有限会社 日本外断熱総合研究所          Japan Institute of Insulation
3-2断熱の良い家造り講座(5/7) 断熱か?自然エネルギーか?
Sustainable Housing  断熱の良い家造り講座

断熱の良い家造り講座TOP ・ 断熱の基礎知識 ・ 断熱工法あれこれ ・新しい省エネ理論

断熱の基礎知識 ・ Q値とK値 ・ 結露の防止 ・ 断熱厚さの最適化 ・ 断熱か?自然エネルギーか
        ・ 資産価値・償却とローン返済 

0-0HOME
0-1What's New
0-2特集
0-3特許
0-4断熱と室内環境
0-5リンク集
0-6WEB_Masterの独り言
0-7協力設計事務所等募集
0-8NPO外断熱推進会議
  サイトマップ

快適な家造りのために
1-1快適な家造りのために
1-2TOPICS
1-3Q&A
1-4私の外断熱ライフ
1-5工事・診断報告
1-6断熱と空調の薀蓄
1-7RC外断熱の家って凄いっ

断熱と暮らし
2-1断熱とライフスタイル 
2-2住まいと健康
2-3地球環境問題
2-4外断熱工法マンション
2-5建物用途別
2-6断熱改修の進め方

断熱技術講座
3-1やさしい断熱講座
3-2断熱の良い家造り講座
3-3コンクリート造の断熱
3-4木造建築物の断熱
3-5断熱と「省エネ・耐久」
3-6断熱仕様とQ値
3-7日本の気象と断熱工法

マニュアル
4-1快適な家造り
4-2断熱改修のマニュアル

付録
付1断熱用語辞典
付2断熱材性能比較リスト
付3住まいと断熱の掲示板
付4M邸WEB見学会
付5RC外断熱工法と
付6間違いだらけの外断熱に
 
断熱か?自然エネルギーか?

 このウェブサイトを始めて以来、「建築物の空調エネルギーの削減をするために唯一の方法は
きちんと断熱することで、これ以外に空調の省エネを実現する方法はない。」という立場でとっ
てきました。

 昨年から、トップページからリンクした「省エネ1-2-3」などで自然エネルギーを使った省
エネ空調のメリットを強調してきましたが、空調エネルギーについて体系的に解説をするのは今
回が初めてです。

 2007年2月、空調の省エネ化のための断熱と自然エネルギー利用を同じテーブルに載せて誰に
でも理解しやすい省エネ理論を公開します。


建物の熱収支

 空調で室内温度が一定に保たれているとき、建物に供給されている熱エネルギーと建物から失
われているエネルギーの合計は0でバランスしています。
 建物が受け取るエネルギーが失うエネルギーよりも多いときは室内の温度が上昇し、少ないと
きは室内温度が低下します。

 建物に作用する熱には次のようなものがあります。
1.  建物内外の温度差と建物の断熱性能によって屋外と屋内を移動する熱。
 (その他太陽からの輻射熱などを含む。)
2.  建物内部での人間活動によって人体や電気製品から発生する熱。
3.  1〜2の結果屋内が高温になるときに使う冷房による熱の排除
4.  1〜2の結果屋内が低温になるときに使う暖房による熱の追加

 今後はさらに次のようなエネルギーを加えて考えることになります。
5.  屋内温度を更に快適にするために必要に応じて人為的に取り入れる地中熱や地下水と 熱交換して室内に取り入れ、あるいは排出される熱。
6.  屋内温度を更に快適にするために必要に応じて人為的に取り入れる太陽輻射熱や太陽 熱温水器で集熱された熱。


 5の地中熱は東京で換気用外気を熱交換した場合年間を通じておよそ 1500KWH程を利用可能で
す。また6の太陽熱は太陽熱温水器を使った場合でおよそ 3500KWH程が利用可能ですが、建物の
断熱性能によって利用可能なエネルギーは異なります。

 さらに、地域によって利用可能な自然エネルギーの大きさは変化します。
 冬に晴天の日が多い太平洋岸では太陽熱エネルギーを得やすいのに対し、曇りや雪の多い日本
海側などでは充分な集熱量が得られない恐れもあります。


自然エネルギー利用の効果

 東京で120m2の床面積の住宅の換気用外気を地熱と熱交換したとすると、暖房シーズン冷房
シーズンにそれぞれ次のような空調エネルギーの削減が可能です。(単位:KWH/年)
Q値 暖房 冷房
0.50
534
943
0.75
745
797
1.00
764
705
1.25
756
637
1.50
755
588
1.75
750
551
2.00
730
524
2.25
727
506
2.50
723
490
2.75
722
477
3.00
722
406


 さらに、集熱版面積10m2の太陽熱温水器で集熱したエネルギーで暖房用エネルギーを補うと
次の表のように暖房用エネルギーを削減できます。(単位:KWH/年)
 この時に暖房で余った熱エネルギーを給湯に回すと給湯用エネルギーを更に次のように削減し
ます。

 すでに太陽熱給湯を導入している場合は給湯の省エネ分を加えて省エネ効果を考えることはで
きませんが、そうでなければ暖房と給湯のシステムを一元化することで大きな省エネ効果をあげ
ることができます。

Q値 暖房 給湯
0.50
0
 3057
0.75
227
2870
1.00
 1110
2008
1.25
1556
1615
1.50
1747
1522
1.75
1970
1436
2.00
2142
1338
2.25
2308
1204
2.50
2481
1069
2.75
2654
934
3.00
2763
864


自然エネルギー利用によるQ値改善効果

 建物のQ値と空調エネルギーの関係を図に示してみました。自然エネルギーを使わない場合、
「一般空調」と示した紺色の上側のラインの空調エネルギーを必要とします。Q値2.00のときの
値をAとすると、地中熱と太陽熱を使って空調するときに必要な空調エネルギーはBで現すこと
ができます。
 また、暖房で使いきれなかったエネルギーを給湯用に転用しその省エネ分を空調用に加えると
B’まで消費エネルギーが削減できたことになります。

 自然エネルギーを使わずに断熱性能だけで同じ消費エネルギーになるようにするにはC、ある
いはC’で示されるQ値にしなければならないのでCの場合はQ値をおよそ1.25まで、C’の場
合はQ値を1.03まで減らしたのと同様な省エネルギーが実現できるわけです。





 上の図はRC外断熱工法の建物のQ値(横軸)に対して、通常の空調をした場合の空調エネル
ギー(紺色の上端)、地中熱を空調に取り入れたときの空調エネルギー(桃色の上端)、集熱盤
面積10m2の太陽熱温水器を暖房に使用したときの必要空調エネルギー(黄色の上端)、余剰温
水を給湯に利用したときの給湯エネルギーの減少分を空調エネルギーから差し引いたもの(水色
の上端、マイナスの部分は下端)を現しています。

 ここで、A、B、B’はQ値が2の建物の通常の冷暖房エネルギー、地中熱と太陽熱を取り入
れたときの暖房エネルギーを表しているわけですが、Q値改善に地中熱、太陽熱による暖房、太
陽熱による給湯がどれだけ寄与しているかを示したものが下の図です。

 地中熱、太陽熱暖房、太陽熱給湯による空調エネルギーの削減量を年間HDDと床面積及び24
(1日の時間数)で割ったもので、一般の空調を下場合に比べて実質的にQ値がどれだけ小さく
なったのと同じ省エネ効果があるかを比較したものです。



 東京では自然エネルギーを使えば、Q値が1.50程度の建物でも実質的に空調エネルギーが0に
近いところまで下がり、Q値を1.00近くまで下げれば冷房も含めた空調エネルギーゼロ住宅が実
現できると考えることができます。



戻る