有限会社 日本外断熱総合研究所          Japan Institute of Insulation
3-2断熱の良い家造り講座(3/7) 結露の防止
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結露の防止

 結露には表面結露と内部結露の二種類があります。表面結露は室内内装材の表面が室内空気の露点 温度を下回ることが原因です。(下図左)
 結露防止には壁に断熱材を入れて壁表面温度の低下を少なくすること(下図中央)、ガラス面では 自動車のフロントグラスのデフロスターのように暖房機からの暖かい空気を窓方向に吹き出させてガ ラス面の温度低下を防ぐことが有効だとされています。(下図右)
 いずれも間違いではありませんが、間歇空調している部屋で夜中空調を切ったときに壁表面やガラ ス表面温度が下がれば結露防止効果が期待できないことは言うまでもありません。まして、局所空調 で使わない部屋の空調調を切る場合には非暖房室の壁やガラス面の温度が何℃まで下がるかに結 露防止できるかどうかがかかっています。

 暖房を切り、温気流が期待できない時間があるような使い方をする建物でも壁表面温度を限度以下 に下げない断熱−空調の組み合わせが必要になります。


 内部結露は防湿層(RC造の場合は躯体)から断熱材に染み出した水蒸気が断熱材中で冷やされ結 露する現象です。防湿層の施工が不充分な場合、断熱材の外側にある外装材の透湿抵抗が大きい場合 に内部結露の恐れがあります。
 気密・防湿層を確実に施工すること、透湿性能の大きい外装材を用いるか通気層を設けるなどの方 法で内部結露の発生を防止します。

 建設地の気候条件で結露の発生の有無を確認するため、「結露計算」と呼ばれる手法で温度−水蒸 気圧の分布を確認します。



 


簡単で難しい結露の原因
 結露とは冷えたコップの表面に水滴がつく原理によって発生する物理現象で、水蒸気を含む空気が
露点温度以下に冷やされると水蒸気の一部を含みきれなくなり結露を起こします。空に雲ができるの
と同じ理屈です。
 結露発生のメカニズムは下の「湿り空気線図」を使って定量的に説明することができます。
 小学生でも原理を知っている結露ですが実生活の中でその発生原因を知り、結露発生を予防するの
はなかなか難しいものがあります。



 断熱と結露防止を説明する書物の中では、一般に定常分析と呼ばれる方法で壁内部の温度分布と水
蒸気圧分布を計算し、「露点温度が実際の温度を上回る部分がある場合に結露が発生する」と説明し
ます。
(例 下図)


日本建築学会 建築環境工学教材 環境編 より

 定常分析は室内と屋外の気温・湿度が一定であることを前提にした分析方法ですが、外気温度や湿 度は毎日周期的に変化していますし、室内温度も連続空調を採用していない限り外気温度の変化や空 調のON・OFFにつれて変化します。定常分析と同じ状態を実験的に作ろうとすればふたつの定温 室の温度差を20℃以上に長時間保つという、普段ありえない環境を作らなければなりません。

 定常分析でカバーしきれない問題を補う目的で、温度や湿度が常に変化している場合のコンピュー タ解析(非定常分析)プログラムも開発されていますが、これとて、押入の中・家具の裏・出隅部分 など結露が発生しやすいと言われる細かい部分に配慮できるものにはなっていません。
 日本の学者たちの中には、上で例にあげた結露が発生しやすい場所に結露するのは「住む人の使い 方に問題があり、断熱のしかたや施工者には責任はない」と考えている人もあるようです。


結露の跡はどこにある

 内断熱が始まったのは1970年代に入りオイルショックのころだったでしょうか?私も社会人になっ て初めて赴任した秋田県北部の町で、住宅公団の特定分譲住宅として建てられた社宅が激しい結露を 起こしていたのを覚えています。
 「天井の防湿層の上に水がたまり、滝のように流れ出た」と信じられない第一報以来、何度となく 補修が繰り返されていました。
 現場発泡ウレタンで断熱されるようになって以来、上の「建築環境工学教材 環境編」に書かれた ような激しい結露の現場を見たいと思ってもなかなか適当な現場を見つけることはできません。

 「では、内断熱の結露はなくなったのか?」と言うと、決してそうではありません。賃貸マンショ ンのオーナーは「入居者が代わるたびに結露した内装を改修しなければならない」と嘆き、分譲マン ションの管理組合役員は「みんなが結露で困っている。建て直すときは外断熱にしたい」と悩みを打 ち明けてくれます。

 「断熱によって結露が発生する」というとき、どの程度の結露量を想像されるでしょうか?鉱物繊 維系断熱材を使った内断熱の建物で17.2g/m・hですから降雨量と同じ表現をすれば0. 017mm/h、同じ条件で発泡ポリスチレンを使った内断熱の建物では0.042g/m・hつまり 0.0042mm/hと雨量計では0mmとしか表現できない量で、目で見て結露が確認できるのも「防湿層の 後に溜まる」など特殊な場合に限られます。
 「現場を目視して結露がないことを確かめた」などの報告がされることもありますが、軽微な結露 の有無は絶対湿度と表面温度を確認しない限り確かめられません。

 現実の結露と、理論を比べると矛盾した例が出てきます。定常分析で結露計算をすると、「無断熱 は結露を起こし難い」という結果が出ます。定常分析では「室内温度を常に一定に保つ」という前提 で計算するので、コンクリートの室内側の壁の温度はどこでもほぼ室温と等しく約20℃前後に保たれ ると言う条件で計算していますが、実際に無断熱の室内を24時間一定の温度に保つことなどお金を湯 水のように使わなければできません。

 いろいろなケースを拝見したり、皆さんのお話を伺ううちに結露が起きる条件は上の定常分析が示 すもののほかに次のようなものがあります。
  結露の種類   対    策
1.
 サッシ・ガラス面・床周りなど断熱性が劣り 低温になりやすい部分で起きる結露
 断熱サッシ・ペアガラスを使い、ヒートブ リッジ対策を行う
2.
 普段暖房を入れていない室内気温が低い部屋 で起きる結露
 全室を暖房し、家の中の温度差を小さくす
3.
 布団を詰め込んだ押入や外壁を背に配置され た家具などで外壁内部表面に充分に熱が供給さ れないために起きる結露
 押入の温度が下がらないように戸をあけ る。収納物と外壁・床の間にすのこなどを置 く。もちろん空調も入れっぱなしにする。
4.
 昼間暖められ水蒸気をたっぷり含んだ空気 が、夜間暖房を切った後冷えるために起きる結
 夜中も暖房する。または寝る前に空気を入 れ替える。または夜中も換気する。
5.
 夜間締め切った家で、睡眠中の呼吸とともに 排出される水蒸気を原因とする結露
 寝室を夜中も暖房および換気する。
1〜5の結露は単独で個別に起きるものではなく、一般に複合して発生します。

 表の対策をご覧になって実行可能と思われるものがあったでしょうか?内断熱のままで結露を起こ さないようにするには大きな経済的負担を伴います。

 定常分析では「無断熱の建物は内断熱の建物より結露を起こしにくい」という結果が出ます。
 通常、定常分析は室内温度が一定に保たれているという前提で行われるからです。しかし、無断 熱の建物を常に一定の温度に保つ生活は恐ろしいほどの空調費を必要としますから、人がいない場 所・時間に空調することはないでしょう。
 空調を切った部屋では他の場所より温度が下がります。温度の低い部屋では相対湿度が高くな り、激しい結露が起きます。


外断熱と結露
 冬の結露
 熱損失を小さくして暖房を切った後の室温低下を一定に抑え、ヒートブリッジを最小限にするな ど、適切に設計された外断熱の建物では、定常分析で示したように基本的に結露の心配はありませ ん。仮に夜中も換気したとしても激しい室温の低下を招くこともありません。したがって、上の表に 示した1.〜5.の原因で起きる結露の心配からも解放されます。

 しかし、外断熱には外断熱特有の結露の心配があります。

 外装仕上げ材に磁器タイル、吹付けタイル、金属板など水蒸気を通しにくい(透湿抵抗の大きい) 材料を使うと外装材の裏側に結露を起こし断熱材の性能を損なう、外装材表面に凍害を起こすなどマ イナスの現象を招きます。

 欧米では伝統的に建物の外装材に透湿性の高い煉瓦が積まれてきました。透湿性が高いことが外断 熱の建物の外装材要求される最大の条件です。
 しかし、無断熱と内断熱が主流を占め、地震の多い日本ではコンクリートに直接タイル、吹付けタ イル、石などが張られてきました。
 通気層を持つ外断熱工法は、外断熱の建物に透湿性の小さい外装を行うひとつの解決策です。

 日本で初めに紹介された外断熱工法が通気層工法だったために、「外断熱には通気層が不可欠」と 思われている方も多いようですが、透湿性の高い外装材または通気層によって建物内部から屋外まで 水蒸気が結露することなくスムースに排出されるシステムがあればどちらでも構いません。
 ご予算、外装の嗜好に合うお好きなものを選択してください。

 夏の結露
 外気温度32℃・湿度70%日本の夏には珍しくない気象データです。外気がこの状態のときに室 内を25℃に冷房しているとどうなるでしょうか、このときの外気は25.8℃結露を始めますか ら、透湿抵抗のほとんどない繊維系断熱材で外断熱したコンクリートの表面に結露が起こります。
 高湿状態はそれほど長く続くものではありませんから、繊維系外断熱工法の推進者は「結露は数時 間で終り、さほどの実害はない」との立場を取っています。
 しかし、透湿係数の小さい発泡系断熱材を使えば結露の危険が減り、結露する場合でも結露量が1 /40以下に減少します。

 高温多湿な日本の夏型結露を考えると樹脂系断熱材を使用するほうが安心です。


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