既存建物の断熱改修 |
|
|
|
|
何か断熱改修の仕事を始める前に、あなたの家がどのように働くかを理解しておくことは重要です。あなたがよく理解しているほど改修工事はあなたの期待に見合い、あなたが古い問題を解決するとき新しい問題を引き起こさないようします。この章は、成功した断熱改修工事にとって重要な基礎的な建築物理について解説します。熱、空気と湿気の流れをコントロールするために、建築物理学の法則をどのようにうまく使用するか、そしてなぜこれらを一緒に考慮しなければならないかを説明します。
木造在来工法について
空調のなかった時代に気密でなく開放的な特徴とともに発展してきた木造在来工法も、冷暖房の導入・断熱化の流れの中で気密・防湿・断熱という性質なしに、省エネや健康・快適化を図ることが出来なくなっています。
気密・防湿・断熱どれをとっても簡単ではありませんが、かつての日本家屋でも目張り(=気密性能の改善)が寒さを凌ぐ良い手段だったことをご存知の方もいらっしゃるでしょう。
快適に暮らすための手段は時代が変わってもそれほど違いません。
古い建物に不都合が生じている原因には、基礎の不同沈下や構造材の傷みや変形があるかもしれません。気密・窓・ドアの改造の前に、基礎と土台を正しい状態に復元しなければならないケースも多いでしょう。
基本的なこと
家の機能
私たちは、家が日差し・雨・風・雪などの影響を和らげ、暖かく快適に暮らせるよう期待しています。さらに、私たちは、家が頑丈で永持ちすることを期待します。
多くの建物の要素がこれらのニーズを満たすために共に働きます。建物の要素には建物のシェル、外部環境、機械的なシステムおよび私たち自身(居住者)を含んでいます。ここで扱うことは、主として建物の外装の改善に関係しています。
建物の外装
建物の外装は外界から私たちを保護する家の甲羅のようなものです。それは基礎壁・床・上層部分の外壁、屋根、窓とドアを含みます。 私たちは、建物の外装に多くのもの期待します。
それは、壁および屋根を構造的に支え、構造体を劣化から保護し、採光を考慮して光を取り入れ、人の出入りに役立たなければなりません。
最後に、建物の外装は私たちの暖かく快適に抑制された屋内環境を、外部の天候変化から守らなければなりません。
室内の環境を維持するため、建物の外装は家の中からから屋外への熱・空気と水蒸気の流れを制御しなければなりません。
建物の外装と熱流
寒い冬と暑い夏を克服するために室内環境制御の手段として、私たちは冷暖房設備を取り付けます。屋外を暖房したり冷房したりしないよう、「家に熱を閉じ込める家」を建てるよう努力しましょう!
しかし、温度差があると、必ず熱は移動します。基本的に熱は暖かいところから寒さいところに流れます。
多くの人々が、温風は上昇するのでほとんどの熱損失は天井からのものだろうと信じています。これは必ずしもそうではありません。熱は上に、下に、あるいは横にとあらゆる方向に高い温度のところからより温度の低いところへ移動します。暖房していないガレージの上の暖房した部屋は床から熱を失います。地上と同じように、熱損失は地下室や床下の壁に生じることもあります。熱は冷たい方に移ります。屋内と屋外の熱の流れを抑制することが建物の外装の仕事です。
注:外装 室内空間と屋外空間の境になる屋根・外壁・基礎とこれらに取り付けられた窓・ドアなど室内空間を取り囲む部分を総称して英語でEnvelope(封筒)と呼びます。日本の建築擁護では相応しい用語がないので、「建物の外装」という言葉を使いました。「屋根・外壁・基礎などが組み合わされた建物を包み込む大きな寝袋のようなもの」と言う意味と考えてお読みください。
なお、「封筒」は外装表面だけではなく、断熱材や気密層・防湿層など内装仕上以外の構成要素をすべて含む概念だと言うこともご承知ください。 |
熱はどのように移動するか
熱は3つの異なる方法で移動します。壁のような建物の外装部分では、熱が3つの方法で同時に移動することがあります。
|
伝導 |
互いにぴったり密着した物体は、ある部から別の部分まで熱を直接伝えます。例えば、鋳
物のフライパンの熱はハンドルとあなたの手に伝わります。いくつかの素材は素材の性質
によって、他のものよりよく熱を伝えます。断熱材は、比較的熱を伝え難い空気を含み熱
の流れを減らします。 |
|
対流 |
水や空気のような流体が移動することで熱を伝えることができます。断熱されない壁の空洞では、たちまち空気が暖かい壁から熱を奪い、次に冷たい壁に循環してそこで熱を失います。暖かい空気と冷たい空気の混合によって失われる熱もあります。 |
|
輻射 |
どんな物体も、太陽が熱を放射させるのと同じ方法で熱を放射させます。あなたが冷たい窓の前に立っていると窓へ熱を放射させ、たとえ室温が高いときでも寒さを感じます。 |
建物の外装と空気の流れ
建物の外装を制限されずに通り抜ける空気の流れは熱損失の主な原因になり、他の問題を引き起こします。暖かい空気は大量の水蒸気を運ぶことができるので、空気の流れは湿気が建物の外装部分に運ばれる主な原因でもあります。
冬の気象条件では、空気が建物外装を通リ抜けるように圧力がかかります。室内に親友する空気が不快な加工機優と乾燥をもたらす一方、屋外に出て行く空気は熱と水蒸気を運び出します。
空気が室内から屋外に、あるいはその反対に移動するには、建物の外装に穴があり、内部および外部に気圧の違いがなければなりません。次のものの組み合わせによって、気圧の差が引き起こされます。
|
|
風 |
|
家の中に"空気の比重分離"を起こす温度差 |
|
燃焼器具または排気ファン |
|
|
|
風圧力 |
風が家に向かって吹くとき、風上側の気圧が高くなって、空気は家に押し込まれます。風下側の気圧は低くなっていて、空気が引き出されています。 |
|
空気の比重分離 |
暖房した家では、比重の軽い暖かい空気は上昇し、家の屋根の近くに気
圧の高い部分を作ります。空気は天井や上層階の窓まわりの割れ目の穴を
通って外に漏れ出します。上昇する空気の力は家の下の方に気圧の低い部
分をつくり、外部の空気が下層の床まわりの割れ目や開口部から家の中に
流れ込みます。 |
|
燃焼器具と換気 |
薪、油あるいはガスのような燃料を使う燃焼器具は、燃焼と煙突に気流
を起こすために空気を必要とします。開放型の煙突と暖炉は、多くの空気
を排出する傾向があります。この空気が排出されると、外気が建物の外装
を通して取り入れられるでしょう。暖炉に火があるときにしばしば部屋に
透き間風が入ることに気付くことがあります。 |
|
厨房および浴室の排気ファン |
セントラル掃除機システム、ストーブの上の排気口、衣服乾燥 機および他の排気ファンも同じ効果をもたらします。 |
|
建物の外装と湿気
湿気はコンクリートにヒビを入れ、木を腐らせ、ペンキを剥がします。さらに、湿気は石膏ボードを破損し、カーペットを駄目にします。湿気は様々な形で建物の構成部材に損害を与える最大の原因です。
湿気は、固体(氷)、液体(水)あるいはガス(水蒸気)の形をとります。湿気は、屋外では土の中の地下水として、氷、雪、雨、霧および表流水として、あるいは屋内では、掃除、洗濯、料理、加湿機の使用などによって作られた水蒸気の形をとります。
それぞれの形で、湿気は多くの方法で建物の外装を移動します。
|
|
重力 |
屋根を流れ落ちる水や窓ガラスを流れ落ちる結露水は、重力が水をどのように下降させるか示 しています。 |
|
毛管現象 |
水はまた、毛管現象によって横にまたは上に移動することができます。毛管
作用はラップされた羽目板やコンクリートあるいは土のような多孔質の素材の
ように、非常に狭いスペースの存在を 必要とします。(紙タオルがどのように
水を吸収するか考えてみてください) |
|
拡散 |
水蒸気は、拡散によって素材の中を直接移動できます。拡散速度は水蒸気圧と素材の透湿抵抗の違いによって決まります。 |
|
空気の移動 |
水蒸気として、湿気は空気の移動により運ばれます。例えば、建物の外装の割れ目から 空気漏れがある場合 |
|
気流は建物の外装の小さな穴を通して、建築資材中を拡散するよりもはるかにより多くの水蒸気を、運ぶことができます
結露
結露して液体の水になるとき、水蒸気は問題を起こします。これは大気がこれ以上水蒸気を保持することができない100パーセントの相対湿度で起こります。
典型的な例は窓の結露です。空気が冷たい窓ガラスに接触すると熱を失い、すべての水蒸気を含むことができなくなります。そして、いくらかの水が窓の表面に結露します。
窓が非常に冷たい場合、結露は霜として現われます。単板ガラス窓の内部表面の方が複層ガラスより冷たいので、単板ガラス窓はより高い湿度のときでも、結露や霜の発生の問題を起こすようです。結露は、厨房や浴室のような家の湿度の高い部分で起きやすいものです。
システムとしての家
家がシステムとして働くことを思い出すことが重要です。
すべての家の要素、環境、建物の外装、機械的なシステムと居住者の活動は、すべて互いに影響します。また、結果は、全体として家の性能に影響します。これらの関係を理解することが、問題を回避する秘訣です。
例えば、空気漏れを減らせば家をより快適にし、湿気損害から建物の外装を保護します。しかし、水蒸気の漏れを減らすと室内の水蒸気量を増加させ、窓の結露が増加します。
ここで知らなければならないのは、家の1つの要素への変更が別の要素に即時に波及するということです。時間を掛けて多くの小さな変更を積み重ねた影響は、システムのバランスに影響します。
どんな改善の工事でも始める前に、工事に何が含まれていて家の他のどの部分が影響を受けるか理解するための調査をするのはよいことです。工事の影響を考え、注意深く計画すれば、不愉快な驚きを防ぎ、あなたの期待に添う工事ができるでしょう。
|
|