3-4-1 木造建築物の断熱 (1/10)
木造建築物の断熱
断熱計画を考える前に 木造建築物の断熱 充填断熱と外張断熱 充填断熱−外壁の断熱 ・間仕切壁ー気流止め
面材の透湿性能 ・通気層、気密・防湿層、防風・透湿層 ・床・基礎、天井・屋根の断熱 ・外張断熱−外壁・間仕切り
枠組壁工法 ・働かない断熱材 ・より高い断熱性能を求めて

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在来木造住宅の断熱
 在来木造住宅では、壁の厚さにも和室で使われる真壁と洋室で使われる大壁があり、断熱材を充填できるスペースの大きさが違っています。
 枠組壁工法ならば和室の内装は和室の内装は鉄筋コンクリートのマンションと同じように柱の形をした内装材を使用するだけで使用できる断熱材の厚さはまったく変わりません。

 「在来木造住宅」の壁の裏側には胴縁や筋交いが隠されていて、壁の内部が直方体になっている「枠組壁構造」と比べれば断熱の仕方がはるかに難しいものになっています。

 断熱効率、ほとんどの建物が集成材など新建材を使っていること、将来のリフォームの対応のしやすさなどを考えても、「枠組壁工法を使うほうがはるかに合理的ではないか」と思えるのですが、国内産材の消費促進や既存の中小工務店の保護などの点から在来木造住宅の建設を極端に減らす分けには行かない事情もあるのでしょう。

 在来木造住宅を建てること自体問題ではありませんが、断熱のしにくさを理解して快適な暮らしができるように充分な対策をとらなければ、低い断熱性能と大きなエネルギー需要の建物が出来上がり、様々な問題に直面することになります。


断熱区画
 在来木造住宅の断熱区画は通常1階床下・外壁・2階天井になります。
 床下を断熱区画にする代わりに「床下空間を室内側に取り込み基礎外側を断熱区画とする方法」、天井を断熱区画にする代わりに「小屋裏を室内側に屋根を断熱区画にする方法」があり、建物内部に駐車場など外部扱いする部分があるときは間仕切壁や1階天井が断熱区画になることもあります。
 断熱区画は熱的に屋外と室内を区切るもので、建物の断熱区画を総称して「断熱ライン」と呼びます。

 断熱区画は将来リフォームの際も変更しにくい部分ですから、断熱ラインをどこにするかよく検討する必要があります。

断熱ライン−断熱区画をどこに置くか


冬の断熱と夏の断熱
 これまで多くの断熱に対する解説がされています。そこでは特に断りはありませんが、冬の断熱、つまり暖房することを前提にした解説ばかりされています。

 気密層が断熱材の室内側に、通気層が断熱材の外側に必要な理由は、暖房中室内が高温多湿で室内が低温少湿になるからです。冷房をほとんど必要としない西欧や北欧、冷房することがあっても空気の乾燥している地方では暖房中の問題だけを考えるだけで充分ですが、日本のように夏の外気が高温多湿で、外気の露点温度より室内の冷房設定温度が低くなる可能性のある地域では夏の断熱の問題も考えておく必要があります。

 とは言え、夏と冬の温度差・水蒸気圧の差を比べると冬の断熱の方が大きな問題を抱えていることは間違いありませんから、最後に補足として夏の断熱が抱えている問題点とその対策をお話します。


輻射熱を篭らせない
 夏の空調負荷の最大のものは日射による温度上昇です。屋根面の瓦やコロニアルの表面温度は60〜70℃と割った卵を置けば目玉焼きができるほどの温度になっています。
 室温30℃、外気温度35℃としても室温と屋根面の温度差は室温と外気温度の6〜8倍になります。この熱が室内に伝わりやすい家は熱の篭る不快な家になります。
 天井断熱の場合は小屋裏の、屋根断熱の場合は断熱材と野地板の間に空気を循環させ屋根表面の熱が室内に伝わりにくくする必要があります。

 小屋裏などに給気口と排気口を設け、外気が給気口から排気口に循環するような構造にすること、給気口と排気口の有効面積は屋根の水平投影面積のおよそ600分の1を目安とします。

 小屋裏の換気についてよく次のような質問を受けます。「夏に小屋裏を換気すれば涼しくなるのは判るけど、その分冬が寒くなるのでは?」
 確かにその傾向があります。断熱が悪く小屋裏の換気も良くない建物では室内から小屋裏に大きな熱が漏れるため余り温度が下がらず結露も起きないことがあります。しかし、きちんと断熱して室内から小屋裏に移動する熱を減らすと小屋裏の温度が下がり結露が起きやすくなります。
 冬に換気を抑えて熱損失を減らそうと考えることは結露のリスクを増加させることになりますから、絶対に止めてください。

 窓から室内に日射がある場合も、室内温度を上昇させます。
 室内にカーテンをかけても窓ガラスの内側に入った日射はカーテンにあたって熱に変わりますから遮熱の効果はありません。窓の外側に庇・ルーバー・雨戸などを配置して日射を取り込まない工夫が必要です。


夏型結露を防ぐ
 冷房中の夏の室内の水蒸気量は外気の水蒸気量より少なくなっています。外気の露点温度が室温よりも低ければ壁全体に逆転結露が起きる心配はあありませんが、建物の建つ場所によって外気条件が異なっています。
 新潟以西の日本海沿岸、銚子以西の太平洋沿岸などでは気象データに基づいた検討が必要です。

 更に、断熱されていない土間や基礎と木材が接する部分では基礎コンクリートの温度が土の温度に近接するので局部的に結露が起きる恐れがあります。
 夏型結露を防ぐには吸放湿性のある断熱材を使う、相対湿度によって透湿抵抗が変化する「エクセレントベーパーリターダー」を使う、透湿抵抗値の大き目の断熱材を使うなどいくつかの方法があります。