120.98
=50.72
0.284*120.98
=34.35
0.215*120.98
=25.97
床熱橋 8.889*22.32
=198.40
7.805*22.32
=174.20
6.957*22.32
=155.26
6.275*22.32
=140.04
5.714*22.32
=127.42
合計
1273.88
271.08
205.99
174.40
153.52
Qw=合計/120
10.61
2.25
1.72
1.45
1.28
内断熱工法のQw

0
25
50
75
100
外壁  8.889*143.3
=1273.78
1.239*143.3
=177.58
0.666*143.3
=95.44
0.455*143.3
=65.26
0.346*143.3
=49.58
基礎外周 8.889*32.2/2
=143.11
1.239*32.2/2
=19.95
0.666*32.2/2
=10.72
0.455*32.2/2
=7.33
0.346*32.2/2
=5.57
合計
1416.89
197.54
106.17
72.59
55.15
Qr=合計/120
11.81
1.65
0.88
0.60
0.46
外断熱工法のQw
壁からの熱損失比較

 外断熱工法の熱損失には基礎外周からの熱損失を含んでいます。ウレタンとEPSの断熱性能差 から屋根と同様に断熱材の厚さが薄いときは内断熱の断熱性能が優れていますが、断熱厚さが25mm を超えると外断熱の断熱性能が優れています。

床・基礎からの熱損失係数 Qf

 Q値を使って熱損失を計算する場合、Q値×(外気温度−室温)と機械的に計算することが多い のですが、屋根・壁・基礎・窓・換気ではそれぞれ受ける日射を含めて条件が異なります。
 特に床や基礎の接する地盤の温度は東京では冬でも10℃前後、夏でも20℃前後と外壁や屋根 の接する空気の温度と大きな差があります。

 Qfだけを取り出せば、外気温度の低い冬の空調負荷はQfの50%、外気が高温になる夏は他 の部分のQ値から床・基礎のQ値をマイナスしてもよいと思います。しかし、夏は日射による熱取 得が大きくなるので、全体的なバランスを考えると屋根や外壁の熱取得を加算しない場合はそのま ま計算に含んでも良いでしょう。

0
25
50
75
100
土間スラブ 8.889*53.71
=477.43
1.239*53.71
=66.56
0.666*53.71
=35.77
0.284*53.71
=24.46
0.216*53.71
=18.58
梁底 8.889*3.53
=31.38
8.889*3.53
=31.38
8.889*3.53
=31.38
8.889*3.53
=31.38
8.889*3.53
=31.38
合計
508.81
97.94
67.17
55.84
49.96
Qf=合計/120
4.24
0.62
0.56
0.47
0.42
内断熱工法のQf

0
25
50
75
100
土間スラブ 8.889*53.71
=477.43
1.239*53.71
=66.56
0.666*53.71
=35.77
0.455*53.71
=24.46
0.346*53.71
=18.58
梁底 2.667*3.53
=24.29
2.667*3.53
=24.29
2.667*3.53
=24.29
2.667*3.53
=24.29
2.667*3.53
=24.29
梁側 8.889*25.68/2
=114.13
1.239*25.68/2
=15.91
0.666*25.68/2
=8.55
0.455*25.68/2
=5.85
0.346*25.68/2
=4.44
合計
615.86
106.76
68.61
54.59
47.31
Qf=合計/120
5.13
0.89
0.57
0.45
0.39
外断熱工法のQf
基礎・床からの熱損失比較

 基礎・土間からの熱損失は外断熱工法の方がやや熱損失が多い結果が出ています。これには若干 の説明が必要です。熱損失の計算にあたって次のような仮定で計算しています。


 上の図の赤い実線の位置で熱計算を行っています。
 外断熱では躯体を取り囲むように断熱ラインを想定するため断熱対象面積が大きくなります。床
からの熱損失量は断熱方法が変わっても変わりませんが、外断熱の地中梁側面からの熱損失分が余
分に計上されることになります。梁からの熱損失はコンクリートの厚さによって若干減りますが、
側面からの熱損失の方がその減少分より少なく計算されています。

 厳密な熱計算を行えば、外断熱の熱損失の方が少なくなると思いますが、その差はそれほど大き
なものではありません。

 外断熱の計算では布基礎など接地圧が必要な場合を考えて梁底を断熱しないものと考えました
が、地中梁で断熱可能な場合は是非断熱してください。


開口部からの熱損失係数 Qw2
 開口部からの熱損失は内断熱・外断熱に関係なく建具の性能によって決まります。
 ただし、壁の断熱ラインとサッシの断熱ラインが連続していない場合には、建具の周りにヒート ブリッジができてそこからの熱損失を加算して考える必要があります。
 開口部面積を20m とすると開口部のQ値は次のような数値になります。

使用するサッシの区分
K値
W/u・K
Qw2
W/u・K
普通サッシ・単板ガラス
6.80
1.13
H−1等級サッシ
4.65
0.75
H−2等級サッシ
4.07
0.68
H−3等級サッシ
3.48
0.58
H−4等級サッシ
2.91
0.49
H−5等級サッシ
2.33
0.39
樹脂サッシ・ペアガラス
1.16
0.19

 普通サッシから断熱サッシに替えるだけでもQ値は0.5から1.0程度改善します。これは少なくと
も内断熱の屋根の断熱材を25mm→75mmに、あるいは壁の断熱材を25mm→50mmに変更するのとほぼ同
じ効果があります。


換気による熱損失係数 Qv
 換気による熱損失には空気の温度差による熱損失(顕熱によるもの)と、空気の含む水蒸気量の
差による熱損失(潜熱によるもの)があります。顕熱による熱損失は取り入れた空気を室温と同じ
温度にするために必要なエネルギーを意味し、潜熱による熱損失は加湿または除湿に必要なエネル
ギーを意味します。
 屋内の空気を2時間に1回交換するとき、顕熱による熱損失は0.4W/u・Kとなります。
 潜熱による熱損失は温度との関係で表すことはできませんが、高温多湿期には潜熱による熱損失
が顕熱によるものを上回ることも珍しくありません。
 エアコンのドレンからポタポタと水が流れているとき、気化熱に相当するエネルギーが使われて
います。

 熱交換換気装置を使うことによって換気による熱損失の60%程度を回収することができます。
顕熱交換タイプ(60W)では熱交換しない換気扇(30W)を使う場合に比べて260KWHの電力使用量
で1152KWHの熱を回収し、標準的なエアコンの効率よりやや優れています。全熱交換タイプではさ
らに効率が高くなります。


サッシを除くQ値
 サッシからの熱損失はガラスと建具の組み合わせにより、上の表に示したような数値に決まりま す。そこで、断熱厚さに関係するサッシ以外の部分からの熱損失と断熱材の使用厚さとの関係をグ ラフで示してみました。
 勿論、内断熱で30mm以上の断熱をすることは先ずありませんから、内断熱の断熱厚さは参考とし てご覧になってください。また、外断熱でも屋根・外壁・土間の断熱を同じ厚さで行うことは滅多 にありません。熱負荷を考えれば外壁の断熱厚さを1とすれば屋根は1.2〜1.5倍、土間下や 基礎内側は0.5倍程度がバランスの良いところだと思います。

断熱厚さとQ値の部分別内訳(内断熱)
断熱材
厚さ
0
25
50
75
100
屋根
4.24
 0.55
 0.36
 0.28
 0.24
外壁
10.61
2.26
1.72
1.45
1.28
基礎
4.24
0.82
0.56
0.47
0.42
換気
0.40
0.40
0.40
0.40
0.40
合計
19.50
4.03
3.04
2.60
2.33

 屋根・外壁・基礎の断熱厚さはそれぞれ異 なるように定めることができます。
 輻射熱の大きい屋根や外壁の断熱厚さを割 り増すこと、熱負荷の小さい基礎の断熱を少 なめにすることは有効です。
内断熱のQ値(サッシを除く)
断熱厚さとQ値の部分別内訳(外断熱)
断熱材
厚さ
0
25
50
75
100
屋根
4.65
 0.65
 0.35
 0.24
 0.18
外壁
11.81
1.65
0.88
0.60
0.46
基礎
5.13
0.89
0.57
0.45
0.39
換気
0.40
0.40
0.40
0.40
0.40
合計
21.99
3.58
2.21
1.70
1.43

 屋根・外壁・基礎の断熱厚さはそれぞれ異 なるように定めることができます。
 輻射熱の大きい屋根や外壁の断熱厚さを割 り増すこと、熱負荷の小さい基礎の断熱を少 なめにすることは有効です。
外断熱のQ値(サッシを除く)



 上の図で25mmの内断熱のQ値は4.03になっています。普通サッシを付けた内断熱の戸建RC住宅
は、普通サッシの熱損失係数1.13を加えて5.53程度の熱損失係数を持つと考えていいでしょう。
 一方、100mm断熱の外断熱RC住宅では1.43のQ値を示していて、樹脂サッシのQ値0.19を加え
て1.62程度の熱損失係数になります。
                                     (以上2005/10/14
改訂)

断熱と熱損失係数(Q値)
 内断熱工法と外断熱工法を使って断熱する場合断熱厚さとQ値はどのように変化するでしょうか。
これまでの結果を別の見方から整理してみましょう。




断熱厚さ25mm
断熱厚さ50mm
断熱厚さ75mm
断熱厚さ100mm





無断熱-82%

無断熱-86%

無断熱-88%

無断熱-89%





無断熱-84%

無断熱-90%

無断熱-92%

無断熱-93%
 Q値の値と円の面積は比例しています。25mm以上の断熱をしても内断熱工法では熱損失の減り方が 少ないことが判ります。
 厚さ25mm程度では内断熱と外断熱の熱損失係数に大きな差がない理由は、内断熱に使用されるウレ タンの高い断熱性能と、熱橋がない外断熱工法の特性がほぼ見合っているからです。
 断熱厚さが増えると熱橋からの熱損失は無視できないほど大きくなります。


  •  EPS50mmで外断熱した建物の熱損失はウレタン25mmで内断熱した建物よりも小さくなりま
    すが、外断熱の建物としては熱損失率が大きいため、実際に生活すると 燃料消費が多い・寒
    さを感じるなど住み心地に問題が出てきます。
     空調しても急激に温度を変えにくい外断熱の建物はQ値の目標を少なくとも1.5前後に設
    定すべきです。
 上の図表から次のことが見えてきます。
  1.  内断熱工法ではヒートブリッジからの熱損失が大きく、断熱材の厚さを増やしても熱損失率
    (Q値)の減り方が少ない。
  2.  壁の断熱性能を上げるとヒートブリッジやサッシからの熱損失の割合が増加する。
 したがって、断熱性能の高い建物を造るにはヒートブリッジのある内断熱工法は適していません
し、サッシも断熱性能の良いものを選択する必要があります。

  ※ 必ずしも「性能の良いもの=高いもの」と考えることはありません。
 断熱性能を高めるには「良いサッシを使う」、「壁の断熱性能を高める」などいくつもの選
択肢があります。
 断熱の基礎知識の中に、壁の断熱工事費と空調エネルギー費用の合計額を最小化する考え方
を書いておきましたが、屋根やサッシについても同じ考え方で適切な断熱性能が求められる筈
です。個別に計算された数値を全体的なバランスを見ながら補正しましょう。

 太陽からの輻射熱を多く受ける屋根の断熱材を壁よりも厚くすると熱損失(熱負荷)を有効
に減らします。土の温度は年間を通じて変化が少ないですから土間下の断熱は少し薄くしても
断熱性能の低下が気にならないかもしれません。
 (土間下の断熱は断熱材を敷き並べるだけですから、あまり工事費に影響はありません
が、)

 省エネルギーな外断熱住宅の建設は、建設のための投資が、将来「エネルギーの節約」という利益
を生む投資です。良く考えるほど、少ない投資で大きな効果が上がる選択ができます。


温度変化

 内断熱工法と外断熱工法では、Q値の差以上に室内の温度が変化する速度が違います。その理由は 外断熱工法の建物が持つ大きな熱容量にあります。
 熱容量とは、断熱材の内側に取り込まれた「物質の重量×比熱(または、物質の体積×比重×比 熱)」で表されます。
 内断熱工法の建物では外壁すべてと、外壁に繋がる躯体の一部の温度が外気温と同調するので、有 効に蓄熱する熱容量にカウントできない部分が多くなりますが、外断熱工法では基礎の土に接する部 分や外部の土間など一部を除いて躯体の大部分を「室温と同じ温度の熱を溜めるタンク」として利用 することができます。

 熱容量の大きさをグラフで比較してみましょう。熱容量は断熱材の厚さの影響を受けませんから、 断熱材の厚さに関わらず内断熱工法と外断熱工法を比較するだけです。



 内断熱では屋根・外壁など構造体の主要部分が断熱材の外側に置かれ、床・間 仕切壁の一部も外気温に同調するので、断熱材内側で熱を蓄える能力が極めて少 なくなります。


 内断熱工法の建物の約4倍の熱容量を持つ外断熱工法の建物は、仮に内断熱工法の建物と同じ熱 エネルギーを失ったとしても、内断熱工法の建物の約1/4しか温度が下がりません。ちょうど大 きな水面を持つダムと小さな水面を持つダムから同じ量の水を流したとき、大きなダムの水面が少 ししか下がらないのと同じことです。

 さらに、内断熱の戸建住宅のQ値が4.4程になるのに対し、Q値が1.5前後になるように設 計した外断熱の建物では熱損失が約1/3になりますから、温度もあまり変化しません。次のグラ フは、前の計算例の建物の代表的なものについて、外気温度0℃−室内気温20℃のときに暖房を停 止した後8時間の温度変化を計算したものです。
 25mmのEPSを使った外断熱でも100mmのウレタンを使った内断熱より温度変化が少ないことを 確かめてください。

  •  しかし、決して「温度低下が少ないのなら、25mmのEPSの外断熱でも充分だ」とは考え ないでください。4倍近く大きいQ値を持つ外断熱の建物は適正に維持できないほど空調費 が嵩みます。
 従来、換気による熱損失を除外して温度変化を計算していました。常時換気システムの設置に合 わせた数値とするためこのページの図表の数値を訂正しました。(2004/06/09)



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