3-5-6/7 断熱と「省エネ・耐久」 


断熱はなぜ必要か & どんな断熱が良いのか ・断熱と空調 ・自然エネルギーの活用 ・暖房度日と冷房度日
節水 ・耐久性と劣化 ・建物の耐久性を増す ・耐久性と建物のコスト

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付録
付1断熱用語辞典
付2断熱材性能比較リスト
付3住まいと断熱の掲示板
付4M邸WEB見学会
建物の耐久性を増す
 「耐久性と劣化」では、内断熱工法で建てられた建築物の構造体が、熱伸縮や雨水による物理・科学的な作用によって劣化されやすいこと、つまり「建築物の構造的劣化」と呼ばれる劣化のメカニズムを説明しました。 


建物の性能劣化を防止する 
 建築物の劣化には構造的劣化のほかにも、設備的劣化・社会的劣化と呼ばれる劣化があります。 

 内断熱工法を採用した建築物に比べて、外断熱工法を採用した建築物は構造的劣化を起こしにくいということは、逆にいえば「きちんとした対策を考えていないと構造体は充分機能しても設備的劣化・社会的劣化によって建物が使用できない」リスクがあることを意味しています。 

 設備的劣化・社会的劣化と言っても言葉だけではその内容が理解できないでしょうから、先ず簡単に説明しましょう。 

設備的劣化  給・排水管、設備機器などが老朽化して交換が不能、あるいは交換に過分な費用がかかることになること 
事  例
 給・排水管をコンクリートの中に打ち込んでいて、コンクリ−トを壊さないと交換できない。 
 ユニットバスが老朽化した。交換するにも同じ型式の製品は製造が中止されている。天井高・排水位置が変更できないのでほかの型式の製品は使えない。 

 このほかに、電気容量とかIT回線へのアクセスの問題など新しい情報設備にフレキシブルな対応ができる設備計画を行う必要が高まっています。


社会的劣化  周辺環境や家族構成が変化して改修が不能、あるいは改修に過分な費用がかかることになること 
事  例
 家族の人数が増え(減っ)て間仕切りを移動して間取りを変更したい。しかし、間仕切壁はコンクリートでできていて撤去することができない。 
 建てたときは日当たりも良かったが、周りに高い建物ができて一日中日があたらない。 

 炭鉱など地域の天然資源に依存した産業の衰退に伴ってまだ使える建物が廃墟になることも社会的劣化の事例です。建築設計によってすべての社会的劣化に対処できるわけではありません。 


耐久性を高める対策
 建築設計によってすべての社会的劣化に対処できるわけではありませんが、設備・間取りの変更にフレキシブルに対応できるような設計をすることで建物の耐用性を高めることができます。


構造計画
 鉄筋コンクリート壁式構造やメーソンリー(組積)構造は高い剛性を持ち安価に構造体を造れる工法です が、構造壁量が多くなる傾向があります。内部空間のフレキシブルな利用が可能になるように壁量をなるべく外壁側や階段廻りに配置して建物内部に撤去できない壁を増やさないよう工夫しましょう。 
 特に建物の外壁や窓の位置を将来変更する可能性が高い場合には鉄骨躯体の外周にコンクリートやコンクリートブロックの非構造壁(帳壁)を廻す方法も選択できます。 

 木造・軽量鉄骨のスタッドなどで間仕切壁を造れば、将来間取り変更の必要が生じても柔軟に対応できま す。 

 従来、間仕切壁はプライバシー確保の目的のほか、簡潔空調する部屋から建物内のほかの部分に暖かい空 気が漏れないように仕切る目的でも設けられていました。外断熱工法の建物では十分な厚その断熱材で建物 全体が覆われるので、特に湿度や臭いが問題になる浴室・トイレなどを除いて空調区画の目的で間仕切壁を 設ける必要はありません。


設備計画
 電気設備
 将来の使用電力量の増加に備えて分電盤から各部屋に追加配線が可能なルートを確保する。IT用ケ ーブルのルートを確保するなど、容易に電力・情報通信のニーズに対応できる配慮をする。 
 外断熱工法では壁の裏側に空洞を取らないケースもあるので床の一部に配線ピットを準備することも 考えておきたい。 

 ヨーロッパでは、15世紀に建てられた建物に近代的設備を追加して今でも使用している例も多くあ ります。 

 給排水設備
 水周りをどこにでも移動できるように床を逆梁構造にして配管スペースを確保した例もあります。
 しかし、コストの増加に比べて充分なメリットがあるかどうかは疑問もあります。将来二世帯住宅に改造するなどの可能性のあるケース(例えば延べ面積が40坪以上)では、給排水配管用のスペースをあらかじめ考慮することをお奨めします。 

 排水管は一般に自然流下配管で計画しますが、小型汚水ポンプを使った圧力配管システムが開発されるという話(噂?)もあります。 


 建物の性能劣化を防止するために、あれもこれもと欲張りすぎると本当に必要かどうかわからな
い目的のために大きな費用をかけることになります。 
 3%の金利で計算すれば、30年後に必要となる100万円の投資を回避するために今50万円を使うよ
り、ローン借入金額を減らす方が得策です。将来必ず必要になると思われる対策と、余りコストの
かからない対策を絞り込んで実行しましょう。

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