有限会社 日本外断熱総合研究所          Japan Institute of Insulation
3-2断熱の良い家造り講座(8/8)新しい省エネ理論
Sustainable Housing  断熱の良い家造り講座

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 従来、断熱性能が高いほど建物が必要とする空調エネルギーが少なくなると考えてきました。

 例えば外気温度と室内温度に20℃の温度差があるとすればこの建物からの熱損失は

建物からの熱損失=Q値×床面積×(室内温度−外気温度)
        =Q値×床面積×20℃
と計算でき、Q値以外を変化させることはできませんから、Q値を小さくすることが熱損失(= 空調エネルギー)を減らす唯一の方法です。

 2000年以降、ドイツで新築される住宅のエネルギー消費は床面積(m)あたり年間70KWHに 抑えられてきました。この水準のエネルギーを必要とする住宅を「低エネルギーハウス」と呼ん でいます。

 ドイツの住宅のエネルギー消費量を、開発に取り掛かった時代順に整理すると次のようになり ます。これらのうち、超低エネルギーハウスは現在実証的な試作段階に入っています。
名      称
開発着手
使用開始
消費エネルギー
KWh/年
備  考
ソーラーエネルギーハウス
1982
150
ガラス多用、
熱損失大きかった
低エネルギーハウス
1987
2000
70
2000年より法制化
超低エネルギーハウス
1992
20
パッシブハウス
ゼロエネルギーハウス
1996
0
実験・研究段階

 ソーラーエネルギーハウスと低エネルギーハウスの年間空調エネルギー収支を考えてみると、m あたりの空調エネルギーは次のようなバランスになるのではないでしょうか?
 ドイツのHDD(暖房度日)を4000とすると、それぞれの建物のQ値は1.84と0.96(w/m K)になります。
名      称
Q値
年間熱負荷
内部発熱
自然エネル
ギー利用
空調機
ソーラーエネルギーハウス
1.84
177
12
15
150
低エネルギーハウス
0.96
92
12
10
70

 この表の中で空調機からの出力は150KWH/mから70KWH/mと半分以下(47%)に減りました が、建物のQ値は1.84から0.96へと52%に減っただけです。
 47%と52%の違いは僅かな違いに見えるかもしれませんが、建物の空調エネルギーを減らすた めに注目すべき事柄です。

 日本で低エネルギーハウスと同じようなエネルギー消費性能の家を建てようとすると、少し事 情が変わります。ドイツでは暖房だけを考えれば充分でしたが、日本の大部分の地域では夏に冷 房しなければ暮らせません。暖房度日1800度日、冷房度日 270度日の土地に低エネルギーハウス を計画すれば、次のようなエネルギー収支になるでしょう。
 数値は想定したもので実測地ではありません。
名    称
HDD
CDD
Q値 年間熱負荷 内部発熱 その他
熱取得
空調機
低エネルギーハウス
1800
1.33
-57.4
12.0
10.0
35.4
270
8.6
6.0
10.0
-24.6
合計2070 絶対値合計
66.0
18.0
20.0
絶対値合計
70.0

 この表で、冷房と暖房の特色が垣間見えています。冷房度日(CDD)は暖房度日(HDD)の15%し かなく、Q値と CDDで計算される熱負荷も15%に過ぎません。
 しかし、建物の中に暮らす人からの発熱や生活に伴う照明・動力などからの発熱、さらに窓か ら差し込む日射などが冬の暖房負荷を減らすのに対して、夏の冷房負荷を大きく増やす傾向があ ります。
 上の熱収支計算例でも、内外温度差により壁や屋根を透過して室内を暖めるエネルギー8.6KWH に対して、必要な空調機の能力が約3倍の 24.6KWHになっています。空調機への負荷の内、断熱 によって減らした熱伝導によるものよりも、内部発熱や窓から室内に差し込む日射のほうが大き な冷房負荷を掛けているのですから、温暖な地域での省エネには夏の内部発熱や熱取得の抑制に 配慮する必要があります。
 


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