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特集 すべては将来への備えあってこそ 2007年 10月

 少し変わったお客さんがありました。

 外断熱の分譲マンションの売出用パンフレットの作成を依頼された広告代理店の担当者が、必要な資料集めやパンフレットに書き込む内容について指導して欲しいということでした。

 施工に採用された建材メーカーやディベロッパーから必要な情報が得られるのではないかと思ったのですが、ディベロッパーが『売り文句』にしたいことは建材メーカーにしてみれば『言質』を取られることになるので、大げさな売り文句は出したくないのがメーカーの立場なのでしょう。

 外断熱マンションと言えば、高い耐久性と資産価値、省エネ、快適で健康な環境などと言ったお決まりの文句が並びます。これらの言葉は心地よく聞こえるものですがすべての外断熱マンションがお決まりの宣伝文句通りのものなら喜ばしいことこの上ないのですが「実態はかなり違う」のではないかという疑いがあります。

 RC外断熱マンションとして売り出されている分譲マンションの中には断熱材の厚さが30mm前後しかないどう見ても次世代省エネ基準ギリギリのものが見受けられます。
 戸建住宅に比べれば隣家と壁や床・天井で接する割合の多い共同住宅ではいくらか熱損失が少なくなったとしても、住戸別に見ると最上階や角部屋と呼ばれる外気に接する外壁や屋根の面積が多いところでは建物の熱損失係数が充分小さく抑えられない心配があります。

 住戸別のQ値が次世代省エネ基準を漸く満たす程度とすると関東の床面積80m2の住戸では年間31,00KWHの暖房用電力を必要とします。熱容量の大きい外断熱マンションでは省エネを目的に間歇空調をしてもほとんど電力使用量が減らないばかりでなく、敢えて省エネのために空調を節約すると結露を生じたり、カビの被害を発生させたりする恐れがあります。

 そのようなトラブルが起きるのを防ぐためにもRCの外断熱工法では充分すぎるほどの断熱性能を持たせ、従来間歇空調で使っていた程度のエネルギーで充分空調できるような断熱性能を持たせるべきでしょう。

 外断熱工法のRC住宅を快適に使い続ける秘訣は必要な空調をきちんとすることにあるといっていいかもしれません。空調を惜しんで結露やカビが蔓延した住まいに愛着を感じることは難しいかもしれませんし、カビの臭いが染み付いた家に愛着を持って住み続けたいとは思わないかもしれません。

 こう考えてくるとRC外断熱工法の建物固有の特性と言われる「高い耐久性と資産価値、省エネ、快適で健康な環境」のすべてが「少ないエネルギーで快適な環境を維持できる」特性によって実現しているように感じます。

 今、歴史的な原油高が進んでいますし、ウラン鉱石は原油以上に急激な価格上昇を始めています。バイオ燃料を巡って農産物価格の上昇が進んでいることもいまさらお話しするまでもありません。
 家を建てることが将来への備えになるためには、従来にもましてエネルギー消費を抑えた家が造れるかどうかが重要になっています。
 エネルギー消費を抑えていない家は将来そのために大規模な断熱改修か建て替えかの選択を迫ってくるような気がしてなりません。

 今、エネルギー問題を考えておくことは「転ばぬ先の杖」といっても間違いではありません。