2-2-1/2 住まいと健康 (1/2)
高断熱・外断熱のライフスタイル

住まいと健康 ・ 結露・カビ・ダニを防ぐには(低断熱VS高断熱)


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付録
付1断熱用語辞典
付2断熱材性能比較リスト
付3住まいと断熱の掲示板
付4M邸WEB見学会
温度と健康

 右の図は1947年以来の月別死亡 者割合の年平均値、赤い表示は生 データ、紺色は30日あたり死亡者 数に補正したデータです。

 人の生死と気温の変動は深いか かわりをもっています。年末から 年始にかけて、訃報を耳にするこ とが少なくありませんが、死亡者 率が6月・9月(気温24℃前後) を最小として温度の目盛を逆転さ せたような相関を示します。
 改めてびっくりしました。

 死亡者数が最も少ないのは9 月、次いで6月、7・8月はやや 多くなりますが、5月、10月に 比べると増加の幅は僅かです。

 人間という生き物、夏の暑さよ り冬の寒さに弱いようです。

 私たちが一日の大半を暮らすの は屋外ではなく屋内です。住まい の環境を暮らしやすく変えれば、 月別死亡者数のカーブはもっとな だらかなカーブに変わるのでしょ う。

 東京の気温が日本全体を代表す るとは言えませんが、月別死亡率 が最低となる6月の平均気温(2 2℃前後)が人間にとって最も適 した温度環境なのでしょう。

 人間を含む動物は口から摂取し た栄養素を筋肉や内臓の細胞内部 で燃焼させて生命を維持していま す。

 周囲の気温が低すぎると体温を 維持できず、気温が高すぎると細 胞内部で発生した熱を周りの空気 に逃がすことができなくなりま す。

 人間も広い意味で空冷式内燃機 関と考えることができます



住まいと健康

 楽しみにしていた新居での生活。体調の変調で思わぬ暮らしに向き合うことになる方がいらっし ゃいます。

 転居してすぐに変調が現われる方ばかりでなく歳をとって体が衰えたり、子供や孫が生まれて異 変に気付くこともあります。

 化学物質過敏症など一部の疾患を除いて、多くの方は「住まいが原因の疾患である」と認識され ていないかもしれません。

 また、「住まいが健康を蝕む」と言っても、「自分には関係ない」と考えられているかもしれま せん。
 今「自分や家族は健康だ」と自信を持っている方も多いでしょう。

 住まいが原因になる疾患には、抵抗力の少ない老人や子供に症状があらわれるもの、花粉症や化 学物質過敏症のように一定量の刺激を受けた後で発症するものなど現われ方も様々です。

 子供や孫が生まれたらアレルギー性の喘息や肺炎が現われた。

 ガンに罹った。
 幸い早期に発見でき手術も成功して順調に回復していたが、自宅療養中に原因不明の重症肺炎に 罹り亡くなった。制癌剤を飲んでいる人にこういうケースが多いようです。

 このような例にカビアレルギーやカビ毒が関係しているのではないかと疑われています。
 健康な人には何でもない弱い毒性でも、免疫力が弱まった人には致命的な疾患の原因になるので す。

 適切でない気温や湿度が直接原因になる疾患、カビやバクテリア、ダニなどの微生物や有害な昆 虫が原因になる疾患、その他住まいと健康のかかわりについて考えてみましょう。


カビやダニが原因の疾患

 「結露の起きにくい高断熱の住まいを造れば、カビやダニの心配はない」そんな極端なことは言 えませんが、外断熱工法で断熱改修した建物で室内の浮遊胞子数が激減することは、お茶の水女子 大学・生活科学部・田中辰明教授が行われた調査でも実証されています。
健康被害
の分類
病名
関係する真菌等
発症部位
症状
アレルゲ

によるも
 アレルギー性喘息 ダニの死骸
カビの胞子など
気管・気管
 呼吸困難
 アトピー性皮膚炎 ホコリ、ダニ、カ
ビ、花粉、衣服、
洗剤、食物など
顔、首、肘
や膝のくぼ
み、全身の
皮膚
 激しいかゆみを伴う発疹 が、ひどくなると全身に広 がる。遺伝的なアトピー体 質が関係する。
 アレルギー性鼻炎 ホコリ、ダニ、カ
ビ、花粉など
鼻、咽喉を含
む全身
 発作性のくしゃみ、水性 鼻漏、鼻詰り、流涙、目の かゆみなどの眼症状、口 蓋・咽頭のかゆみ、咳、消 化管障害、頭痛、倦怠感、 顔面・全身の熱感、その他 皮膚症状などを合併するも ののうち、一般の感冒、そ の他感染症を除くもの。
 一年を通じて症状がある もの、季節性なものがあ る。
 夏型過敏性肺炎 カビ  日本特有のアレルギー性 の病気。
 軽いせき、たん、微熱か ら始まって徐々に激しくな り息切れが加わります。
 真菌症    頭部白癬(シラク
モ)
トリコフィートン
ビオラセウム
頭毛部  炎症、汁が出たり、落屑 斑(ラクセツハン)がで き、患部の毛は折れてバラ バラになる。
 生毛部白癬(タム シ) トリコフィートン
メンタグルフィテ
全身、
皮膚の角層
 円形または弓状の病巣、 足の裏に小水疱ができる。 周囲に拡大するにつれて中 心部が治る。
 汗疱状白癬(水虫) トリコフィートン
ルブラム
メンタグルフィス
足の指の
間、足の
裏、手のひ
らの皮膚
 足の指の間や足の裏の皮 膚がやわらかになり、小さ な水泡ができ鱗屑(リンセ ツ)になる。強いかゆみが ある。
 爪白癬 トリコフィートン
ルブラム
手足の爪  爪の表面にデコボコ、白 斑、白条ができ、爪肥厚、 爪崩壊をおこす。
 カンジダ症 カンジダ
アルビカンス
その他のカンジダ
肺、呼吸
器、皮膚、
粘膜、爪、
角膜
 表在性・深在性カンジダ 症、内股やおしりのしわ、 手足の指の間、乳房下、膣 上膣炎。
 ムコール症 ケカビ
クモノスカビ
肺、胃の組
 脳、精髄などの中枢神経 及び肺、消化管などを侵 す。
 アスペルギルス症 アスペルギルス
フュミガタス
その他のアスペル
ギルス
肺の組織、
鼻洞
 気管支肺炎または肺膿症 の症状、慢性では気管支ま たは肺に球菌を形成する。 肺アスペルギルス症、外耳 道アスペルギルス症。
 クリプトコッカス症 クリプトコッカス
ネオフォルマンス
肺の組織  皮膚結核様病巣が首にで きる。ハトのフンに多い。
 コクシジオイデス症 コクシオイデス
イミディス
気管、肺、
内臓諸器官
 インフルエンザ類似症 状、中枢神経が侵され体重 減少、関節の痛み、脳脊髄 膜炎
 ヒストプラズマ症 ヒトプラズマー 口腔、喉
頭、リンパ
 口の中やのどの潰瘍、貧 血になる。この菌はコウモ リや鳥のフン、土壌に存在 する。
 角膜真菌症 アスペルギルス
フザリウム
ペニシリウム
サファエロスペル
目の角膜  目の角膜の外傷後に発 生、潰瘍性である。ステロ イド剤、抗生物質の局所使 用後におこる。

 真菌症に関して千葉大学真菌医学研究センターのホームページ http://www.pf.chiba-u.ac.jp / に詳しい記載があります。



建材などに含まれる化学物質が原因の疾患

 化学物質過敏症、日本では「シックハウス症候群」の名前で知られています。

 欧米では
初期のインテリジェントビルで
空調負荷の低減を図るため換気回数を減らしたところ
シックビルディング症候群が発生しました。

 シックハウス症候群という呼び名は
シックビルディング症候群(シンドローム)に
命名の由来があります。

 化学物質過敏症の原因物質は、建材や家具などに含まれる化学物質、
合板に含まれるホルムアルデヒドや塗料に含まれるVOCが代表的なものです。

 新建材を使った新築住宅で被害が多く発生したため
[新築病]との別名が付けられたこともあります。


 欧米では、日本ほど住宅の化学物質過敏症が騒がれたことはありません。
換気不足なうえに、新建材を多用してきた日本では、
夏に室内が高温になる内断熱RC建築物や低断熱建築物を中心に、
高温になった室内で大量の化学物質が蒸発して
化学物質過敏症を多発させています。
 冬は結露を起こさせる「場所や時間によって温度が大きく変化する住まい」は
暑い時期には化学物質過敏症を招きやすいのです。


 化学物質過敏症の原因になる主な化学物質は次のとおりです。
 殺虫剤・灯油など生活資材の中にも健康被害の原因物質があることに注意が必要です。

化 合 物 質 名
室内濃度指針値※
主 な 発 生 源
ホルムアルデヒド
100μg/m3(0.08ppm)
合板、壁紙用接着剤、家具
トルエン
260μg/m3(0.07ppm)
塗料、施工用接着剤
キシレン
870μg/m3(0.20ppm)
塗料、施工用接着剤
パラジクロロベンゼン
240μg/m3(0.04ppm)
衣類防虫剤、トイレ芳香剤
エチルベンゼン
3800μg/m3(0.88ppm)
接着剤、塗料
スチレン
220μg/m3(0.05ppm)
断熱材、浴室ユニット、畳心材
クロルピリホス
1μg/m3(0.07ppb)
防蟻剤防虫剤
フタル酸-n-ブチル
220μg/m3(0.02ppm)
塗料、顔料、接着剤防腐剤
テトラデカン
330μg/m3(0.04ppm)
灯油、塗料溶剤、防腐剤
フタル酸ジ-2-エチルヘキシル
120μg/m3 (7.6ppb)
壁紙、床剤、各種フィルム
ダイアジノン
0.29μg/m3(0.02ppb)
殺虫剤
アセトアルデヒド
48μg/m3(0.03ppm)
接着剤、防腐剤
フェノカルブ
33μg/m3 (3.8ppb)
防蟻剤、害虫駆除薬
総揮発性有機化合物(TVOC)
暫定目標値  400μg/m3 

 従来、[環境派」団体は「これらの物質を含む素材を使わないこと」を唯一の「シックハウス対 策」と考え「自然素材を使うこと」、「炭・珪藻土など吸着物質を使用すること」に注目する傾向 がありました。

 しかし、内断熱されたコンクリート躯体の温度は急激に上昇し60℃以上にもなり、
空調を切った部屋では薄い断熱材を含めて内装材までが高温に暖められます。
 つまり、内断熱の外壁の内側はベークアウトと同様な状態になり易いのです。

 外断熱では躯体温度の変化が緩やかで、
かつ経済的に連続空調ができますから、
室内化学物質濃度の上昇を防ぎます。

 「発散量に応じた換気をおこなうこと」と、
一部の素材では「発散防止対策を施すこと」も
化学物質濃度を下げる対策になります。


 カナダのR-2000プログラムは、室内空気品質の確保のための基準として、

  ・ 合成繊維のカーペットを減らし、天然繊維のカーペットを使うこと。
  ・ ビニール製シート床の使用禁止(ビニールタイルは使用可)。
  ・ エコロゴに認められた塗料と木製床仕上材の使用。
  ・ 水性・低毒性床材接着剤の使用。
  ・ 脱化学物質の国際基準に合格するキッチンキャビネットと洗面化粧台
  ・ 国際基準に合致する下地処理をしたパーティクルボードの使用
  ・ ラドンほかの地盤ガスの侵入を防ぐ床下の減圧システム
  ・ 室内湿度調整オプション
  ・ エアフィルターオプション

を挙げています。


低温や乾燥が原因の疾患

 (この項の文章は大阪の医師Philさん(仮名)に書いていただいたものを一部訂正しまし た)

 インフルエンザウィルスは低温を好み、
最低気温が5℃を下回ると患者が急増すると言われています。
 インフルエンザウィルスは湿度の高い環境に弱く、
ある研究によると21℃の室内で湿度65%の状態を16時間保てば、
99%ウィルスの増殖力や感染力を奪うことができるということです。

 インフルエンザ以外の一般の風邪ウィルス(夏風邪を起こすウィルスを除く)も、
低温乾燥状態を好むものが多く、
うがいが奨励されるのも咽喉粘膜の乾燥防止に主眼があります。


 低温乾燥が、身体に直接与える影響としては、乾燥肌があります。
 皮膚が乾燥するとアトピーが悪化します。

 鼻やのどの粘膜が乾燥すると、細菌・ウィルスに対する防御能が落ち、感染しやすくなります。
 低温乾燥状態では風邪ウィルスが活発になるうえに、
鼻・のどの異物遮断の能力が落ちるから、当然風邪を引きやすくなる訳です。


 外部の気温が下がって身体の表面が冷やされると、
甲状腺ホルモンやアドレナリンが普段より多く分泌されて心拍数が増え、
身体の代謝を活発にして熱を産生しようとします。
 皮膚表面の血管を収縮させたり、鳥肌を立たせたりして、
熱の発散を抑制します。
 これらはすべて、体温調節機能のために、交感神経が緊張して起こる現象です。

 ヒートショックと呼ばれる脳血管疾患も
心拍数が増え体全体で熱を産生しようとするときに起きる症状です。
 寒さに対抗するため急に大きくなる血流が、心臓に近い太い血管の壁から剥がした 大きな血栓を、脳の細い血管に達して詰まらせ命に関わる症状になります。


 交感神経は消化管の機能を抑制します。すなわち、胃や腸の働きを鈍くするのです。
 「おなかを冷やすとおなかを壊す」と昔からよく言われます。
腹部表面が冷やされる事により、胃や腸に行く血の流れが悪くなるせいもあると思います。
 しかし、寒さで交感神経が緊張し、
それを元に戻そうとして、副交感神経が後から緊張して・・・
と言った自律神経の乱れが最大の原因になっている思われます。


 寒い時期に筋肉のコワバリや関節の痛みを訴える高齢者の方
多いのではないでしょうか? 

 身体の表面が冷やされて交感神経が優位な状態となると
血管が収縮して血流が悪くなり、
局所の新陳代謝が衰えるからでしょう。

 冬に関節痛が悪化するのは、
血流が悪くなってなかなか「痛みの物質」が流れ出ていかないから・・・
などと言います。

 東京ガスのホームページの中に、お風呂とヒートショックの問題をまとめた「温度のバリアフリ ーとは?」をというページがあります。ご覧になってください。


高温や湿潤が原因の疾患

夏に多い感染症
 夏風邪を引き起こすウィルスは高温多湿を好みます。
つまり、夏風邪と冬の通常の風邪は、違うウィルスによって引き起こされているのです。
 この事実は意外と知られていません。

 夏風邪の代表的なもの・・・子どもが罹りやすい「ヘルパンギーナ」や「手足口病」は、主にエ ンテロウィルスに属するコクサッキーウィルスによって、引き起こされます。
 主な症状は、ヘルパンギーナは、発熱・嘔吐・口内痛・口腔粘膜にできる小さい水疱や潰瘍。手 足口病は、嘔吐・口内痛・口腔粘膜や手足にできる水疱や潰瘍です。

 それ以外の夏風邪としては、「咽頭結膜熱」いわゆる「プール熱」が有名です。プール熱は、夏 場プールを介して感染することが多い夏風邪です。ということは、室内環境とは関係ないことにな りますが、プールを介さない場合もあります。医学用語では、咽頭結膜熱といい、アデノウィルス によって、引き起こされ、高熱・咽頭痛・結膜炎等が、主症状です。

高温や日射による疾患
 熱射病 日射病など

発汗と水分補給の不足による疾患
 発汗・脱水により血液の粘りが増し、血圧上昇・血栓症などを引き起こす。
 体温が上昇すると血しょう板が偽足を出し血栓を作りやすい性質に変わる。

 バイオウェザーサービスのホームページ http://www.bioweather.net/ の「各予報について」
に気象と健康の解説があります。



健康な住まいの造り方
 結露やカビダニのない家にするために注意すべきことについて、次のページにまとめています。
 ここでは、高温や低温による疾患を防ぐための考え方を簡単に説明します。
 低温によるヒートショックの多くが風呂場やトイレで発症することはよく知られています。低温 や構温が原因の疾患を防ぐには家から極端な低温部分・高温部分をなくす必要があります。
 建物全体の断熱性能を高め経済的に全室暖房ができるようにすれば、暑さ寒さが原因の疾患を減 らすことはそう難しいことではありません。現に、北海道・北東北では建物の断熱化によってコー ルドショックの減少が見られます。

 さらに、次のページに示した結露やカビのない家造りを進めることによって、より温度の安定し た健康な住まいにすることができます。

2月の最低気温と都道府県別脳血管障害による死亡率
 屋外の温度が低いほどヒートショックによる死亡率が高いことは、住まいの不健全さ、命を犠牲 にした家造りがされていることを示しています。
 東北・北海道では寒いところほどヒートショックの発生率が低く、良い断熱が自然条件を克服す る手段になることを示しているようです。




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