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空調コスト
建物を空調(暖房・冷房)しているとき、建物内外の温度差と各部分の熱貫流率に比例して熱エ
ネルギーが移動(取得・損失)します。
私達が年間空調エネルギーを計算するとき、
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年間暖房エネルギー
Eh=Q×床面積×24×HDD
年間冷房エネルギー
Ec=Q×床面積×24×CDD
年間空調エネルギー
E=Eh+Ec |
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と計算します。
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※ |
HDDはある日の平均気温が暖房温度を下回ったとき、(暖房温度−日平均気温)を年間累計したものです。また、CDDはある日の平均気温が冷房温度を上回った時、(日平均気温−冷房温度)を年間累計したものです。 |
この式は輻射熱の影響を受けない室温の安定した建物を一定の温度範囲に保つように冷暖房する
ときに必要なエネルギーを示しています。
エネルギー計算式で配慮されないもの
上の計算式には建物の外側の温度は外気温度と等しいと言う前提があります。しかし、日射を受
ける屋根や壁の温度は外気温度よりも高くなるのが普通で、冬の昼間には暖房負荷を緩和し、夏の
日妻は冷房負荷を増加します。
また、雪の積もった屋根の表面温度は外気温度が上昇しても0度以上に上がることがありませ
ん。
床や基礎など土に接する部分の温度は外気よりも変化の幅が小さく、土間や基礎から冷房負荷が
あることは稀で、暖房負荷も計算値より小さいのが普通です。
熱容量と空調負荷
3-3-2断熱技術講座>内断熱工法と外断熱工法に次のような内断熱工法と外断熱工法の外壁内側
の温度のシュミレーション結果を示しました。
熱容量の大きな建物と小さな建物では暖房負荷の特性に大きな違いはありませんが、冷房負荷の
特性に大きな違いがあります。
暖房時のピ−クには日最高気温・日最低気温ともに暖房温度を下回り一日中暖房負荷があるのに
対し、冷房時には日最低気温が冷房温度を下回り熱容量の小さい建物では冷房を入れなくても室温
が冷房温度以下に下がることがあります。
躯体温度が安定したときの外気温度の平均と室温の平均は同じになりますから、

図3-6-1-1 |

図3-6-1-2 |
室内に熱源のない状態での長期的な平均温度は、内断熱工法でも外断熱工法でもどちらも同じに
なります。
ところが、外断熱工法の壁面温度は一日の温度変化にはほとんど追従せず2週間から20日間程
度かけてゆっくり変化するのに対し、内断熱工法の壁面温度は一日小野外気温度の変化に追随して
大きく変動するので、空調に必要なエネルギーの量にも差ができます。
次の図は上の図で壁の表面温度(≒室温)が冷房温度を超える部分を青で塗りつぶしたもので
す。塗りつぶした面積が暖房負荷に関係しますします。

図3-6-1-3 |

図3-6-1-4 |
ここで、外断熱工法の方が内断熱工法よりも小さな空調負荷を持つ理由は次のふたつです。
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1. |
夏になった時点で冷房温度よりも数度低い外断熱の建物躯体が冷房温度間で上昇するまでに2週間以上の期間を要す。
(逆に外気温度が下がっても躯体温度の低下は遅い) |
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2. |
躯体温度がピークになる約1ヶ月間、外断熱工法の躯体温度は平均気温と同じレベルで安定していますが、内断熱工法の躯体温度は冷房温度を挟んで上下します。
内断熱工法では躯体温度が冷房温度以下まで下がるときがあると(図3-6-1-3の緑色部分)、その分だけ冷房負荷(青色部分)も増加します。 |
図3-6-1-3の数日分を拡大したものが図3-6-1-5です。

図3-6-1-5 |
外断熱工法の室温は図3-6-1-5の青線のように数日間の平均気温を中心に僅かな上下を繰り返し
ますが、内断熱工法の室温はオレンジ色の線のように冷房基準温度を跨いで上下に変動し、冷房が
不要となる黄色い部分の面積に相当するだけ外断熱工法よりも大きな冷房負荷が掛かります。
輻射熱のない場合の冷房負荷の求め方
はじめに日射による外壁表面温度上昇のない場合の空調負荷を考えます。
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1. |
RC外断熱工法など熱容量が大きく、緩やかな温度塩化をする建物では従来どおりCDDを基準にした式でエネルギー負荷を計算したうえ、外気温度が冷房温度を超えたときの躯体温度と冷房温度の差(うえの図では約1.5℃)だけ躯体温度が上昇する間に躯体が蓄積する熱エネルギーを差引いて冷房負荷を計算しても差し支えありません。
ここで差引くエネルギーは図3-6-1-4で黄色の矢印で示した躯体の温度上昇に対応したもので、熱容量の小さい建物では外気温度の上昇とともに室温が上がるのでこのような計算をすることはできません。
2004年の観測データをもとに月平均気温から計算した熱容量の大きい建物に使用する概算CDD値は次のような値になります。
CDD(25)=174 (77.5)
CDD(26)=111.5 (34.1)
CDD(27)= 49.5 ( 3.1)
CDD(28)= 13.8 ( 0.0)
()内は理科年表に示された平年値から計算した数値です。ふたつの数値を比較すると2005年が猛暑だったことが伺われます。
躯体に使われているコンクリート量から冷房負荷を生じるまでに躯体が蓄熱する熱エネルギーを計算するのが妥当ですが、簡易計算する場合コンクリート10.5m3あたりCDDから計算した空調負荷から0.834KWH/m2を差引いて冷房負荷を計算することができます。
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2. |
熱容量が小さく、室内温度が外気温度に追随して変動する木造(充填断熱・外貼断熱とも)やRC内断熱建築物では日平均気温から計算したCDDを基準に冷房負荷を計算すると冷房負荷を過少評価することになります。
時間ごとの外気温度の変化から冷房度・時を計算することでより正確な冷房負荷が計算できます。
冷房度・時に関する既存のデータが示されている例は見たことがありません。
私が、2004年の中央気象台(東京)の観測データから計算した結果では、
CDH(25)=5454(CDD換算227)
CDH(26)=4027(CDD換算145)
CDH(27)=2850(CDD換算118)
CDH(28)=1946(CDD換算 81)
となります。
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次のページ以降、上のCDD(あるいはCDHを元に換算したCDD)に基づいて、建物種別ごと
の空調負荷を計算しますが、
輻射熱の影響 「小屋裏や置き屋根は輻射熱の影響を緩和する!」
屋根や壁に日射を受ける場合、外気温度より屋根や壁の表面温度が高くなります。
そうなると、HDDやCDDとQ値から求めた熱移動量とは別に温度が上昇したことによる追加
的な熱移動が起こります。
冬の柔らかい日差しでも日中暖房が要らないほど家の中が暖かくなることがあります。輻射熱を
上手く利用すれば暖房負荷を減らすことができますが、夏の輻射熱は冷房負荷を大きく増加させま
す。
最も輻射熱を受けるのは屋根です。また、外壁も日当たりによって輻射熱を受けます。
輻射熱の受け方は建物の周りの植栽や建物、天候、建物の向きなどによって大きく異なります。
断熱材の表面温度の上がらないよく換気された小屋裏を持つ木造住宅や、置屋根を持つRC建築
物では輻射熱の影響を受けにくく、陸屋根形式のRC建築物では輻射熱の影響を強く受けます。
輻射を受ける面からの熱取得のメカニズムを具体的に説明するための充分なデータは揃っていま
せんが、真夏の日中に60〜70℃まで温度が上昇すると太陽から受ける輻射熱と物体(屋根や壁)が放
射する輻射熱が等しくなってそれ以上温度が上昇しないそうです。
日照を受ける部分の平均温度が日平均気温よりもどれだけ高くなるかが判れば、当該部分からの
熱取得を計算できますが、ここでご紹介できるような客観的データは揃っていません。
日射が強い日に屋根の温度が外気温より30℃高くなったとすると、1時間あたりの冷房負荷は次
の表に示すように増加します。
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断熱材・厚さ |
屋根の
Q値
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輻射による
冷房負荷(W) |
輻射以外の
7−8月平均 |
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RC戸建内断熱 |
ウレタン |
25
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0.54
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1944
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49.35
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RC戸建外断熱 |
EPS |
50
|
0.33
|
1188
|
8.39
|
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75
|
0.23
|
826
|
5.51
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100
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0.17
|
612
|
4.44
|
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125
|
0.11
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396
|
3.94
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RC集合内断熱 |
ウレタン |
25
|
1.25
|
2700
|
27.01
|
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RC集合外断熱 |
EPS |
50
|
0.68
|
1468
|
4.83
|
|
75
|
0.47
|
1015
|
3.09
|
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100
|
0.35
|
756
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2.42
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集合住宅の輻射による冷房負荷が特に大きいのは床面積と屋根面積が等しい最上階を対象にして
いるからですが、輻射熱による負荷のピークが数時間しか続かないことに配慮しても冷房負荷の大
半は輻射熱が原因になっていることが判るでしょう。
また、輻射による冷房負荷が私達の経験的に感じているエアコンの能力にほぼ一致することにも
留意してください。
換気の良い小屋裏を持つ木造住宅、屋根とコンクリート躯体の間の空気を換気可能な置き屋根の
建物では輻射熱の影響をほとんど受けることがありません。
なお、年間冷房負荷の計算は諸条件を整理できないためここに示すことはできませんが、上の負
荷に一日あたり負荷時間(4時間程度)、夏の晴天日数などから計算が可能だと考えています。
余談になりますが、この表を見るとマンションの最上階には暮らしたくありません。
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