3-5-3/7 断熱と「省エネ・耐久」 


断熱はなぜ必要か & どんな断熱が良いのか ・断熱と空調 ・自然エネルギーの利用 ・暖房度日と冷房度日
節水 ・耐久性と劣化 ・建物の耐久性を増す ・耐久性と建物のコスト

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付録
付1断熱用語辞典
付2断熱材性能比較リスト
付3住まいと断熱の掲示板
付4M邸WEB見学会
自然エネルギーの利用
省エネ建築の空調
 エネルギー使用量
 断熱性能が充分でない建築物は厚さ寒さのピークに大きな空調エネルギーを必要とします。空調設備も大きな負荷に対応できるものが必要になります。これに対して断熱性能の優れた建築物は少ないエネルギーと小さな空調設備を使って充分な空調を行うことができます。 

 大局的に見れば、建物内部と外部環境との間の熱エネルギーの移動量は建物のQ値と内外温度差に比例します。同じ地域に建つ建物の内外温度差は変わらないので、Q値に比例して空調エネルギーを消費とします。 

 「RC造の断熱」で内断熱工法の建物のQ値は3.51、外断熱工法の建物のQ値は0.87でした。この数値に換気に伴う熱損失を加えても内断熱工法のQ値は3.9、外断熱工法のQ値は1.26と3倍以上の差があります。つまり、外断熱工法の建物は内断熱工法の建物の1/3以下のエネルギーしか使いません。

 しかも、熱容量の大きい外断熱工法の建物では外部の気候条件が大きく変化しても室内温度の変化は少ししか変化しません。空調基準温度±0.5℃程度の温度変化を許容すると一日の空調負荷に対応するエネルギ ーを24時間連続的に平均して供給することができます。一方、熱容量の小さい内断熱工法の建物では外気や外部に剥き出しになったコンクリートの温度がタイムラグを置かずに室内に影響します。 

 内断熱工法の建物では室内を連続空調で常に一定の温度に保つには外断熱工法の建物の5倍、間歇空調により一旦室内温度が下がった部屋を暖めなければならないときには10倍を超える出力を持つ空調設備が必要になります。

断熱の仕方と工事費・空調費
Q値
設計最低外気温度
連続空調時の設備容量
間歇空調の設備容量
外断熱RC  1.26
5.0℃
≒2.72KW
内断熱RC  3.90
0.0℃
≒10.76KW
≒30KW
高断熱木造 1.39
2.5℃
≒3.42KW
一般木造 3.39
0.0℃
≒9.36KW
≒29KW


 この表の連続空調時の設備容量までは「断熱と空調」で示したものと同じです。 

 内断熱RCや低断熱木造では夜中に8時間空調を切り、朝再び空調を入れて2時間以内に本来の空調基準温度から2℃低い温度まで回復させるには、上記の連続空調を想定した設備の3倍の能力を持つ空調設備が必要となり、断熱性の高い建築物は間歇空調する断熱性能の劣る建築物に比べて設備能力・ピーク時のエネルギー消費が1/10〜1/15と非常にコンパクトになります。


エネルギー源
 空調エネルギー消費量が約1/3、ピーク時のエネルギー需要が1/10以下になる高断熱仕様の建築物では従来化石燃料や電力に頼ってきた空調エネルギー源を、ソーラー・風力・地熱・バイオなど未利用エネルギーに切り替えられる可能性が出てきます。

 熱源にソーラーコレクター(太陽熱温水器)や井戸水が使えれば循環ポンプと制御回路を除いてエネルギーコストなしに空調が可能になります。


 太陽光発電や風力発電が脚光を浴びています。これらは設備コストがかかる割にエネルギー変換効率が低 く、初期投資を生産されたエネルギーにコスト配分すると採算の取れる価格にはならないようです。 
 特別なハイテク技術を使わずにすぐにでも使えそうな技術として、ソーラーコレクターと井戸水がありま す。ソーラー発電・風力発電などの技術の導入は設備のコストダウンが進み、エネルギー価格が採算に乗る のを待っべきではないでしょうか?


低エクセルギー技術

 設備コストを抑えるには小型エアコンが最小のコストになると思いますが、空調ランニングコストを抑えるために輻射式冷暖房パネルとソーラーシステムや井戸水利用を組み合わせた「低エクセルギーシステム」を検討したいところです。

 エクセルギーの考え方はエネルギーを獲得した量よりも、獲得したエネルギーをどれだけ有効使ったか(エクセルギー効率)を併せて考えることにあります。太陽熱利用では少しでも高い温度の温湯を作ることよりも気温と比べた湯の温度差に比例して熱の有効度が増すという新しい考え方です。 
 大きな1個の蓄熱タンクを設けていたときには、温度の高い温湯が得られても、タンク内に残っていた温度の低い湯と混合され見せかけのエネルギーは増えても、実際は有効なエネルギーを失い補助熱源を使う機会が増えます。

 エクセルギー理論によれば、蓄熱タンクを少容量に二分割し、高温の湯を得られる日中に小容量の給湯タンクの温度を上げ、低い温度しか得られない午後に小容量の蓄熱タンクに蓄熱するか、又はタンクを使用しないで直接床コンクリート躯体・輻射パネルに供給すればエクセルギーはほとんど失われません。給湯(60℃)や暖房(40℃)など低温域のエネルギーには少ない補助熱源で、太陽など環境エネルギーの利用が充分可能になります。

 先端の環境技術で賃貸住宅のイメージアップを図りながら、コストのかからない自然エネルギーを活用しましょう。


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