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働かない断熱材
木造住宅でも断熱材を使いながら断熱材を使わない建物とほとんど断熱性能が変わらない建物が多く見受けられます。
これらの建物では内装壁下地と外装側の構造用合板の熱伝導抵抗だけで熱損失に抵抗するだけですから、断熱材が入っているにも拘わらず、多大な空調エネルギーを必要とします。
これから家を建てる場合、以下にあげたような断熱工事が設計図設計され、または施工されれば「一生の不覚」と後悔することになりかねません。
既にこのような断熱工事がされている場合、断熱改修工事は簡単ではありません。断熱材の使われていない建物を断熱するほうがずっと簡単なことが多いのです。
T. 完全充填されていない壁
充填断熱の断熱材は室内側壁下地に密着して充填され、間柱・土台・梁など充填部分を区画する木材との間に隙間ができないように施工されることが最低限必要です。
断熱材と壁下地が密着していないとその間にある空気が暖められます。暖められて軽くなった空気は断熱材内部を通り抜け、あるいは断熱材と木材の隙間から屋外側に逃げ出します。
暖かい空気が出て行った後には床下や外部から冷たい空気が入ってくるため、内装下地と断熱材の間の空洞の温度は極端に低温になります。
このような現象は、胴縁のある壁に「袋入り断熱材」と呼ばれる断熱材を使う場合によく見られます。
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また、10kg品、15kg品と呼ばれる自立しない断熱材は結露水を含んだり、雨漏りにあったりすると壁の中で下に「ずれ」て、上側に大きな隙間ができます。
※10kg品、15kg品の断熱材は断熱性能も劣ります。
断熱材と充填区画の外周に隙間がある場合、隙間が5%ほどで断熱性能は約半分に、10%では2割以下まで低下すると言われています。
U. 床下−根太−外壁の隙間から冷気が昇り小屋裏に抜ける
枠組壁工法(2×4工法)では在来工法の土台に相当する床パネルの外周枠と根太とは同じ面で納まり、床下地の構造用合板を上に貼って、床下と外壁の空洞をそれぞれ独立したものにしています。
在来工法では土台と根太の上端に段差があり、その隙間で床下と外壁の空洞が繋がっています。
繊維系断熱材は通気性がおおきいので、断熱材室内側の暖められた空気は、同様に隙間のある小屋裏に向かって上昇し、床下から冷たい空気が上昇してきます。
熱損失計算では壁の中の空気の対流による熱損失量の増加は考慮されていないので、この急が大きいほど計算外の熱損失が増加することになります。
床下−外壁、外壁−小屋裏の間の空気の流れを止めるためにポリエチレンシートや樹脂系断熱材で外壁−床下・小屋裏の間の気流を完全にシールする必要があります。
気流止めは外壁だけでなく、間仕切壁にも同様にここなう必要があります。
T、U.でみてきたような欠陥は主に繊維系断熱材を使う充填断熱工法に見られるものです。「いい家が欲しい」に見られるような外張断熱工法の提案は繊維系断熱材を使った充填断熱工法に内在する結露の危険や対流・気流問題へのひとつの代案と見ることもできます。
しかし、厚さ30mm程度の樹脂系断熱材を使った外張断熱工法が充分な断熱性能を備えたものでしょうか?
最後に外張り断熱工法と充填断熱工法の断熱材性能を比較してみることにします。
V. 断熱性能の比較 (薄すぎる断熱材)
熱貫流抵抗値の比較
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充填・外張
の別
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断熱材の種類 |
断熱材の厚さ |
熱貫流抵抗
(計算値) |
熱貫流抵抗
(実効値) |
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外張 |
ポリスチレンフォーム(押出) |
30mm
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0.75
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外張 |
ネオマフォーム |
30mm
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1.43
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充填 |
グラスウール(10kg) |
50mm
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0.78
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0.40
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充填 |
高性能グラスウール(32kg) |
100mm
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1.92
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充填 |
セルロースファイバー(吹込) |
100mm
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1.79
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※ 断熱材の熱抵抗のみを考慮。
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※ 充填断熱工法では壁面積の20%を断熱材から木材に置き換えている。
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※ 10kg−50mmのグラスウールはT、Uを考慮して実効値を計算値の1/2とした。
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押出法ポリスチレンフォームを使った外張断熱工法は完璧に施工された50mmのグラスウール充填断熱と同程度の断熱性能しかありません。熱貫流抵抗値の差は空調エネルギーコストに反映するので、施工のしやすさを考えたうえで熱貫流抵抗が概ね1.5以上になる適切な断熱材を選択しましょう。
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