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家を建てよう、マンションを買おうと思ったとき「いくらローンを借りられるか?」が所得でき
る家を制約することになります。
年収に応じたローン返済額が年間収入に占める割合は金融機関によって多少の違いがあるとして
も、概ね次のような比率を目標にしています。
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年間収入(税込み額)
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返済額の割合の最大値
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250万円未満
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25%以内
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400万円未満
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30%以内
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400万円以上
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35%以内
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600万円以上
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40%以内
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上の表のローン返済割合を元に住宅ローン金利と借入期間をそれぞれ1、2、3%、および10
年、20年、30年、35年について借入可能な金額を計算すると下のようなグラフを描くことが
できます。
返済額の割合が変わる年収250万円、400万円、600万円を境に借入金額が急激に増加す
ることが良く判ります。言い方を変えれば、年収400万円、600万円を超えると借入可能金額
が増え、資金を借りやすくなるということです。また、返済期間が長期になるほど借入可能額は金
利の影響を大きく受けるようになり、借入期間10年では金利が違っても借入可能額はほとんど違い
ませんが借入期間が35年になると借入可能額に大きな差が生まれます。
日本の住宅資金融資制度は長い間住宅金融公庫の融資制度を基本にこのような形が作られてきま
した。住宅の担保価値よりも借入者の返済能力に対して資金を貸し付ける制度だったのです。

返済能力に対して貸し付ける融資制度では、住宅資金の借入可能額は年間収入からほぼ自動的に
決まります。どんな評価を受ける建物を建てるかによって融資額が変わることはありません。
こういう融資制度の下では「総額をいくらに抑えれば借入可能額を目一杯借りられるか?」だけ
が検討の対象になり、「総額を押さえできるだけ大きい家を建てる」購入行動を奨めることになり
ます。
冷静に考えれば良く判ることですが、こういう発想で家造りをすると次のような落とし穴に嵌り
ます。
@ 無理にコストを抑えた家は耐久性を欠き、数十年でスクラップされる。
A コストをおさえた家は空調費や修繕費などランニングコストが余分に掛かる。
初めにコストを削減したために余分なランニングコストが掛かり、耐久年数も短く、30年程度で
建て替え時期を迎える家と50年 100年と使い続けられる家のどちらが合理的かは、この章の前後を
お読みいただければ判る筈です。
現在及び将来の建物の処分可能額を担保に融資するモ−ゲージローンによって住宅資金を調達す
る習慣がある欧米では、融資制度の趣旨からも将来も不動産価値が長続きする建物でなければ建物
は融資手続きの中で有利な扱いを受けることができません。
住宅金融公庫を初め、返済能力査定に偏って融資を続けてきた日本の融資制度と、借入限度額と
自己資金の合計額の範囲で「安いこと」と「適度な広さを持つこと」を求めてきた消費行動が日本
に独特な短命な家を造ってきたのではないでしょうか?
年収が6,400,000円の人が年利3%で 52,000,000円を借り入れてコストを抑えた家を建てた場合
と、借入額を3,000,000円増やして 55,000,000円を借り入れたときのことを比べてみましょう。
借入額の差額は建物の断熱性能を高めるために使うものとします。借り入れた資金は建物のほか
土地の取得や外構工事を含んでいるものと考えているので、すべてが建物代金に充てられるわけで
はありません。
5200万円と5500万円の借入に対する35年間の年間返済額はそれぞれ約240万円と253万円になり前
者が月に1万円あまり少なくなります。
しかし、建物のQ値を前者で5.0W/m2・K、後者で1.5W/m2・K、床面積を120m2、建設地を東京周
辺とすると年間の空調に要するエネルギーは前者が約30,000KWH、後者が約9.000KWHと21,000KWHも
違ってきます。空調にエアコンを使うとすれば、消費電力量の差は5,250KWH。電気料金にして116.
000円、住宅ローンの返済額の違いはほとんど帳消しになります。
「外断熱工法の家は連続空調していないと建物が冷えたら寒くて仕方がないが、内断熱工法の家
は間歇空調できるので空調費が節約できるから、連続空調するほど空調費が掛からない」と言われ
そうですが、間歇空調で温度の下がった部屋に空調を入れても部屋の温度がすぐに戻るわけではあ
りません。短時間で空気を暖めることはできても、外断熱工法の建物と同じように床の温度はなか
なか上がりません。床暖房をつける家が多いのは一旦冷えた床を暖めるには直接床に熱を与える以
外に適当な方法がないからです。
さて、床暖房をした床ではコンクリートの温度が26〜28℃と普通に暖房した床に比べて遥かに温
度が高くなります。間歇空調の床温度はおそらく18℃未満ですから床と外部の温度差は床断熱の場
合で60%ほど、基礎断熱の場合には5〜6倍に大きくなります。ある部分で温度差が増えることは
それだけ熱損失を増やすことを意味します。
床の温度を必要以上に高くしなければ熱を供給できない床暖房は余程床の断熱性能を高めておか
ない限り、エアコンで連続空調するより多くのエネルギーを必要とします。
床暖房まで装備すれば外断熱建築物と内断熱建築物の毎年の空調費の差額は間違いなく外断熱建
築物を造るための追加的費用に対するローン返済額を超えてしまいます。つまりローン支払額と空
調費の合計で内断熱建築物の負担が大きくなります。そのくせ、建物の資産価値は外断熱建築物の
方が大きくなるのです。
将来エネルギーコストが上昇すれば、内断熱建築物を作ったことによる経済的負担はますます大
きくなってしまいます。
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