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高層化進むオフィスビル
オフィスビルの高層化が進んでいます。高層化に伴い鉄骨造のオフィスビルが増え、ガラスを
多く使ったビルが盛んに建てられています。
従来からの鉄筋コンクリートのオフィスビルに比べると鉄骨系のビルは木造建築物と同じよう
に気密・防湿を考えて断熱設計を奨めなければなりませんが、鉄骨に外壁を取り付ける場合も金
物を使うためヒートブリッジが大きくなる傾向があります。
ヨーロッパのオフィスビルを見ても、鉄骨造のビルでは複層ガラスやトリプルガラスで外壁を
覆う鉄骨造のビルが多く見られます。外観を見れば日本のオフィスビルもヨーロッパのオフィス
ビルも大きな違いはありませんが、使われている素材の熱貫流抵抗や日射に対する考え方は大き
く異なっています。
木造や鉄筋コンクリート造の建物でも、鉄骨造の建物でも、建築物の断熱設計の基本的な考え
方は外部環境から室内が受ける変動をできる限り小さくすることです。ヨーロッパの最近の鉄骨
系の建物には、日射エネルギーの取得を抑えるために日射センサーで制御され、強風時には自動
的に巻き上げられるエクステリアブラインドが取り付けられ、サイディングの裏側には十分な断
熱材が取り付けられて空調負荷を小さく抑える工夫をしています。
建物の外装を構成する屋根・外壁・サッシ・基礎など空調された屋内空間と屋外空間を区分す
る要素全体を英語の建築専門用語では「封筒=Envelope」という言葉で表します。封筒よりも小
包を包む包装紙のように室内空間全体を包むものと考えていただいた方が良いかもしれません。
良く断熱された建物を、「魔法瓶のように断熱材ですっぽりと包んだ」とひょ現することがあ
ります。魔法瓶より「お櫃を包む布団」のような古い日本の家庭用品が良い断熱の例えとしては
適切な気がします。
厚い布団で包んだお櫃のご飯はなかなか冷めませんが、裸の釜に入れたご飯はすぐに醒めてし
まいます。もし同じ温度に保温しようと思えば前者では小さな発熱体があれば充分ですが、後者
は大きな熱源を必要とします。
日本のオフィスビルの冷房病や局所的に暑すぎる室温は建物の封筒(包装)部分の断熱性能が
不充分で大きな空調熱源を使うことに大きな理由があります。
空調機から大きな熱量を吐き出し外装から同じ熱量が失われる建物では、室内を川の上流の急
流のように勢い良く熱が移動し場所による温度の違いも大きくなります。一方、良く断熱された
建物の室内では川の下流のように熱はゆったりと流れ場所による温度の違いもずっと少なくなり
ます。
室内温度差
日本のオフィスビルの室内温度差が大きい原因としては、
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@ 建物のQ値が大きく薄い断熱材や熱橋を通じて大きな熱の移動があること、
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など、建物外装部の伝熱特性が不充分なことが挙げられます。これに加えて、OA機器など熱を
発生する機器が室内に偏在し建物内部の熱バランスが不均等になりやすいことがあります。
空調技術的には空調ゾーン分けと空調機の出力の調整、ダクトと吹き出し口に対する吐出量の
調整によっていくらか調整することができますが、熱損失が大きい建物の空調を最適化するのは
難しいものがあります。
オフィスビルの維持と管理
日本では住宅もビルも古くなれば一旦更地に戻してスクラップ&ビルドする。どこへ行っても
築後数十年で解体され建て直される建物の工事現場を見つけることができます。
石造りの建物が多いこともその理由になのでしょうが、ヨーロッパの市街地を見ると100年
前、
200年前に建てられた街区がそのままの形で残されています。建て直す場合でも既存の建物のフ
ァサードは元の位置に残され街の古いイメージを残す工夫がされています。ヨーロッパの多くの
街で15世紀以降の町並みを見つけることはそれほど難しいことではありません。
「どんなに効率の悪いビルが残っているのか?」と思うかもしれませんが、そうでもありませ
ん。建物の躯体は古いものですが、建築設備や断熱は定期的な改修によって更新され、新築の建
物と同じようにインフラが整備されています。断熱にしても最新のビルと同じとは言えないにし
ても日本の新築ビルに比べればはるかによく整備されています。
日本でも、こういう建物の使い方をする時代が近付いてきています。これまでと同じように既
存の建物をスクラップしようにも、建設廃材を処分する埋め立て用地は残されていません。
ヨーロッパのように建物を時代の要請に応じて改修し、できる限り長く使わなければならない
時代がすぐそこに来ています。
オフィスビルもこれまでとは違って、使用しながら省エネ改良を続け、時代のニーズに応じた
改善を続ける視点を持つことが益々重要になるでしょう。
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