3-4 木造建築物の断熱 (8/12)
木造建築物の断熱
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断熱計画を考える前に 木造建築物の断熱 充填断熱と外張断熱 ・充填断熱−外壁の断熱 ・間仕切壁ー気流止め
面材の透湿性能 ・通気層、気密・防湿層、防風・透湿層 ・床・基礎、天井・屋根の断熱 ・外張断熱−外壁・間仕切り
枠組壁工法 ・働かない断熱材 ・より高い断熱性能を求めて

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付4M邸 WEB見学会
付5RC外断熱工法と
付6間違いだらけの外断熱に

 
床・基礎、天井の断熱
 断熱部位は室内と屋外を仕切る部分です。壁と同様に床下、天井裏には冷たい空気が入って来ますから、床や天井でも気密・防湿、防風・透湿機能を持たせる必要があります。


床の断熱
 床下の断熱では根太の間にネットで繊維系断熱材を止める方法が使われることがあります。断熱材にたるみが起きると断熱材がないのと同じ状態になります。たるみ部分に冷気が侵入して床材下部が冷やされ、結露の原因になります。



 断熱材の厚さに合わせた根太を使い根太底にすのこ状の断熱材受けを取り付けるなど、断熱材が所定の位置に保たれるように施工することで確実な施工が行えます。



 床の断熱は外壁の断熱材と隙間を生じないようにきちんと突きつけ、防湿シートをラップさせるとともに、床下からの冷気流が壁に入らないよう気流止めの措置をします。間仕切壁部分は床の断熱気密処理を先行させた後、壁下地を組み上げます。


床の防湿
 床下の地盤が湿潤だと油化した地表面から大量の水蒸気が蒸発します。
 床下からの水蒸気発生を抑えるため、ビニールシートを敷き押さえ砂または防湿コンクリートを施工するよう指導する事例があります。

 地下水位が低く粘土質地盤のところでは、建物周囲に透水管を埋設して砂利や砂で埋め戻し建物周辺の地盤を乾燥させることで、建物の耐久性を高めることができます。

 さらに、床下の日のあたらない地面は外気が30℃を超す真夏でも20℃程度にしかなりません。このとき、外気の露点温度は25℃以上に上昇するので、冷たいコンクリート面は常に結露した状態になります。
 防湿コンクリートの底、基礎の地中部分(底盤を除く)が地温の影響を受けないように断熱することで、夏の基礎の結露を緩和できます。


 図中の排水管はドレンタイルと呼ばれます。直径150mm以上の穴明き塩ビ管またはコンク
リート製透水管を埋設し周囲15cmを粒径5mm以上の排水の良い砂利で埋め戻し、さらにその
上に10cm以上砂で埋め戻して周辺の水が排水されやすくします。穴明き塩ビ管を使用すると
きは管の廻りを不織布で包み、管の端末は敷地外に開放してください。




天井の断熱
 天井の断熱でももっとも多く使われているのは袋入り断熱材です。小屋裏には夏は日射で高温になった屋根面から暖められた高温の空気がたまり、天井面から大きな空調負荷が掛かります。
 壁に100mmの断熱を行うとすれば、天井(屋根)には150mmの断熱が適当で、この厚さで継目のない安定した性能の断熱をするには繊維系断熱材の吹込み工法が適していると思います。

 天井の防湿シートも床と同様、外壁の防湿層とラップさせ十分な重ねを取ります。あわせて壁内部の空気が小屋裏に廻らないように @ 壁の防湿シートを横臥材まで延ばす。 A 先張り防湿シートで壁と小屋裏の空気を遮断する。 B 壁に横間柱のような横臥材を入れ壁内部の気流を止める。といった措置をします。
 

 間仕切壁と天井の防湿シートも間仕切り壁内部の空気が小屋裏に廻らないように処理します。


 
基礎断熱と屋根断熱

 ここまで、床下と天井面を断熱ラインとする断熱方法についてお話してきました。
 床下と天井裏部分の断熱方法としてはこのほかに「基礎断熱」と「屋根断熱」という断熱方法が
あり、断熱ディテールも単純で、将来リフォームする場合も複雑な変更なしに間取り変更ができる
メリットもあります。

基礎断熱
 基礎断熱はコンクリートの基礎部分を鉄筋コンクリートの外断熱のように外側から断熱する断熱
工法です。
 コンクリートの室内側はRC建築物と同様室内扱いになりますから、間仕切壁の気流止めなど床下
から間仕切への冷気流などを考慮することなく間仕切りを自由に移動することができます。

 さらに、コンクリートの基礎を室内側に取り込むことで建物の熱容量を増やし、室内温度変化の
幅を「床断熱−天井断熱」のときよりも小さく安定させることができます。

 基礎コンクリートの重量は建築面積あたり500kg程度とRC建築物に比べれば僅かなものです
が、それだけで建物全体の熱容量を60%近く増やし、温度変化を30%以上少なくする効果がありま
す。

 ほかの項で「基礎の接地面に断熱材を配置する場合、断熱材の圧縮強度が地盤耐力よりも小さい
と建物の構造の安全に支障がある」と書いた記憶があります。
 樹脂系断熱材の圧縮強度は種類によって次のような数値となります。
EPS 特号 1号 2号 3号 4号
14N/cm2以上
(14t/m2以上)
16N/cm2以上
(16t/m2以上)
12N/cm2以上
(12t/m2以上)
8N/cm2以上
(8t/m2以上)
5N/cm2以上
(5t/m2以上)
XPS 1種a 1種b 2種a 2種b 3種a 3種b
10N/cm2以上
(10t/m2以上)
16N/cm2以上
(16t/m2以上)
10N/cm2以上
(10t/m2以上)
16N/cm2以上
(16t/m2以上)
10N/cm2以上
(10t/m2以上)
20N/cm2以上
(20t/m2以上)

 ほとんどの断熱材が木造住宅程度の荷重に充分耐えますし、コンクリート像の荷重に対して安全
なものもあります。設計地耐力以上の圧縮強度のある断熱材を使うことで、安全に基礎底面を断熱
することができます。


半地下式建物の基礎
 都会では住宅地の細分化が進み、狭い敷地を有効利用しようと地下室・半地下室を持つ建物が増
えています。基礎断熱で建てられる家は床の高さが高いか低いかの違いはありますが半地下式建物
と同じように地熱(地温)の影響を受ける特性があります。

半地下式建物の基礎

 断熱材が使われていないと地中にある基礎の温度は周辺の土の温度に同調します。
 基礎断熱や半地下室の基礎内部の空気は床断熱のときのように外気に開放して換気できないの
で、基礎が室内空気の露点温度以下に冷やされないよう配慮する必要があります。
半地下式建物の基礎と結露

 断熱材を使わないと基礎部分の温度はなかなか20℃以上になることはありません。このような基
礎を内装材で仕上た場合、見えない床下や壁の中で木材にカビが生え、あるいは木材が腐るなど建
物の快適さと耐久性を損ないます。


屋根断熱
 屋根断熱では垂木の間に断熱材を充填します。垂木が断熱ラインになるので小屋裏空間は室内側
に取り込まれます。

天井断熱と屋根断熱

 屋根断熱の注意点は断熱材と野地板の間の通気を確保して、熱せられた屋根面からの熱を効率よ
く排出できるようにすることです。断熱材が通気断面を塞がないように段ボール製の溝型に加工さ
れた部材「屋根断熱通気スペーサー『通気くん』」(株式会社マグ)を使う方法や垂木表面にボー
ドを張って通気断面を確保する方法があります。
 棟には換気(排気)用の金物「棟風(むねかぜ)」(新日軽株式会社)などを使い、庇には吸気
用のガラリを取り付けます。(天井断熱でも同様に小屋裏を換気します)

 天井または屋根の夏の断熱は断熱材と屋根面の間の通気が適切に保たれているときだけ本来の性
能を発揮します。通気されていないと小屋裏(水色の部分)の温度は50℃以上になり、大きな冷房
負荷を与えます。


 換気扇を使う裏ワザ
 切り妻屋根では小屋裏換気を改善するのが簡単で効率もよいのですが換気扇で小屋裏換気を改善
する方法もあります。
 三菱電機の換気排熱ファンは天井付近に溜まった熱気を小屋裏経由で屋外に排出するものです
が、小屋裏上部に外部への排気口がない場合、小屋裏の温度事態を下げる効果は余り期待できませ
ん。

 松下エコシステムズの屋根裏換気システムはダクトにより棟付近の熱気を集め、軒裏から屋外に
排気します。換気風量は約600m3(強)と約400m3(弱)ですが、棟換気に比べると排熱効果
は劣ります。


 小屋裏換気を改善すると夏の暑さは緩和されますが断熱をしっかりしていない場合には冬の寒さ
が増すことになります。また、小屋裏換気の悪い建物は小屋裏で結露が起こりやすい傾向がありま
す。


 屋根断熱と基礎断熱を使った建物は間仕切壁が冷気の通り道になる恐れがないので、在来木造工
法の厄介さの幾つかが解消されます。





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