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昔泊まったペンションの記憶
旅行ガイドブックの観光旅館の広告には「おもてなしの心で」などと、オーナーと従業員がお
客様を温かく迎える姿勢をキャッチコピーにした広告がよく見受けられます。
でも、実際に宿泊してみると日本のホテル・旅館などの設備は快適と言えないところが多いと
感じます。最近、建築視察でいくつかのヨーロッパのホテルに泊まる機会を得て、日本とヨーロ
ッパの宿泊施設の室内環境に大きな違いがあると実感しました。
10年以上も昔のことになりますが、友人達30名ほどであるペンションに宿泊しました。
建てられて数年の比較的新しい建物でしたが、どうもカビの臭いが気になりました。
(ヨーロッパでは、安宿に泊まってもこんな経験はありません。)
高原地帯にあるこの建物は宿泊客の少ない冬の寒い時期には建物のほとんどの空調を切ってい
たのでしょう。大きな建物を一部だけ暖房すると、暖房の切られた寒い部屋は暖房した部屋の空
気の露点温度を簡単に下回ります。寒い部屋は建物全体の中で「除湿機」の役割を果たすことに
なり暖かい部屋の水蒸気を呼び寄せてしまいます。
建物は経済的に全館空調できるような設計をするのが基本ですが、もし、冬がシーズンオフに
なり宿泊客がいない時期が続く場合は、オーナーの居室部分と客室部分は気密・防湿的にそれぞ
れ独立させなくてはなりません。
建築後まだ20年にはなっていないと思いますが、あのペンションはまだ営業できているので
しょうか?
建物を上手に断熱すると、経済的に快適な室内環境を実現し、多くのリピート客に来てもらう
ことが出来ます。断熱方法を誤るとエネルギーを浪費し、かび臭さや汚れが目立ち、一度訪れた
お客様には二度と来てもらえないことになります。
断熱は建物の室内環境にこれほど大きな影響を持ちます。適切な断熱は建物のトータルコスト
を減らして、良い室内環境を実現する有効な手段になります。
都市ホテル
都市ホテルやビジネスホテルには、リゾート地のホテルやペンションのような閑散期はありま
せん。空室があっても極端に温度を下げることも出来ませんから、どの部屋も20〜23℃程度
に空調されているでしょう。空調温度の微調整が出来ないシステムを持つホテルでは、温度が上
がりすぎて窓をあけながら暖房しないと適温にならないような無駄をしているかもしれません。
多くの都市ホテルは箱のような単純な形を持ち、中くらいの大きさの窓があります。リゾート
ホテルと違ってテラスやバルコニーを持つ例はごく僅かです。
都市ホテルのように単純な形状を持つコンクリート建築物は、ほかのどんな建物と比べても最
も経済的に外断熱できる部類のものです。
熱橋のない100mmのEPS(発泡ポリスチレン)を使った外断熱工法と熱橋のある25m
mの内断熱工法を比べると、熱損失量は5倍以上の差があります。外壁面積あたり1万円以下のコ
ストアップで外断熱化ができ、壁からの熱損失を約20%に減らして10〜15年で建設費の差
額を取り戻すことが出来ます。
リゾート地のホテル・ペンションなど
リゾート地の宿泊施設はシーズンのオン・オフによる稼働率に大きな差があります。スキーリ
ゾートのように寒い時期にオン・シーズンを迎えるところでも、曜日による稼働率の差によって
建物内の温度差がある限度を超すと(室内に13℃以下となる部分ができると)カビの発生が急
速に広まります。
リゾートホテルのように稼働率の変化の大きいものでは、稼働率の変化に合わせて空調区画を
変えられる「離れ方式」、「パビリオン方式」のような各部分が気密・防湿的に独立した配置計
画を立てることが断熱方式を選ぶことよりも重要です。
一般的な内断熱工法で断熱した建物と外断熱工法で断熱した建物では熱損失の割合に4〜5倍
の差があります。これは、二つの建物の温度を一定に保つには4〜5倍のエネルギーが必要だと
いうことです。
しかし、それだけではありません。
外気温度が5.8℃(東京の1月の平均気温)のとき、内断熱の建物では4日で室温は外気温
度と等しくなりますが、外断熱工法で断熱した建物では1週間放置しても室温低下は5℃未満に
しかなりません。
一旦温度の下がった建物を暖め直すには大きなエネルギーが必要になり、大型の空調機が必要
になります。「やさしい外断熱講座>長い外出のとき」には建物を使用しないときの空調コスト
についても貝でつしているのでご覧下さい。
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