住宅断熱計画の参考資料
「断熱と室内環境」および
「地中熱熱交換換気と省エネ」
を差し上げます。

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 ヨーロッパでもとりわけ建物からの温室効果ガス排出量削減に熱心だったドイツは2002年以降に新築される住宅の年間空調エネルギーを70KWH/mと定め低エネルギーハウス以外の住宅を新築できないようにしました。あわせて、低エネルギーハウスに続く次世代型住宅として年間空調エネルギーを20KWH/mとする超低エネルギーハウスの開発を始めました。

 その後北欧やドイツで多くのエネルギー消費の少ない住宅が開発され、「無暖房住宅」、「超低エネルギーハウス」、「セプハウス」、「パッシブハウス」などの呼び名をつけられました。

 これらの住宅は低エネルギーハウスまでの伝統を踏まえ、より高い断熱性能を備えていますが、それに加えて冬の日差しを最大限に取り入れる。太陽熱温水器(ソーラーコレクター)を使って自然エネルギーを給湯にも利用する。熱交換換気によって換気による熱損失をできる限り抑制する。など、なるべく人工的な空調に頼らずに室内環境を快適に保つ工夫をしています。

 そこで、これらの住宅を総称して自然からのパッシブなエネルギーに依存すると言う意味で「パッシブハウス」と呼ぶことにします。寒冷地向けのパッシブハウスは次のような性能を持つこととされています。
寒冷地向けパッシブハウスの要件
項      目
条          件
年間冷房+暖房エネルギー 15KWH/m・a(暫定的に30KWH/m・a)以下
1次エネルギー換算総エネルギー消費 120KWH/m・a以下
気密性 0.6回換気/h 相当量以下(EN13829に基づく)
冬季快適性 上記エネルギー使用枠内で、居室温度20℃を維持

  パッシブハウスは北欧やドイツなど比較的気温の低い温帯や亜寒帯で生まれました。これらの地域では基本的に夏になっても冷房を必要としません。

 寒冷地で生まれたパッシブハウスは、そのまま温暖な土地に持っていくと室温が高くなりすぎる弊害があります。そのため、ヨーロッパでも温暖地向けにパッシブハウスを造り替える必要が生まれます。

 パッシブハウスを作る技術は次のような技術です。
項        目
仕        様
1. 太陽の輻射熱取得 暖房需要のおよそ40%
2. Lp-Eペアガラスなど、高性能なガラス U値 0.75W/(m/K)以下
3. 高性能断熱サッシ U値 0.8W/(m/K)以下
4. 壁や窓の断熱性能
・高い断熱性能 U値 0.1W/m・K以下
・接続方法(熱橋を防ぐ) Ψ (熱透過率外部延長につき) 0.01W/(mK)以下
5. 換気 30m/h・人
6. 熱交換換気 熱回収効率80%以上
7. 排気からの潜熱回復 最大熱負荷10W/m以下
8. 換気用外気の地中予熱 吸気温度8℃以上

 パッシブハウスの採算性について「普通の家に比べて建設コストが余分に掛かり、空調費を大幅に節約しても嵩む建設費の差額を回収できないのではないか?」と考える方が多いでしょうが、パッシブハウスの考え方には「遅くとも20年程度の期間内に節約した空調費によって建設費の上昇分を相殺する」ことがあります。

 欧米では全館連続空調を前提にした生活が定着していますから、建物の断熱性能と空調エネルギー消費性能の関係はほぼ計算どおりになります。
 断熱性能を改善すれば空調機に必要な設備価格が減少し、ランニングコストも削減されるので建物の改善とコストの削減が緊密に結びついています。

 日本では、断熱性能の低さを室内環境を落として我慢する週間が根付いています。
 次世代省エネ基準の家でも床面積1mあたり年間127KWHの空調エネルギーを必要としますが、より断熱性能が低いと考えられる全住宅ストックを平均した空調エネルギー消費は、パッシブハウスに近い35KWH/m・aです。
 「パッシブハウスを建てれば暑さも寒さも我慢することはなくなり、暮らしが快適に改善される」と言っても、床面積あたり年間5KWHしか消費エネルギーが減らなければ、採算を計算するほどの費用節減効果にはなりません。
 さらに、断熱性能を高めた結果、空調設備の小型化によるコストの削減があっても、日本では多くの人が積極的に評価しないのではないでしょうか? 住宅の建設費の中に各部屋に必要になる空調機の大きさや費用が含まれていないのが普通だからです。

 高断熱住宅やパッシブハウスの価値はお金で計算できない快適さにあるのですが、そう言っても理解して戴くのは難しい問題になってしまいます。
 断熱などに必要な工事費が増えても空調機に必要な工事費が減り、空調機を必要なだけ運転するときに必要となる毎年の費用も少なくなると考えて快適さを手に入れるための費用を計算してみてください。


 

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