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ここまで外断熱工法のRC建築物を中心に断熱性能の高い住まいを造るとどんな
メリットがあるかをお話してきました。
たくさんのことを書きましたが、ここで説明してきたことは多くのメリットのほ
んの一部に過ぎません。
ここまで、「空調期間中の空調エネルギーはQ値に比例する」という前提でお話
を進めてきました。
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しかし、実際の空調機の運転の仕方は違った形になります。室内では空調機以外にも照明器具や家電製品などからの発熱があり、冷房に必要なエネルギーには室内発熱が加わり、暖房に必要なエネルギーからは控除されることが一つの原因で、もう一つの原因は建物の熱容量が大きいほど冷房や暖房の開始時期が遅くなることです。
「空調期間中の空調エネルギーはQ値に比例する」は内部発熱がなく、建物が熱容量をもたない場合の特殊なケースを想定しています。
一般的な内断熱工法の建物と私が望ましいと考える外断熱工法の建物を例にとり、暖房と冷房の設定温度によって空調負荷がどれだけになるかを次の表で比較してみます。外部環境条件は2005年の東京の観測データを使いました。
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暖房負荷 |
冷房負荷 |
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設定温度 |
外断熱工法 |
内断熱工法 |
外/内 |
設定温度 |
外断熱工法 |
内断熱工法 |
外/内 |
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19℃
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4,075KWH
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18,728KWH
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0.22
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25℃
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2,282KWH
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4,640KWH
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0.49
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20℃
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4,785KWH
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21,476KWH
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0.22
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26℃
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1,745KWH
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3,387KWH
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0.52
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21℃
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5,569KWH
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24,427KWH
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0.23
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27℃
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1,251KWH
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2,303KWH
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0.54
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22℃
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6,451KWH
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27,572KWH
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0.23
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28℃
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822KWH
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1,442KWH
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0.57
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23℃
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7,382KWH
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30,858KWH
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0.24
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29℃
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468KWH
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795KWH
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0.59
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よく、「断熱は暖房には効果があるが、冷房にはあまり効果がない」と言われるようにこの表でも外断熱工法の暖房負荷は内断熱工法の1/4以下になりますが、冷房負荷はせいぜい1/2にしかなっていません。
断熱を良くした結果は暖房では3/4、冷房では1/2のエネルギーを削減すると考えてよいのでしょうか?
ここで「室内温度差が大きくなる理由」でお話したことを思い出してください。
同じ20℃で暖房していても外断熱工法の床の温度は19.5℃以上ありますが、内断熱工法の床の温度は17.5℃くらいしかありません。人の体感温度は2℃程度違って感じています。
同じように冷房でも足元は冷えるのに体からは汗を流すようなことが起こります。
体感温度が等しくなるように空調するには外断熱工法の建物では暖房では2℃、冷房でも1℃くらい弱く空調してもいいと考えるとさらに暖房では25%、冷房では30〜40%の空調エネルギーをへらすことができ、内断熱工法に比べて暖房では16%程度、冷房でも40%ほどのエネルギーで快適な暮らしができることになります。
安い深夜電力を使って蓄熱体を暖め、昼間放熱させて暖房する「蓄熱暖房機」というものがあります。
ある方から伺った話ですが、建物の断熱性能が不足していて早い時間に放熱してしまい、昼間も通電している状態が続くということでした。電力会社と時間帯別料金制度で契約したため、一般電灯料金で契約するより電気料金が嵩んで困ると嘆いていらっしゃいました。
空調に使うエネルギーには都市ガス、LPG、灯油、一般電灯、深夜電力、第二深夜電力など様々なものがあります。
ヒートポンプ型熱源の効率(COP)が改善されているため、深夜電力を使った蓄熱型機器のランニングコストはほかのエネルギーに比べて割安ですが、機器の価格が比較的高いこと、蓄熱装置が大きくなると設置場所の確保が難しいことなどがネックになります。
使うエネルギー別の発熱量1KWHあたりの価格はおよそ次のようなものです。
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エネルギー種別 |
効率
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購入単価 |
エネルギー単価 |
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都市ガス |
給湯器 |
80%
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165円/m3
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16.12円/KWH
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エコジョーズ |
95%
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13.27円/KWH
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LPG |
80%
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600円/m3
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26.88円/KWH
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灯油 |
80%
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70.0円/l
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9.13円/KWH
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一般電灯 |
電熱 |
100%
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22.0円/KWH
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22.00円/KWH
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ヒートポンプ |
400%
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5.50円/KWH
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深夜電力 |
電熱 |
100%
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8.8円/KWH
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8.80円/KWH
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ヒートポンプ |
400%
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2.20円/KWH
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第二深夜電力 |
電熱 |
100%
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6.6円/KWH
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6.60円/KWH
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ヒートポンプ |
400%
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1.65円/KWH
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誰でも単価の安いエネルギーを使いたいと思うのが人情ですが、深夜電力など安いエネルギーを使うには大きな蓄熱装置を必要とするうえ、温水を使った暖房は放熱器の設置工事費が嵩むという問題があります。
空調負荷が小さくなるほど蓄熱が必要なエネルギーが少なくなり、設備に掛かるコストも機器の設置場所も小さくなる訳です。
例えば、内断熱工法の建物を21℃で暖房するとき一日に必要とする最大の空調エネルギーは243KWHでしたが、外断熱工法の建物を19℃で暖房するときの一日に消費するエネルギーは58KWHと約1/4でした。
1月の平均気温を基準に考えると一日平均必要なエネルギーは204KWHと46KWHになります。
利用可能な湯の最低温度を内断熱工法では30℃、外断熱工法では24℃とし、蓄熱槽の最高温度を90℃とすると暖房用の蓄熱槽の容量の最大値はは内断熱工法では3500リットル、外断熱工法では760リットルになり、平均気温を基準に考えると2900リットルと600リットルになります。
深夜電力を使う暖房用熱交換器付きのヒートポンプ式給湯器の蓄熱槽の容量は560リットルですから、外断熱の建物の暖房の大半を賄うことができます。内断熱の建物では1/5を賄うことしかできません。
さらに、外断熱工法の建物では構造体を蓄熱体として使うことができますから、夜間深夜電力を使って建物に蓄熱して昼間は空調しないという究極のエネルギー費節約方法があります。
エネルギーの使用量が1/4になり、エネルギー単価が30〜40%になれば、快適さを損なうことなく空調費を90%以上減らすことができるわけです。
ここまでの対策で空調エネルギーをほぼ90%削減することができます。
もうランニングコストを減らせないだろうとお考えだとしたらもう一度上のエネルギー単価の表をよく見てください。
多くのご家庭で住宅用エネルギー費用を削減できる機会があるはずです。
この先の話を具体的にはじめるとエネルギー業界からクレームが来そうなので止めておきます。
その代わりに、ある方に尋ねられた質問とそれに対する私の答をご紹介しましょう。
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「外断熱工法のRC住宅は確かにエネルギー消費を減らし、快適な暮らしができる素晴らしい方法だと思います。世の中には色々な省エネ製品が宣伝されていますが、どうしてコンクリートの外断熱工法を宣伝する会社がないのでしょうか? そして、大学の研究者達はどうして断熱の問題について発言しないのでしょうか?」
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「新しい商品や技術が普及することは、そこに新しいビジネスチャンスが存在することです。外断熱工法を普及させたいと思う企業に広告宣伝するだけの力がついていないのが今の状況でしょう。」
「電力会社はエコキュートやエコアイスなど夜間の余剰電力の販売に力を入れています。ガス会社から給湯の顧客を奪うことが目的です。でも、エネルギー消費を全面的に削減することは電力会社の利益にはなりません。『断熱性能を高めて住宅のエネルギー消費を数分の1に減らそう』などと言っても消費者が利益を得るだけでエネルギー企業は自滅の道を歩き始めることになります。」
「研究者達に大半の委託研究を依頼しているのもエネルギー業界です。断熱に関する研究はヨーロッパがはるかに進んでいて、今から研究をはじめても何も目新しさがないことや、最大のスポンサーのご機嫌を損なうと研究費が貰えないことが研究者が沈黙する原因ではないでしょうか?」
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