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■ 2005年3月21日
新聞に「環境省が家庭における温暖化防止策のために30億円掛けて啓蒙活動を始める」という記事がありました。日本の二酸化炭素排出量は1990年に比べて8%増加していて、−6%の国際公約を果たすには特に遅れている民生部門、とりわけ家庭からの二酸化炭素排出量を抑制する必要があることがその背景だと解説がありました。
うんうん、納得です。それでどんなことを啓蒙するのかと読み進めると、「何だ! まだこんなこと考えてるの?」と言いたくなる次のような対策が並べられています。
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待機電力を使わないようにする
省エネ家電に買い換える
パスタと野菜は一緒に茹でる |
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それぞれ「しないよりはまし」といった内容ですが、環境省はこれらの対策で二酸化炭素の排出目標をどれだけ削減できると考えているのでしょうか?
家電の待機電力やエネルギー消費は経済産業省が業界に指針を示せば済むことのように思います。
原子力発電所の不祥事で電力需給がタイトになったとき、オイルショックのときなどの節電対策も今回と同じように、
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暖房の設定温度を18℃以下にする
冷房の設定温度を28℃以上にする |
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など、戦時中の「欲しがりません、勝つまでは」に近い心掛け・精神論で乗り切ろうとするものでした。今回もまた同じ対応をしようとしています。
環境省の置かれた立場を考えると同情しなければいけない点があることも判ります。
エネルギー消費削減対策は環境対策でありながら、産業行政、エネルギー行政、建築・住宅行政に縦割りされていて、環境省は「『他省庁が管掌する領域に踏み込まない』原則のもとで、根本的総合的な環境対策を打ち出せない」立場に置かれています。
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経済産業省 製造業に対する省エネ技術
資源エネルギー庁 エネルギー需給政策、新エネルギー開発
国土交通省 建築物に関する省エネ基準 |
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京都議定書・地球温暖化防止条約を実効あるものにするには省庁の垣根を越えた総合的環境・エネルギー政策によって、1990年比8%増加しているエネルギーの使用を抑制・削減する必要があります。
ところが、EU・カナダなどは新築住宅の空調消費エネルギー消費目標を定め、すべての新築住宅に適用し、併せて既存住宅の断熱改修を進めているのに対し、日本の対策はドイツの新築住宅の2倍近いエネルギーを必要とする「次世代省エネ基準」の住宅を建築主の判断により採用するように進めているに過ぎません。
場当たり的な対策で日本は本当に地球温暖化防止条約の排出目標を達成できるのでしょうか?
建築物の空調エネルギーを削減するには「断熱材を大目に使えば熱損失が減る」と言うほど単純なものではなく、熱と水蒸気の挙動に対する科学的な対策が必要です。
断熱することによって低温になる部分では水蒸気が結露しやすくなるので、断熱と防湿は切り離せない概念です。ここでは経験に基づく判断はほとんど有効性を持ちません。
日本の建築行政が次世代基準を超える建築物の高断熱化に踏み込めないのは「一般的な建築設計者や施工業者の知識と能力が高断熱化に対応できない」と考えているのではないでしょうか。
2005/03/21
右に政府の「温暖化効果ガス排出量の見通しと対策」の図を示しました。(2005/03/30、朝日新聞より)
2003年の排出量(速報)は+8%ですが、政府の見通しは対策をしない場合に2010年の排出量は+6%になると想定しています。
最大の削減策はエネルギー起源のCO2を減らすこと、つまり原子力や風力水力などへのエネルギー転換が-4.8%、次いで森林吸収量の増加が
-3.9%、海外での植林等京都メカニズムも-1.8%を占めています。
部門別削減量の配分は産業部門が-8.6%が唯一実質削減で他部門ではいずれも実質増加になる見通しです。
この見通しと対策では2003年の排出量を基準にしても目標年度には2%増が避けられません。2003−2010年の自然増分が2%に上乗せされると大きな排出量の増加が避けられないのではないでしょうか?
将来、より厳しい排出削減策と環境税など「ムチ」の政策が避 |
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けられなくなるように感じます。
穿った詮索になるかもしれませんが、電気事業連合会、石油連盟の両エネルギー業界団体は自民党の資金団体「国民政治協会」の中でも大口寄付をしている団体です。
アメリカが石油業界の圧力で京都議定書から離脱したように、これら業界の意向に添うかたちで温暖化防止対策が進められエネルギー使用削減が先送りされるとしたら、その皺寄せは国民すべてに、そして地球全体に及ぶことになります。
■ 2004年の気象
2004年は台風の当たり年でした。上陸した台風の数も例年になく多かったうえに、12月に入ってからも台風27号の影響を受けました。さらに翌日は各地で季節はずれの夏日(最高気温25℃以上)を記録するなど気象観測史上例のないことが続きました。
地球温暖化は、ただ気温が上昇するだけでなく、梅雨末期の集中豪雨の凶暴化、台風やハリケーンの数の増加・発生時期の通年化など、従来の季節感を一変させるほどの気候変動を始めているのかもしれません。
「気候変動は農作物の生産量を不安定にする要因として警戒が必要だ」とも言われています。10月の台風では葉物野菜の産地が大打撃を受け、キャベツ・白菜などの価格が通常の3倍ほどに上昇しました。温暖化は野菜だけでなく穀物を含むすべての農産物の供給を不安定にする恐れを持っています。
正確に言えば、CO2排出量の増加と地球温暖化の因果関係は科学的に解明されているとは言えません。空気中のCO2の増加は地球が暖かくなった結果海水中から空気中に移動したためで、温暖化の原因と言うより結果と考えるべきだとの説もあるほどです。
しかし、温暖化防止策を放置していいと考えるべきではありません。化石燃料は数十年で枯渇します。枯渇が近付くほど価格も増加します。そのときに備えて少ないエネルギーで快適に過ごせるライフスタイルを確立することが今求められているのだと思います。
■ 地球温暖化の現状、見通し
地球表面の平均温度は19世紀末からの100年間に0.3〜0.6℃上昇し、地球規模での海水面上昇は過去100年間に10〜25cmで、この変化の多くは地球の平均気温上昇に関連していると見られます。
都市部では、ヒートアイランド現象によって平均的な地球温暖化を超える速度で気温上昇が進んでいます。 |
100年間に温暖化はここまで進んだ!
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気象庁の観測では、我が国においても年平均気温はこの100年間で約0.9℃上昇しています。
IPCC(気候変動に関する政府間パネル)の予測によると、2100年のCO2排出量が1990年の3倍弱となるシナリオ(中位の予測)では、2100年には、全球平均気温は2℃上昇、海面水位は約50cm上昇すると予測しており、さらにその後も気温上昇は続くとされています。
中でも、ヒートアイランド現象の影響が大きい東京では左の図のように過去100年間に国内平均を3倍以上も上回る速度で気温が上昇しています。 |
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■ 地球温暖化の影響
地球温暖化による我が国への影響は次のように予測されています。
ア 気候変動や海面の上昇
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冬期の寒気の吹き出しが弱まり、南岸を通過する低気圧の頻度が増加して、太平洋沿岸沿いの降水量が増加すると見込まれ、現在、降水量の多い地域では降水量がますます増加し、少ない地域ではますます減少します。
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海面上昇は、1900年に比べCO2濃度が倍増した場合、日本海沿岸で約20〜40cm、太平洋沿岸で約25〜35cmと予測されています。
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イ 海面の上昇による影響
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海面が30cm上昇した場合、現存する砂浜の57%が消失すると見込まれる。(1m上昇した場合は90%が消失)
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また、満潮位以下の国土面積が増えるので、安全水準等の維持対策が必要となります。
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ウ 健康への被害
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マラリア等の媒介性感染症の発生地域、発生数が増加すると考えられ、マラリアを媒介するハマダラカの生息域の北上、活動の活発化により亜熱帯地域で大きな被害が生じる可能性があります。
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また、熱中症や熱射病が増加することも考えられます。
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エ 自然環境への影響
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温暖化により今後100年間に平均気温が3℃上昇するとすれば、現在の生態系分布は緯度方向に約500q(毎年5km)、標高では500m(毎年5m)は移動しなければなりません。
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これにより、生息域が小さく細分化され孤立化した種では絶滅の危険があります。
オ 食料生産への影響
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西南日本では、ジャポニカ米の栽培が適さなくなり、インディカ米のより温暖な気候に対応できる性質を取り込むなど新たな品種の開発等が必要となると考えられます。
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また、我が国は、食料の相当大きな部分を海外から輸入しており、輸入相手国の生産変動も極めて重要であり、我が国の食料事情は世界中の地域的な気候変動に対して脆弱であると言えます。
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■ 地球温暖化の原因
二酸化炭素などは、光は通しますが熱をためるという働きがあります。つまり大気中の二酸化炭素が増加すると地球の気温が上がります。
また、二酸化炭素以外にもメタンガスなど温暖化効果をもつガスがあり、中でもフロンは二酸化炭素の数千倍の温暖化効果があります。フロンは温室効果のほかにオゾン層を破壊するなど、地球の地球環境の保全に非常に危険な物質です。
地球温暖化現象は、人間活動によって大気中に急増した二酸化炭素やメタンガスが原因であることは、専門家の間ではほぼ一致しています。
それは南極の氷3000mから得られた氷柱の中の気泡を分析することで過去16万年の二酸化炭素濃度の変化を調査した結果、二酸化炭素の濃度と地球の気温が比例関係にあることがわかったからです。※
二酸化炭素の発生源は、第一に主に先進諸国から排出される化石燃料の使用によるもの、次いでセメント生産、また熱帯での森林伐採なども原因となっています。
我が国は、世界第4位のCO2排出国で、全世界の5%程度を占めています。また、我が国のCO2排出量の推移を部門別に見ると、産業部門(工場等、全体の50%程度)からの排出量が下げ止まり横ばいで推移する一方、民生部門(家庭・事業所ビル等業務、全体の25%程度)、運輸部門(自動車・船舶・鉄道等、全体の25%程度)では大きく増加しています。これは、自動車台数の増加、またエアコン等のエネルギー利用機器が普及したことなどによります。
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※ |
大気中の二酸化炭素濃度と気温の関係については温度上昇の結果海水に含まれる二酸化炭素の一部が大気中に放出されるとする考え方もあります。
水に対する二酸化炭素の溶解度は水温が上昇すると極端に少なくなりますから、気温の上昇は排出量を上回る勢いで大気中の二酸化炭素を上昇させると考えていいでしょう。 |
最終エネルギー消費の部門別増加率
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1990年
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1999年
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エネルギー
増加率
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シェア |
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シェア |
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最終エネルギー消費 |
349.1
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100%
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402.0
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100%
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15.2%
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産業部門 |
173.8
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49.8%
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189.1
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49.5%
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14.6%
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民生部門 |
85.3
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24.4%
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104.9
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26.1%
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23.0%
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家庭部門 |
46.4
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13.3%
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55.4
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13.8%
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19.4%
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業務部門 |
38.9
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11.1%
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49.5
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12.3%
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27.2%
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運輸部門 |
80.4
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23.0%
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100.2
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24.9%
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24.0%
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旅客部門 |
47.9
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13.7%
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64.4
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16.0%
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34.4%
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貨物部門 |
32.5
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9.3%
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35.8
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8.9%
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10.2%
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単位:原油換算百万kl
出所:総合エネルギー統計より算出

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民生部門 |
家庭部門 |
家庭内で消費する部分 |
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業務部門 |
事務所、小売店、飲食店、宿泊施設などで使用する部分 |
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運輸部門 |
旅客部門 |
人間の移動に係る部分 |
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貨物部門 |
貨物の輸送に係る部分 |
■ 地球温暖化防止の取組み
環境庁が発表した予測では「100年間に平均3度上昇」がベースとなっています。この40年間に、すでに平 均気温は0.5度上昇して、さまざまな異変が報告されています。長野県・諏訪湖の冬の風物詩、「御神渡(お みわたり)」は、1991年から10年以上も観測されていません。
平均気温が3度上昇すれば非常に大きな影響が考えられます。これは亜熱帯に近づくことを意味し、自然や 生態系、私たちの生活に大きな変化をもたらします。
国においては、97年12月の「気候変動に関する国際連合枠組み条約の京都議定書」採択を受け、98年6月、 99年12月、02年6月と三度の「エネルギーの使用の合理化に関する法律」(省エネ法)の一部改正が行われ、 さらに99年10月に「地球温暖化対策推進法」を制定、「地球温暖化対策推進大綱」を02年3月に全面改訂する などの取組みがなされています。しかし、建築の省エネルギー化に限らず具体的な変化はありません。
日本建築学会は1997年12月、「今後の我が国の建築物はライフサイクルCO2を30%削減し、耐用 年数の3倍延伸をめざすべきである」との会長声明を出しました。気候変動枠組条約京都会議(COP3)の 公約を守るには、これくらい大胆な対策を早急に実施しなければいけないという警鐘の意味を込めたものでし たが、理論的にも十分な取り組みはありません。
会員を対象に声明の内容をテーマにした設計コンペを行いましたが、内断熱工法は放置されています。
最近の環境意識の高まりの中で、環境問題に関係する様々なネットワークが組織されていますが、干潟や湿 地など自然破壊の現場に眼を向けたものが多いようです。ヒートアイランド現象でも明らかなように、私たち の生活を営むために多くのエネルギーが都市を中心に消費され、環境破壊の原因になっています。
自然破壊の現場とエネルギー消費の現場は離れていても一本の赤い糸で結ばれた原因と結果であり、エネル ギー浪費に歯止めをかけなければ環境破壊は止まりません。
「生活のレベルを落としてでも省エネを進めよう」と言う提案には抵抗もあるでしょうが、建築の外断熱化 は生活のレベルを上げつつ省エネも達成できるものです。
■ サステイナブルな(持続可能な)社会を
最大の削減目標を背負わされたヨーロッパ、とりわけドイツや北欧諸国では建築の高断熱化を通じた省エネ への取組みが進んでいます。
ドイツの新築住宅の省エネ性能の基準となる低エネルギーハウスは、日本の「次世代省エネ基準」に比べて 床面積あたりの空調エネルギー消費が55〜65%のものですし、融資や税制の優遇を受けられる超低エネルギー ハウスは1/5以下の空調エネルギーしか消費しません。エネルギー効率の悪い既存建物の断熱改修も着々と 進められていて、排出削減目標を達成する見込みをつけています。
排出削減数値目標(修正案)
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-8%
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オーストリア、ベルギー、ブルガリア、チェコ、デンマーク、エストニア、EC、
フィンランド、フランス、ドイツ、ギリシャ、アイルランド、イタリア、ラトビア、
リヒテンシュタイン、リトアニア、ルクセンブルグ、モナコ、オランダ、ポルトガル、
ルーマニア、スロバキア、スロベニア、スペイン、スウェーデン、スイス、
英国・北アイルランド |
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-7%
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米国 |
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-6%
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日本、カナダ、ハンガリー、ポーランド |
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-5%
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クロアチア |
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0%
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ニュージーランド、ロシア、ウクライナ |
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+1%
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ノルウェー |
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+8%
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オーストラリア |
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+10%
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アイスランド |
省エネは身近な意味ではエネルギーにかかる費用を減らし、家計費にゆとりをもたらします。しかし、上の ■ 地球温暖化の影響で見た温暖化の影響を考えれば、私たちや子供の世代を含めすべての人類が平穏な生活を続けるためにも化石燃料が枯渇するまでエネルギーを湯水のように使い続けることは避けなければなりません。
このような視点から、地球環境を考えるときに使われるようになった「サスティナブル(sustainable)=持続可能な」という言葉があります。
「建築を外断熱化すればすべての問題が解決する」と言えるほど簡単な話ではありませんが、人と自然の調和を目指す社会を造るために外断熱が有効なことが理解できるでしょう。
■ 地域環境の保全
建物を建替えると副産物として解体残材と新築に伴う建設廃棄物が発生します。
廃材の発生量は耐用年数に反比例しますから、短命な内断熱マンションのスクラップ&ビルドを続ければ、廃材処分のために膨大なゴミ捨て場を必要とします。既に現在でも関東の建設廃材は東北など首都圏を離れた地方まで運ばれ処分されており、受け入れ地周辺では環境破壊が深刻なところや不法投棄が行われているところもあります。
コンクリートを破砕し再生骨材として再利用するなどの試みも行われてはいますが、地域環境保全のためにも建物の長寿命化に繋がるRC建物の外断熱化は緊急の課題です。
■ どうしてCO2排出量を削減するか?
CO2の排出量を削減するにはいくつかの方法があります。
1.必要とするエネルギー自体を減らす
建築物を断熱すると空調に必要なエネルギーは少なくなります。以下の方法でも必要とするエネルギーの量を減らすことができますが最も基本的なエネルギー削減方法です。
2.エネルギー効率を改善する
自動車の燃費を改善するように使ったエネルギー単位に対して利用できるエネルギーを増やすことです。例えば、ヒートポンプは電気ヒータに比べて同じ電気エネルギーを使っても3〜4倍の熱エネルギーを取り出すことができます。
3.自然エネルギーの活用
太陽熱、太陽光、風力、地熱などこれまで使われていない無償のエネルギーを活用して化石燃料の使用量を減らすことができます。
日本では経済産業省が産業界に機器の効率化(2の方法)を進めています。従来横並びだった護送船団方式から競争を強めたトップランナー方式への変化が見えてきました。
自然エネルギーを含む未利用エネルギーの開発には資源エネルギー庁関連の新エネルギー基金(NEF)や新エネルギー開発機構(NEDO)が取り組んでいます。建築物に関する1のエネルギー必要量削減の担当は国土交通省ですが、住宅については今のところ規制はありません。 |