有限会社 日本外断熱総合研究所          Japan Institute of Insulation
3-2断熱の良い家造り講座(6/7) 資産価値・償却とローン返済
Sustainable Housing  断熱の良い家造り講座

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資産価値・償却とローン返済


 次の図は、金利と支払年数による年賦償還した場合に毎年支払う返済元利金の元金に対する比 率です。
 「資産価値や償却にどうしてローン返済額が出て来るんだ?」「こいつ、頭狂ってんのと違う か?」と思った方はこれまでの資産や償却の意味を良くご存知です。
 年賦償還額の元金に対する比率を持ち出した意味は改めて説明します。はじめに下から2番目 の緑色の線を見てください。(緑の線は金利3%の場合を示しています)一般的な35年ローンで は年間元金の約4.7%を返済しなければなりませんが、もし建物の耐久性能に準じた100年ロー ンがあれば2.3%ほどを支払い続けることで返済を完了できます。

 もちろんローン返済は償却や資産価値とは別の資金繰りの問題ですから、手元資金に余裕があ れば早く返済するに越したことはありません。
 金利が高くなるほど償還期間を伸ばしても支払い元利金が減らないこともこの図で確かめられ ます。



 次に、35年と100年で元利均等償還する金利3%のローンを返済していくとき、借入元金の残高 がどのように減少するかを図に示します。図が見難くなるので金利3%の場合だけを示していま すが、金利0%のときは始端と終端を結ぶ直線になり、金利が上昇するほど当初の元金減少は少 なくなります。
 借入残高が多い初期は多くの金利を支払うため元金の減少は少なく、借入残高が減り始めると ますます減少速度が高まるよく知られたパターンです。

 実際に100年償還の住宅ローンを扱う金融機関はありませんから、この図は後の償却コストの考 え方を説明するための資料です。そのつもりでご覧下さい。


資産価値の基準

 次に建物が生み出す経済的価値について考えることにします。1年間に生み出す経済価値を1 とし、将来発生する価値は前のローン金利と同じ年率3%で割引計算します。
 この計算方法は毎年一定額が償還される債券などの価値を計算する手法とまったく同じもの で、「定期給付の割引現在価値」を求める方法として知られています。建物の家賃や使用権を債券 と見なした資産評価方法です。
 新築時に100年耐久の建物は年間収益の約26年分、35年耐久の建物は年間収益の約19 年分に相当する現在価値を持つことを示しています。

 この図でもうひとつ注目して頂きたいところがあります。
 例えば、35年耐用の建物の価値が0になる36年後、100年耐用の建物の価値は年間収益 の約23年分が残っています。債券と同様な評価で売却できるとすれば、35年耐用の建物は1 9年分の年間収益に相当する建物価値をすべて失うのに対して、100年耐用の建物は36年間 に全体の12%弱に相当する約3年分の年間収益を減らしただけだったことになります。

 今、住宅を新築するとして、あなたのご家族が定年、平均寿命を迎える時期が何年後になるか 計算して、そのときの建物価値を下の図から確認してみてください。
 あなたが30歳の男性とすれば、30〜40年しか持たないマンションを買ったり、戸建住宅を建て たりしたら、定年となる35年後には建物の価値はほとんど0になり、建直しや大規模な補修が必 要になります。一方、100年耐用の建物を取得したとすれば、同じ時期に資産価値を1割余り減ら すだけで済みますし、平均寿命に到達する55年後でも約8割の資産価値が残っています。お子さ んが高齢化するまで家の心配はありません。

 このように、耐用年数の長い建物は将来売却するにしても相続するにしても優良な資産となる ことが確かめられます。

 ところで、この図を見てどこかで見たことがあると思いませんか? そうです。上の元利均等 償還時の未返済残高と同じ関数を表す曲線になっています。
 ローン返済は債務、家の使用権は債権と性格の違いはありますが、一定期間定額を支払い・ま たは収益する権利や義務の大きさは同じ関数で表されます。

 RC外断熱工法で建てる家は内断熱工法で建てる家に比べて、14〜20%工事費が割高になりま
すが、新築直後の割引現在価値は30%近く大きくなります。この比較には空調に使うエネルギー
の節減額を含んでいませんから、実際の建物の価値の差はもっと大きいことになります。
 外断熱のRC住宅は初めから建物価値/投資の比率が大きく、しかも長く使っても資産の目減
りが少ないのです。


償却の意味

 会計処理や税法をご存知の方なら、「減価償却」という言葉をご存知だと思います。建物の償却
期間は用途と構造によって決められており、また、償却方法は当事者の選択によって「定率」と
「定額」のいずれかを選択します。木造と鉄筋コンクリート造の住宅について未償却資産比率を図
に示すと次のようになります。



 上の図を示した目的は、構造によって一律に決められる税法上の償却では耐用年数の長短が収 支計算に反映されない問題を解決したかったからです。長期耐用建物の償却を定率・または定額 法によって行うこともできますが、償却残に市場価値を反映させるという点で提案した方法が優 れています。
 建物の残存価値が残りの存続期間に期待できる建物の利用価値によって決まるとすれば、ここ に提案した償却方法が最も実態に近いでしょう。

 上の図には税法のRCと木造以外に長期耐用建物だけを載せました。一般の建物と長期建物と を同列で比較するために同じ計算方法で22年耐用(木造)、47年耐用(RC内断熱)と100年耐用 (RC外断熱)を示しましょう。



 各構造とも税法の償却方法に比べて初期の償却率が小さく、後半の償却率が大きくなっていま す。「こんな償却法では損金算入額が減り、多くの税金を払わなくては」って? 心配は要りま せん。税務上の計算までこの方法を使おうということではなく、残存価値を正当に評価した損益 計算によって長期耐用建物の資産価値を把握するだけのことですから、

 ついでに、この方法の持つ欠点を説明しておきましょう。
 想定する金利(=割引率)によって曲線の膨らみが変化すること、建物存続期間の後半まで大 きな償却残が残り、想定した期間建物を使用せずに解体した場合に大きな額を損金処理しなけれ ばならないこと、計算が複雑で定額法・地率法のように簡単に計算できないことの三点です。
 特に「内断熱のRC建物が本当に47年も使えるか?」気になるところです。


トータルコスト比較

 「トータルコスト」と言った途端ですが、固定資産税を初め多くのコストは断熱方式によって 内容が変わらないものも多く含まれています。
 そこで、建設費と耐用年数の異なる償却費、Q値が3倍以上異なる空調費、建設費の額の違い が影響する借入金金利の合計額を建物ライフサイクルで比較してみます。
 次の二つの図を見てください。上が内断熱の建物を法廷償却期間で建替えた場合、下は外断熱 の建物を100年間使う場合です。

内断熱のトータルコスト  平均101.3万円/年
外断熱のトータルコスト 平均47.8万円/年


 1サイクルあたりの3費目合計の平均金額は、内断熱で101.7万円、外断熱では50.4万円になり ます。各費目ごとに金額を表に示しておきましょう。
 この表の内断熱の建替えサイクルは47年を基準にしていますから、サイクルが短くなれば金 利・償却費の平均金額はさらに増加します。

建替サイクルあたりのコスト対比
 単位:千円/年
内断熱 外断熱
支払金利 (3%)
324
172
空調エネルギー費
174
27
償却費
515
274
合   計
1,013
474


 三項目のコスト要因を比較すれば、100年間に3棟目の建物を建てなければならない内断熱 の方が倍以上の負担があることは想像通りでしょう。
 上の二つの図や表の値を比較すれば、内断熱の建物で寒い思いをしながら空調エネルギーを節 約しても、外断熱の経済性に近づけることができないことが判るでしょう。

 「安物買いの銭失い」という諺は、家を買うときにも図星なのです。



資金需要

 最後に、皆さんが外断熱の建物を手に入れようとするときに頭を痛める理由を確認しましょ う。その理由はコストではなく「資金繰り」にあります。
 つまり、住宅ローンは100年持つ建物でも3〜40年持つ建物でも返済期間は同じ35年で す。どうしてもいくらか割高になる外断熱のRC建築物を取得するとその分返済額が増加しま す。
 北海道や北欧など、空調負荷の大きい亜寒帯地域では空調エネルギー費が少なくなる分だけロ ーン支払負担を補う以上の見返りがあります。本州の大半の地域では空調エネルギー費の減少 が、ほぼローン支払の増加と帳消しにします。

単位:千円/年
 内断熱では法定耐用年数の47年使えたとしても100年間に3棟目のローンが始まる
 年金生活が始まっても住宅ローンと縁が切れない暮らしが続く
単位:千円/年
 ローン支払額は確かに多くなるが、光熱費を加えると総額はほぼ同じ。
 さらにローン返済が終われば孫の代まで65年間は無借金

 このページのコスト・資金計算では解体費・建替中の仮住まい費用・引越費は計算に含んでい ません。

 今、外断熱の暮らしを始めると、定年後年金生活を始めるようになっても住まいで悩むことは なくなります。

 さらに、コストや支払に換算できる要素以外に
  •  夏も冬も空調費を心配すrことなく快適な暮らしが楽しめる。
  •  建物の維持管理の高額な支出に悩まされない。
  •  アレルギー、ヒートショック、肩こり、神経痛など断熱性能の低い家特有の症状から解 放される。
など、多くのメリットを楽しむことができるようになります。

 耐久性に優れた建築物のローンの支払期間を50年程度まで延長するような措置が行われれば、 住宅の省エネをもっと進めることができると期待しています。

 ローン返済中の資金需要比較  単位:千円/年
 
内断熱 外断熱 外断熱
返済期間
35年
35年
50年
元利返済 (3%)
1,126
1,276
1,065
空調エネルギー費
174
27
27
合  計
1,300
1,303
1,092

 ローンを返済するのは建物ライフサイクルの1/2〜3の期間ですから、耐用年数の長い建物
のライフサイクルを通じた資金需要はこの表よりずっと少なくなります。
この表は外断熱の建物のコストが内断熱の建物の13%増として算出しています。
国産乗用車に乗るのとベンツやBMWに乗る費用の差に比べれば僅かな差とは思いませんか?

 内断熱工法が大好きな人たちがここの図や表を見たらきっとこういいます。
 「光熱費は24時間空調するものとして計算している。」
 「でも、内断熱なら使わないときには空調を切るから、こんなに光熱費は使わない。」
 「だから、実際は内断熱の費用ほうが安くなる!」

 でも、「ヒートショックの危険のある家を何度も建て替えるのが好き!」なんて人いるんでし
ょうか?




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