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従来、断熱性能が高いほど建物が必要とする空調エネルギーが少なくなると考えてきました。
例えば外気温度と室内温度に20℃の温度差があるとすればこの建物からの熱損失は
建物からの熱損失=Q値×床面積×(室内温度−外気温度)
=Q値×床面積×20℃
と計算でき、Q値以外を変化させることはできませんから、Q値を小さくすることが熱損失(=
空調エネルギー)を減らす唯一の方法です。
2000年以降、ドイツで新築される住宅のエネルギー消費は床面積(m2)あたり年間70KWHに
抑えられてきました。この水準のエネルギーを必要とする住宅を「低エネルギーハウス」と呼ん
でいます。
ドイツの住宅のエネルギー消費量を、開発に取り掛かった時代順に整理すると次のようになり
ます。これらのうち、超低エネルギーハウスは現在実証的な試作段階に入っています。
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名 称
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開発着手
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使用開始
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消費エネルギー
KWh/年
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備 考
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ソーラーエネルギーハウス
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1982
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150
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ガラス多用、
熱損失大きかった
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低エネルギーハウス
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1987
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2000
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70
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2000年より法制化
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超低エネルギーハウス
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1992
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20
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パッシブハウス
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ゼロエネルギーハウス
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1996
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0
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実験・研究段階
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ソーラーエネルギーハウスと低エネルギーハウスの年間空調エネルギー収支を考えてみると、m
2あたりの空調エネルギーは次のようなバランスになるのではないでしょうか?
ドイツのHDD(暖房度日)を4000とすると、それぞれの建物のQ値は1.84と0.96(w/m2・
K)になります。
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名 称
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Q値
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年間熱負荷
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内部発熱
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自然エネル
ギー利用
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空調機
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ソーラーエネルギーハウス
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1.84
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177
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12
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15
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150
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低エネルギーハウス
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0.96
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92
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12
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10
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70
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この表の中で空調機からの出力は150KWH/m2から70KWH/m2と半分以下(47%)に減りました
が、建物のQ値は1.84から0.96へと52%に減っただけです。
47%と52%の違いは僅かな違いに見えるかもしれませんが、建物の空調エネルギーを減らすた
めに注目すべき事柄です。
日本で低エネルギーハウスと同じようなエネルギー消費性能の家を建てようとすると、少し事
情が変わります。ドイツでは暖房だけを考えれば充分でしたが、日本の大部分の地域では夏に冷
房しなければ暮らせません。暖房度日1800度日、冷房度日 270度日の土地に低エネルギーハウス
を計画すれば、次のようなエネルギー収支になるでしょう。
数値は想定したもので実測地ではありません。
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名 称
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HDD
CDD
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Q値
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年間熱負荷
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内部発熱
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その他
熱取得
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空調機
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低エネルギーハウス
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1800
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1.33
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-57.4
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12.0
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10.0
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35.4
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270
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8.6
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6.0
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10.0
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-24.6
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合計2070
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絶対値合計
66.0
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18.0
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20.0
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絶対値合計
70.0
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この表で、冷房と暖房の特色が垣間見えています。冷房度日(CDD)は暖房度日(HDD)の15%し
かなく、Q値と CDDで計算される熱負荷も15%に過ぎません。
しかし、建物の中に暮らす人からの発熱や生活に伴う照明・動力などからの発熱、さらに窓か
ら差し込む日射などが冬の暖房負荷を減らすのに対して、夏の冷房負荷を大きく増やす傾向があ
ります。
上の熱収支計算例でも、内外温度差により壁や屋根を透過して室内を暖めるエネルギー8.6KWH
に対して、必要な空調機の能力が約3倍の 24.6KWHになっています。空調機への負荷の内、断熱
によって減らした熱伝導によるものよりも、内部発熱や窓から室内に差し込む日射のほうが大き
な冷房負荷を掛けているのですから、温暖な地域での省エネには夏の内部発熱や熱取得の抑制に
配慮する必要があります。
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